社会不適合者の彼は異世界で暗黒魔術師として生きていく

やりなおし

7. 何者かの急襲

　男に魔術を教えてもらってから約1年が経過した。今日も魔術の練習を行っていた。

「昨日と同じく、『地獄門ヘルへイムゲート』を発動させろ」
「魔導書グリモワール、地獄門ヘルへイムゲート」男に言われた通りに、おれは昨日と同じく地獄門ヘルへイムゲートを発動させた。

　目の前の地面に直径10メートル四方のドロドロした門が出現するまでは今までと同じだったが、今日はゲートに歪みが生じ始め、少し遠くの方からガラスにひびが入ったような音が聞こえ始めた。

　なんだ？これが上手く成功しているからこそ歪みが生じ始めているのか？そう思いつつ、ゲートをそのまま観察していると、地獄門ヘルへイムゲートから沸々とヘドロのようなものが浮き上がってた。
　明らかにおかしい。これで大丈夫なのか。強力なモンスターが現れるんじゃないのか。一度ゲートを閉じた方がいいんじゃないのか。

「ほぉ？これは久しぶりに面白くなりそうだな」男は久しぶりに力を揮ふるえると言わんばかりに薄ら笑みを浮かべていた。

　ゲートから湧き上がるヘドロは弾け、続々と魔物が出現し始めた。

「貪喰者デバウアスに不死王キンググリム、それに高位悪魔サタナキアか。おれのもとに出現するとはいい度胸だな。おい、そいつらはお前に任せるぞ。そこの悪魔はおれが相手する」

　ゲートには、融け続ける赤黒いヘドロあるいは肉片に大きな口を持った魔物と黒い霧のような布を纏い大鎌を持ったスケルトン、そしてその奥に、背中に魚の背びれのような骨とずたぼろのコウモリのような翼を持った魔人がいた。
　魔人は感情などない死んだ目に壊れた笑みを浮かべていた。