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1 私が私を見つけるまでの日々
7 王子様は魔法の手を持っている
ブラッドリー様の商会はお店とお仕事場が一緒になっているみたいで、思っていたよりも大きかった。リリアンのただブラッドリー様かエリック様に会いたいという要望はなぜか通って、すんなり二人に会う事ができた。
「大変ですぅ。おねーさまが大変なんですぅ。おねーさまを助けてください!」
お仕事をしている様子のエリック様とブラッドリー様を見て、思わず叫んでしまった。
「え、子猫ちゃん、どうやって来たの? なんでここに?」
「そんなことより、おねーさまを助けてください!」
「マルティナがどうしたんだ?」
「マルティナ姉さまのくまちゃんの腕が取れちゃった日からマルティナ姉さまがおかしくなっちゃって……学園には行ってるけど、お家に帰ってきても部屋から出てこないし……ごはんもあんまり食べてないし……」
「マルティナは今、どこにいるんだ?」
「お家にいます! 今ならお母さまもアイリーン姉さまもいないから、とにかく会いにきてください!!」
突然現れたリリアンに二人は驚きつつも真剣な様子でリリアンの話を聞いてくれた。お母さまとアイリーン姉さまが不在であることを伝えて、家に来てマルティナ姉さまに会ってくれるようにお願いした。きっとブラッドリー様に会えば、マルティナ姉さまは元気になる、なぜかそんな気がしたのだ。
二人を連れて家に帰り、ブラッドリー様の制服の袖をつかんで、マルティナ姉さまの部屋の扉を久々に力強く開け放った。
「ねーさま、黒いくまのおにーさん連れてきました! 元気出してください!!」
喜ぶかと思ったマルティナ姉さまの表情は余計に辛そうなものになった。リリアンは自分の選択が間違っていたのかもしれないと、自分のドレスを握りしめる。
マルティナ姉さまは二人に帰るように言っていたけど、ブラッドリー様も引かなかった。
「お願い。ブラッドリー、お姉様に殺されちゃう……」
マルティナ姉さまは崩れるように床にうずくまった。一体、あの日、アイリーン姉さまはどんな恐ろしい事をマルティナ姉さまに言ったんだろう? リリアンはぶるりと震えた。
「大方、アタシ達にかまうと、実家の商会つぶすぞとか、命がないぞ、とか脅された系かしら?」
エリック様の言葉は図星だったみたいで、マルティナ姉さまは驚いた顔をしている。なぜ、アイリーン姉さまはマルティナ姉さまに意地悪ばかりするのだろう?
「ほら、今日は厄介な母親も姉も不在なんでしょ。ブラッドリーは言い出したら聞かないんだから、一応事情を話したらどう? アタシは隅っこで妹ちゃんとお茶でもしてるからおかまいなくー」
「うん、おねーさん? じゃなくて、おにーさん? リリアンとお茶しましょ!」
少し離れたソファでマルティナ姉さまがブラッドリー様と話をするのを眺めながら、窓際の小さなティーテーブルでエリック様とお茶をした。深い事情はわからないけど、二人を連れてきてよかった。静かに涙をこぼしながら話すマルティナ姉さまの背をブラッドリー様が優しくなでている。
「しっかし、けっこう過激派よねぇ、あなたの上のおねーさん」
「うん……アイリーン姉さまもお母さまもマルティナ姉さまをすぐいじめるの。嫌な事いっぱいするの。でも、リリアン何もできなくて……」
エリック様の言う通り、お母さまもアイリーン姉さまもマルティナ姉さまになぜか意地悪をする。でも、リリアンはマルティナ姉さまにできることはなにもない。
「そんなことないじゃない! 今日、勇気を出して私達の所に来てくれたおかげで、マルティナちゃんは大好きなブラッドリーに会うことができたんだから」
「そっかぁ……えへへ」
エリック様の言葉に、リリアンの心がぽっと温かくなった。自分が思い付きでしたことで、今回はマルティナ姉さまが少しは救われたのかもしれない。
エリック様はどこからとりだしたのか、針と糸で、クマのぬいぐるみの取れた腕を丁寧に直している。エリック様が器用な手でちくちく縫う様はまるで魔法のようだ。
「今まで俺が言う事聞いたことある? いつでも、俺はやりたいようにやるよ。約束しただろ? 卒業するまで、マルティナの傍にいるって。足場になるって。だから、今までみたいに、どうしたらいいか一緒に考えよう……」
ブラッドリー様の低くて力強い声が部屋に響く。どうやらアイリーン姉さまを恐れるマルティナ姉さまをブラッドリーさまが説得するのに成功したようだ。リリアンはほっと胸をなでおろした。
「できたっと」
「わーくまちゃん、元通り!! よかったねぇ」
エリック様が元通り腕が胴体に縫い付けられたクマのぬいぐるみを掲げると、リリアンもうれしくなった。
「大変ですぅ。おねーさまが大変なんですぅ。おねーさまを助けてください!」
お仕事をしている様子のエリック様とブラッドリー様を見て、思わず叫んでしまった。
「え、子猫ちゃん、どうやって来たの? なんでここに?」
「そんなことより、おねーさまを助けてください!」
「マルティナがどうしたんだ?」
「マルティナ姉さまのくまちゃんの腕が取れちゃった日からマルティナ姉さまがおかしくなっちゃって……学園には行ってるけど、お家に帰ってきても部屋から出てこないし……ごはんもあんまり食べてないし……」
「マルティナは今、どこにいるんだ?」
「お家にいます! 今ならお母さまもアイリーン姉さまもいないから、とにかく会いにきてください!!」
突然現れたリリアンに二人は驚きつつも真剣な様子でリリアンの話を聞いてくれた。お母さまとアイリーン姉さまが不在であることを伝えて、家に来てマルティナ姉さまに会ってくれるようにお願いした。きっとブラッドリー様に会えば、マルティナ姉さまは元気になる、なぜかそんな気がしたのだ。
二人を連れて家に帰り、ブラッドリー様の制服の袖をつかんで、マルティナ姉さまの部屋の扉を久々に力強く開け放った。
「ねーさま、黒いくまのおにーさん連れてきました! 元気出してください!!」
喜ぶかと思ったマルティナ姉さまの表情は余計に辛そうなものになった。リリアンは自分の選択が間違っていたのかもしれないと、自分のドレスを握りしめる。
マルティナ姉さまは二人に帰るように言っていたけど、ブラッドリー様も引かなかった。
「お願い。ブラッドリー、お姉様に殺されちゃう……」
マルティナ姉さまは崩れるように床にうずくまった。一体、あの日、アイリーン姉さまはどんな恐ろしい事をマルティナ姉さまに言ったんだろう? リリアンはぶるりと震えた。
「大方、アタシ達にかまうと、実家の商会つぶすぞとか、命がないぞ、とか脅された系かしら?」
エリック様の言葉は図星だったみたいで、マルティナ姉さまは驚いた顔をしている。なぜ、アイリーン姉さまはマルティナ姉さまに意地悪ばかりするのだろう?
「ほら、今日は厄介な母親も姉も不在なんでしょ。ブラッドリーは言い出したら聞かないんだから、一応事情を話したらどう? アタシは隅っこで妹ちゃんとお茶でもしてるからおかまいなくー」
「うん、おねーさん? じゃなくて、おにーさん? リリアンとお茶しましょ!」
少し離れたソファでマルティナ姉さまがブラッドリー様と話をするのを眺めながら、窓際の小さなティーテーブルでエリック様とお茶をした。深い事情はわからないけど、二人を連れてきてよかった。静かに涙をこぼしながら話すマルティナ姉さまの背をブラッドリー様が優しくなでている。
「しっかし、けっこう過激派よねぇ、あなたの上のおねーさん」
「うん……アイリーン姉さまもお母さまもマルティナ姉さまをすぐいじめるの。嫌な事いっぱいするの。でも、リリアン何もできなくて……」
エリック様の言う通り、お母さまもアイリーン姉さまもマルティナ姉さまになぜか意地悪をする。でも、リリアンはマルティナ姉さまにできることはなにもない。
「そんなことないじゃない! 今日、勇気を出して私達の所に来てくれたおかげで、マルティナちゃんは大好きなブラッドリーに会うことができたんだから」
「そっかぁ……えへへ」
エリック様の言葉に、リリアンの心がぽっと温かくなった。自分が思い付きでしたことで、今回はマルティナ姉さまが少しは救われたのかもしれない。
エリック様はどこからとりだしたのか、針と糸で、クマのぬいぐるみの取れた腕を丁寧に直している。エリック様が器用な手でちくちく縫う様はまるで魔法のようだ。
「今まで俺が言う事聞いたことある? いつでも、俺はやりたいようにやるよ。約束しただろ? 卒業するまで、マルティナの傍にいるって。足場になるって。だから、今までみたいに、どうしたらいいか一緒に考えよう……」
ブラッドリー様の低くて力強い声が部屋に響く。どうやらアイリーン姉さまを恐れるマルティナ姉さまをブラッドリーさまが説得するのに成功したようだ。リリアンはほっと胸をなでおろした。
「できたっと」
「わーくまちゃん、元通り!! よかったねぇ」
エリック様が元通り腕が胴体に縫い付けられたクマのぬいぐるみを掲げると、リリアンもうれしくなった。
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