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4 三姉妹のハズレだった私の再生
6 誕生日パーティー①
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マーカス家に帰ると、昼過ぎからマルティナの誕生日パーティーが始まった。
今日は一か所にさまざまな料理が置かれて、家の中はもちろん、庭にもテーブルや椅子が配置されていて、好きな時に好きな分だけ、料理を食べる方式だった。
ブラッドリーの両親はもちろん、長男一家やレジナルドとエミリー、リリアン、エリックをはじめとしたプレスコット家の家族まで、一族が勢ぞろいしていた。
みんなからお祝いのことばをもらって、ハグされる。
プレゼントは、マーカス家やエリックの実家であるプレスコット家のみんなの個性の豊かさが溢れたものだった。
ブラッドリーの母からは、マルティナの好きな花をあしらった花束。ブラッドリーの父からは、最近買い付けに行った国で買ってきたフルーツのお酒。エミリーからは花の香りのするハンドクリーム。ブラッドリーの下の兄のレジナルドからは、マルティナの祖国のシンプルな紅茶の葉。
どれも、ささやかで高価ではないけれど、マルティナの好きなものばかりで、マルティナを思う気持ちが現れたプレゼントばかりだ。
そして、ブラッドリーの上の兄であるフレドリック一家はなんと、家族全員でダンスを披露してくれた。曲自体は、この国のお祝いによく歌われる曲だが、衣装や振り付けはイーサンをはじめとした子ども達が考えてくれたものだという。
紙や包装紙で作られたコミカルな衣装に身につつみ、厳ついフレドリックが真剣な表情で踊る様は、そのギャップもあり、みんなの笑いを誘う。みんなの手拍子や笑い声をものともせず、フレドリックの普段もの静かな妻のジョアンナも情熱的なダンスを披露する。子ども達も一生懸命踊ってくれて、時折、振りを忘れたり、テンポがズレたりするけど、その様も可愛らしい。
「はーいいもの見た。フレドリック兄さんにこんな特技があったなんて。ぜひ、俺の誕生日にもやってくれよ!」
「やだよ。なんで、お前のためにやんなくちゃいけないんだよ」
どこかツボにはまったのか、大爆笑していたレジナルドが盛大な拍手をしながら茶々を入れる。マルティナも笑ったり、涙ぐんだり、感情が忙しい。
エリックの家族であるプレスコット家の面々もプレゼントを用意してくれていた。エリックの両親からは、動物をモチーフにしたお菓子の詰め合わせをもらった。
エリックの二人の姉は、髪や服に飾れるようにいつかのエリックのように生花を加工して、マルティナを飾りたててくれた。
「俺のあげたネックレスが霞んでる……」
「もーブラッドリーがマルティナちゃんに服とかアクセサリーをプレゼントしようとすると阻止してくるから、生花にしたのにぃ」
「ブラッドリーってほんとケチよね。心せまーい」
「うぅ……」
「お花もネックレスもどっちもうれしいよ。ありがとう」
「「やだー、らぶらぶー」」
二人の従姉に、からかわれて萎れるブラッドリーがどこか可愛くて、マルティナは背伸びしてブラッドリーの頭をなでてお礼を言った。さらにからかわれることになって、ブラッドリーの耳が赤くなる。その様を見て、くすぐったい気持ちになった。
「アタシからはケーキよ。といっても、作ったのはケーキ屋さんなんだけど、アイディアというかデザインは私がしたのよ!」
エリックが用意してくれたケーキはシンプルなスポンジとクリームのケーキで、大きな長方形をしていた。そのケーキの至る所に花と瑞々しい果物が飾ってあって、カラフルだ。
「この飾りのお花、砂糖漬けで、全部食べられるのよ! 食べられるお花があるって聞いて、ケーキ屋さんと相談して作ってもらったの」
「わーすごい!! すてき! エリック、ありがとう」
マルティナは自分の誕生日に料理やケーキを用意してもらうのははじめてで、胸が熱くなる。エリックの用意してくれたケーキだけではなくて、家族総出で作ったマルティナの好きな料理ばかりがテーブルいっぱいに並んでいる。
「じゃじゃーん、私からはこれです!! ちゃんと、ブラッドリー様から許可をもらいました!」
誇らしげにリリアンは手のひら大の二匹のクマのぬいぐるみをかかげる。
「ブラッドリーの許可?」
「エリック様から、この国では誕生日プレゼントは食べ物とかお花とか、形に残らないものを贈る習慣があるって聞いたの。形に残る物をプレゼントをするのは両親や恋人や夫だけなんだって。リリアンは妹だけど、マルティナ姉さまの特別だからいいかなって思って」と教えてくれた。その風習を知って、今までブラッドリーから贈られたプレゼントに込められた思いの深さを知る。
リリアンのプレゼントは、二匹の手のひら大の黒いクマのぬいぐるみで、片方のクマの耳に花の飾りがついていて、もう片方のクマの首に赤いリボンが結んである。
「わーかわいい。リリアン、ありがとう」
「うふふふ、なんとリリアンの手作りでーす。マルティナ姉さまのクマちゃんはリリアンがもらっちゃったので、これからはこのクマちゃんを可愛がってください。この二匹、お手てを縫い合わせてあるので、ずっとくっついてるんです!」
「ま、ブラッドリーとマルティナちゃんみたいな?」
今度はエリックからマルティナがからかわれて、顔を赤くする。以前なら、エリックの言葉を否定していたけど、気持ちが通じ合った今は、恥ずかしいけど、どこかうれしい気持ちがある。
「リリアン、すごいわね。かわいい、大事にするね。ありがとう」
リリアンも伯爵家を出る時にクマのぬいぐるみを押し付けられて、複雑な気持ちになっただろう。それをこんなすてきなプレゼントで返してくれた、その気持ちがなによりうれしかった。二人で笑顔でマルティナの誕生日を迎えられることも。
それからは、みんな好きなように談笑し、料理を食べて、お酒を飲んで、時に騒いで、マルティナの誕生日祝いのパーティーは賑やかに日が暮れても続いた。
今日は一か所にさまざまな料理が置かれて、家の中はもちろん、庭にもテーブルや椅子が配置されていて、好きな時に好きな分だけ、料理を食べる方式だった。
ブラッドリーの両親はもちろん、長男一家やレジナルドとエミリー、リリアン、エリックをはじめとしたプレスコット家の家族まで、一族が勢ぞろいしていた。
みんなからお祝いのことばをもらって、ハグされる。
プレゼントは、マーカス家やエリックの実家であるプレスコット家のみんなの個性の豊かさが溢れたものだった。
ブラッドリーの母からは、マルティナの好きな花をあしらった花束。ブラッドリーの父からは、最近買い付けに行った国で買ってきたフルーツのお酒。エミリーからは花の香りのするハンドクリーム。ブラッドリーの下の兄のレジナルドからは、マルティナの祖国のシンプルな紅茶の葉。
どれも、ささやかで高価ではないけれど、マルティナの好きなものばかりで、マルティナを思う気持ちが現れたプレゼントばかりだ。
そして、ブラッドリーの上の兄であるフレドリック一家はなんと、家族全員でダンスを披露してくれた。曲自体は、この国のお祝いによく歌われる曲だが、衣装や振り付けはイーサンをはじめとした子ども達が考えてくれたものだという。
紙や包装紙で作られたコミカルな衣装に身につつみ、厳ついフレドリックが真剣な表情で踊る様は、そのギャップもあり、みんなの笑いを誘う。みんなの手拍子や笑い声をものともせず、フレドリックの普段もの静かな妻のジョアンナも情熱的なダンスを披露する。子ども達も一生懸命踊ってくれて、時折、振りを忘れたり、テンポがズレたりするけど、その様も可愛らしい。
「はーいいもの見た。フレドリック兄さんにこんな特技があったなんて。ぜひ、俺の誕生日にもやってくれよ!」
「やだよ。なんで、お前のためにやんなくちゃいけないんだよ」
どこかツボにはまったのか、大爆笑していたレジナルドが盛大な拍手をしながら茶々を入れる。マルティナも笑ったり、涙ぐんだり、感情が忙しい。
エリックの家族であるプレスコット家の面々もプレゼントを用意してくれていた。エリックの両親からは、動物をモチーフにしたお菓子の詰め合わせをもらった。
エリックの二人の姉は、髪や服に飾れるようにいつかのエリックのように生花を加工して、マルティナを飾りたててくれた。
「俺のあげたネックレスが霞んでる……」
「もーブラッドリーがマルティナちゃんに服とかアクセサリーをプレゼントしようとすると阻止してくるから、生花にしたのにぃ」
「ブラッドリーってほんとケチよね。心せまーい」
「うぅ……」
「お花もネックレスもどっちもうれしいよ。ありがとう」
「「やだー、らぶらぶー」」
二人の従姉に、からかわれて萎れるブラッドリーがどこか可愛くて、マルティナは背伸びしてブラッドリーの頭をなでてお礼を言った。さらにからかわれることになって、ブラッドリーの耳が赤くなる。その様を見て、くすぐったい気持ちになった。
「アタシからはケーキよ。といっても、作ったのはケーキ屋さんなんだけど、アイディアというかデザインは私がしたのよ!」
エリックが用意してくれたケーキはシンプルなスポンジとクリームのケーキで、大きな長方形をしていた。そのケーキの至る所に花と瑞々しい果物が飾ってあって、カラフルだ。
「この飾りのお花、砂糖漬けで、全部食べられるのよ! 食べられるお花があるって聞いて、ケーキ屋さんと相談して作ってもらったの」
「わーすごい!! すてき! エリック、ありがとう」
マルティナは自分の誕生日に料理やケーキを用意してもらうのははじめてで、胸が熱くなる。エリックの用意してくれたケーキだけではなくて、家族総出で作ったマルティナの好きな料理ばかりがテーブルいっぱいに並んでいる。
「じゃじゃーん、私からはこれです!! ちゃんと、ブラッドリー様から許可をもらいました!」
誇らしげにリリアンは手のひら大の二匹のクマのぬいぐるみをかかげる。
「ブラッドリーの許可?」
「エリック様から、この国では誕生日プレゼントは食べ物とかお花とか、形に残らないものを贈る習慣があるって聞いたの。形に残る物をプレゼントをするのは両親や恋人や夫だけなんだって。リリアンは妹だけど、マルティナ姉さまの特別だからいいかなって思って」と教えてくれた。その風習を知って、今までブラッドリーから贈られたプレゼントに込められた思いの深さを知る。
リリアンのプレゼントは、二匹の手のひら大の黒いクマのぬいぐるみで、片方のクマの耳に花の飾りがついていて、もう片方のクマの首に赤いリボンが結んである。
「わーかわいい。リリアン、ありがとう」
「うふふふ、なんとリリアンの手作りでーす。マルティナ姉さまのクマちゃんはリリアンがもらっちゃったので、これからはこのクマちゃんを可愛がってください。この二匹、お手てを縫い合わせてあるので、ずっとくっついてるんです!」
「ま、ブラッドリーとマルティナちゃんみたいな?」
今度はエリックからマルティナがからかわれて、顔を赤くする。以前なら、エリックの言葉を否定していたけど、気持ちが通じ合った今は、恥ずかしいけど、どこかうれしい気持ちがある。
「リリアン、すごいわね。かわいい、大事にするね。ありがとう」
リリアンも伯爵家を出る時にクマのぬいぐるみを押し付けられて、複雑な気持ちになっただろう。それをこんなすてきなプレゼントで返してくれた、その気持ちがなによりうれしかった。二人で笑顔でマルティナの誕生日を迎えられることも。
それからは、みんな好きなように談笑し、料理を食べて、お酒を飲んで、時に騒いで、マルティナの誕生日祝いのパーティーは賑やかに日が暮れても続いた。
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