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やりなおし

3-2. 謎の男

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「来ないのか? そうか・・・・・・」色々と考え、答えを出しあぐねているのをよそに男はそう言った。

 この男の問いかけに対してもおれは黙ったままだった。
 やはり、この男の誘いを断りもう一度自殺をするべきじゃないのか。いつもそうやって希望を持って前に進み希望が打ち砕かれるのを味わってきたじゃないか。望みが叶ってきたことなんて今まで一回もない。おれはいつだって後悔しないように希望にすがり努力し、その努力が打ち砕かれるのを味わってきたじゃないか。クソったれな世界で早く死ねばよかったと何回も後悔してきたじゃないか。そうだ、おれは早く死ぬべきだったんだ……。

「大丈夫です……」
「いや、やはり来い」男はそう言い、手を掴もうと手を伸ばしてきた。
「大丈夫だっつってんだろっ!」おれは掴もうとしてきた手をはたくように勢いよく振り払った。

 振り払ったおれの手から、さっきの猿を倒した時のような黒い影のようなものが男の手へ移った。影は生き物のように男の腕を這いずり上っていった。
 「やばい、このままだとこの男がさっきの猿みたいにやばいことになる!」そう思い焦るおれをよそに、男は少し興味深さそうに目を開き、黒い影のようなものが移った腕を力強く一振りした。腕を振った勢いで周りの草木が揺れるほどの風が起きた。力強く振り払った腕を見てみると、黒い影のようなものはすでに消え去っていた。

 「来るといい」先ほどと同じく男は手を伸ばしてきた。
 おれは今度はその手を取って付いていくことにした。
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