7 / 25
1章 悪役令息、パーティに参加する
姫のピンチを救ってしまう悪役令息
しおりを挟む
-side ジークハルト-
「初見は帰れなのだーー!」
今、俺たちは絶賛ピンチである。
ダンジョン探索をしていたら、偶然遭遇してしまった緑色のドラゴンに初見は帰れと言われながら、ドラゴンビームを撃たれているのだ。
「あわわわ!」
「冷静になれ。エリーゼ」
「でも、相手はグリーンドラゴンよ!?」
「まあ、気持ちはわかる」
「ですわよね!?」
そう、そこが疑問なのだ。
ドラゴンの中でグリーンドラゴンというのは本来最弱の部類だ。通常俺の魔法だったら一撃で沈んでいるはず。
しかし、目の前のドラゴンは俺の攻撃を喰らってもピンピンしている。
「わかる、わかるぞ」
「は?」
「なぜ、あんな雑魚がこれだけ強化されているのか?」
「はっ……?雑魚?」
「うむ?グリーンドラゴンの割に、ブラックドラゴン以上の強さを持ってそうという話だよな?」
「全然分かってない!!」
「へっ……?」
何がだ……?
そうエリーゼに問おうとした時。
「きゃっ……!」
「アリス!!」
ドラゴンはしっぽを振り回し、アリスの事を壁まで突き飛ばしてた。
「しまった……!!」
ついついエリーゼの反応に気を取られてしまったのだろう。一瞬ドラゴンへの反応が遅れてしまった。
ドラゴンはそのまま、追撃しようとアリスにつかずき、手を挙げる。
「ひっ……来ないで」
「アリス--!」
--ドシン!!
アリスがドラゴンの手で潰される……前に、どうにか俺は助ける事ができた。
「大丈夫か?」
「ジークハルト君……!」
意図せず、お姫様抱っこになってしまって申し訳ないがそうも言ってられないので、仕方ない。
「むむ?やれてないのだ?逃げられたのだ?待つのだーー!」
ドラゴンはこちらに向かって走ってきて追撃をする。
「むむ……」
このまま、攻撃され続けたらいずれは支障が出るだろう。
アリスを抱えたまま、こいつを倒すのは大変だろうし、仕方ない。
知能も高そうだし、一旦対話を試みるか。
「まあ、待て。落ち着けドラゴン」
「む?お前、竜語を話せるのだ?」
「ああ」
「やりよるのだーー!」
俺が竜語を話せることがわかると攻撃をやめてくれた。
尻尾をブンブン振っているというところを見ると、ずいぶんお調子もののドラゴンのようだ。
「お前の名前は?」
「我の名前はドラだもんなのだー!」
うーん、その名前の元になったのは、あのキャラなのか、あのキャラなのか。
「ちなみに、好きな名前は?」
「どら焼き」
「そっちか」
「と見せかけて、ずんだ餅なのだー!」
はい、なんか色々アウト。
「いつもはどら焼き好きの振りをしているのだ。カモフラージュなのだ」
「必要か?そのカモフラージュ。」
「普段は誰にも聞かれないからいらないのだ」
「だろうな」
色々とツッコミたいが、今はそんな時間はない。なにせ、授業中なのだ。今の戦闘だけでもかなりの時間のロスだろう。
課題までそこまで時間が残っているわけではない。
「誇り高きドラゴン。悪いけど、ここは見逃してもらえないか?」
「むむ、お前、気に入ったのだ。よかろうなのだー」
良かった。
「じゃあ……」
「た・だ・しーー」
ドラゴンは低音でゆっくりと条件を言おうとする。
うわっ……、そういうやつかよ。
思わず身構える。
「我を連れていくのだ。仲間に加えるのだ」
「へ?」
「よろしくなのだ!テイムするのだ!ジークハルト」
「ああ、別に良いが。というかなぜ俺の名前を……?」
「鑑定スキル持ちなのだ」
「かっ……、ということは、お前まさか、エンシェントドラゴンか」
「そうなのだーー!この緑色の体はカモフラージュなのだ!!」
「そうだったのか」
エンシェントドラゴン。
言わずと知れた最強のドラゴン。
永遠の命を生き、信仰対象にもなりうるドラゴンである。
本来は神々しい透明感のある銀色の姿をしているが、このドラゴンは姿を変えているらしい。変わっている……。
「はやく、テイムするのだ!名前を決めるのだ!!」
「あ、ああ……、そうだな、ズンドラゴンとかどうだ?」
「素敵な名前なのだ!!それに決めたのだ!」
「分かった。じゃ、テイム!!」
--ピッカーー!
まばゆい光があたりに光った後、ズンドラゴンと魔法的な繋がりを認識する。
「成功したようだ」
「やったのだーー!よろしくなのだーー!」
こうして、ダンジョン探索授業を受けていただけだったのに、なぜか流れでエンシェントドラゴンが仲間に加わったのだった。
--コソッ!
「どうやら、とんでもない事が起こっているようね」
「ええ……、そうですね」
「それはそれとして見ました?さっき、ジークハルトがアリスをピンチから救う流れ」
「もちろん見ていましたよ。あんなのされたら」
「「惚れてまうやろ!」」
「ですわね。竜とも仲良くなってしまわれたようだし、ジークハルト……もう完全に卑怯ですわ」
「ですねえ。この状況、我々にできることは、2人を後方で腕組んで見守る事くらいでしょうか?」
「ですわね。そうしましょう」
エリーゼとせバスがそんな事を話していることはつゆ知らず、俺たちはズンドラゴンを仲間にし、無事ダンジョン課題もクリアして地上に戻るのだった。
--------------------------
「初見は帰れなのだーー!」
今、俺たちは絶賛ピンチである。
ダンジョン探索をしていたら、偶然遭遇してしまった緑色のドラゴンに初見は帰れと言われながら、ドラゴンビームを撃たれているのだ。
「あわわわ!」
「冷静になれ。エリーゼ」
「でも、相手はグリーンドラゴンよ!?」
「まあ、気持ちはわかる」
「ですわよね!?」
そう、そこが疑問なのだ。
ドラゴンの中でグリーンドラゴンというのは本来最弱の部類だ。通常俺の魔法だったら一撃で沈んでいるはず。
しかし、目の前のドラゴンは俺の攻撃を喰らってもピンピンしている。
「わかる、わかるぞ」
「は?」
「なぜ、あんな雑魚がこれだけ強化されているのか?」
「はっ……?雑魚?」
「うむ?グリーンドラゴンの割に、ブラックドラゴン以上の強さを持ってそうという話だよな?」
「全然分かってない!!」
「へっ……?」
何がだ……?
そうエリーゼに問おうとした時。
「きゃっ……!」
「アリス!!」
ドラゴンはしっぽを振り回し、アリスの事を壁まで突き飛ばしてた。
「しまった……!!」
ついついエリーゼの反応に気を取られてしまったのだろう。一瞬ドラゴンへの反応が遅れてしまった。
ドラゴンはそのまま、追撃しようとアリスにつかずき、手を挙げる。
「ひっ……来ないで」
「アリス--!」
--ドシン!!
アリスがドラゴンの手で潰される……前に、どうにか俺は助ける事ができた。
「大丈夫か?」
「ジークハルト君……!」
意図せず、お姫様抱っこになってしまって申し訳ないがそうも言ってられないので、仕方ない。
「むむ?やれてないのだ?逃げられたのだ?待つのだーー!」
ドラゴンはこちらに向かって走ってきて追撃をする。
「むむ……」
このまま、攻撃され続けたらいずれは支障が出るだろう。
アリスを抱えたまま、こいつを倒すのは大変だろうし、仕方ない。
知能も高そうだし、一旦対話を試みるか。
「まあ、待て。落ち着けドラゴン」
「む?お前、竜語を話せるのだ?」
「ああ」
「やりよるのだーー!」
俺が竜語を話せることがわかると攻撃をやめてくれた。
尻尾をブンブン振っているというところを見ると、ずいぶんお調子もののドラゴンのようだ。
「お前の名前は?」
「我の名前はドラだもんなのだー!」
うーん、その名前の元になったのは、あのキャラなのか、あのキャラなのか。
「ちなみに、好きな名前は?」
「どら焼き」
「そっちか」
「と見せかけて、ずんだ餅なのだー!」
はい、なんか色々アウト。
「いつもはどら焼き好きの振りをしているのだ。カモフラージュなのだ」
「必要か?そのカモフラージュ。」
「普段は誰にも聞かれないからいらないのだ」
「だろうな」
色々とツッコミたいが、今はそんな時間はない。なにせ、授業中なのだ。今の戦闘だけでもかなりの時間のロスだろう。
課題までそこまで時間が残っているわけではない。
「誇り高きドラゴン。悪いけど、ここは見逃してもらえないか?」
「むむ、お前、気に入ったのだ。よかろうなのだー」
良かった。
「じゃあ……」
「た・だ・しーー」
ドラゴンは低音でゆっくりと条件を言おうとする。
うわっ……、そういうやつかよ。
思わず身構える。
「我を連れていくのだ。仲間に加えるのだ」
「へ?」
「よろしくなのだ!テイムするのだ!ジークハルト」
「ああ、別に良いが。というかなぜ俺の名前を……?」
「鑑定スキル持ちなのだ」
「かっ……、ということは、お前まさか、エンシェントドラゴンか」
「そうなのだーー!この緑色の体はカモフラージュなのだ!!」
「そうだったのか」
エンシェントドラゴン。
言わずと知れた最強のドラゴン。
永遠の命を生き、信仰対象にもなりうるドラゴンである。
本来は神々しい透明感のある銀色の姿をしているが、このドラゴンは姿を変えているらしい。変わっている……。
「はやく、テイムするのだ!名前を決めるのだ!!」
「あ、ああ……、そうだな、ズンドラゴンとかどうだ?」
「素敵な名前なのだ!!それに決めたのだ!」
「分かった。じゃ、テイム!!」
--ピッカーー!
まばゆい光があたりに光った後、ズンドラゴンと魔法的な繋がりを認識する。
「成功したようだ」
「やったのだーー!よろしくなのだーー!」
こうして、ダンジョン探索授業を受けていただけだったのに、なぜか流れでエンシェントドラゴンが仲間に加わったのだった。
--コソッ!
「どうやら、とんでもない事が起こっているようね」
「ええ……、そうですね」
「それはそれとして見ました?さっき、ジークハルトがアリスをピンチから救う流れ」
「もちろん見ていましたよ。あんなのされたら」
「「惚れてまうやろ!」」
「ですわね。竜とも仲良くなってしまわれたようだし、ジークハルト……もう完全に卑怯ですわ」
「ですねえ。この状況、我々にできることは、2人を後方で腕組んで見守る事くらいでしょうか?」
「ですわね。そうしましょう」
エリーゼとせバスがそんな事を話していることはつゆ知らず、俺たちはズンドラゴンを仲間にし、無事ダンジョン課題もクリアして地上に戻るのだった。
--------------------------
18
あなたにおすすめの小説
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる