異世界てるてる坊主

えすくん

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第1章 マヤツマヨイ市の冒険

第006話 喝采を浴びる

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 燃え盛る豪邸の真上に雲を呼ぶ。

「じゃんじゃん降れ」

 命令すると、たちまち大雨が降り始めた。
 あっという間に消火完了。

「にしても、俺っててるてる坊主なのに雷を落としたり雨を降らせたりしてばっかだな……」

 自己嫌悪しちゃうぜ。
 せめてもの救いは、野次馬たちが、

「すげぇ魔法だ」
「あいつ、天才だぜ」
「まるで神だ」

 とざわついてること。
 へへっ。
 自己肯定感、上がっちゃうな。
 さて、

「OKチョーケー、どうだ?」
「はっ。テレジアさんも子供もケガはありません」

 そいつはよかった。
 とんでもない火事だったけど死者はいない。

「それもこれもテレジアちゃんのおかげだよなぁ……?」

 俺はギルド長のおっさんに、

「これでもテレジアちゃんが悪人ってか?」
「……ありがとう」

 意外にもギルド長は素直だった。
 理由はすぐ明らかになる。

「パパ!」

 救助された子供がギルド長に駆け寄った。
 子供を抱き締めながら、ギルド長は語る。

「燃えたのは俺の家。助けられたのは俺の子供ってわけさ。こうなっちまったからには、あんたの良心を信じねぇわけにゃいかねぇな。テレジアさんよ」
「え?」
「あんたを無罪放免にするぜ」

 途端に歓声が上がる。

「うおお! 俺たちのヒーロー!」
「本当、すげぇやつだぜ」
「マジでかっけえよ、あんた!」

 テレジアちゃん、わかりやすく顔を赤くしてやんの。
 照れ臭いらしく、もじもじしてから、

「くそっ!」

 OKチョーケーを殴った。

「おいどんが殴られる必要ありました!?」
「うっせー! もう一発だ!」
「ひどっ……。ちょっ、ギルド長、やっぱりこいつ逮捕した方がいいですよ!」

     *     *

「改めて自己紹介だ。俺はマヤツマヨイ市のギルド長をやってるアイアイだ。テレジアさんの指名手配は解除しといたぜ」

 ギルドに戻った俺たちは、とても豪華な部屋に案内された。
 疑問に思ったのは、

「指名手配の解除って、そんな簡単にできるのか?」
「ギルドに付与された権限はでけぇからな。もちろんこの市だけじゃなく全国的に解除されたってことだぜ」

 インターネットはないが、電報的なものはあるらしい。
 それも魔法で動くんだとさ。

 さて、疑いが晴れたところで、早速クエストといきますか!

「今日はもう遅い。帰って寝な」
「そんな……」
「泊まるところはねぇんだろ? じゃあ、とっておきの場所を紹介してやるぜ」
「どんなんだ?」
「魔法の家よ」
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