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始まりの章
第1話 日常
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第1話 日常
日本。東京
昔は男のファンが多かった格闘技も、今では女性ファンも多くなり老若男女問わず絶大な人気を誇っている
選手も性別や年齢、身長体重を問わず各ジャンル増加の傾向にあるようで、将来の夢にも「格闘家」と答えるものも少なくはない
「格闘技での強さが世界の強さを表す」と言われるくらいになったのが今の世の中だ
中でも注目されているのが「WDMC」
「World Different Martial arts Championship」
直訳すると「世界異種格闘技選手権」だ
世界中から来た格闘家が己の腕を信じリングの上で別の格闘技の選手と戦うと言ったもので、例えるならば「プロレスvs空手」「ボクシングvsムエタイ」などと言った感じ
「男女混合戦」や同じジャンルの格闘技でやる場合の「別階級試合」などもあるため観客を飽きさせない工夫もある
この「WDMC」を皮切りに、今世界中が格闘技に熱中しているわけだ
そんな俺こと「天 閃光(あまつ ひかる)」もこのWDMCのファンである
親父が格闘家だったためその影響か、親父の試合も練習も間近で見ていたからハマるのも早かった
だが親父が試合中に相手のハイキック(上段蹴り)をモロに喰らい、それがきっかけで自分が格闘家であったことをすっかり忘れてしまった。記憶喪失になってしまったのだ。そのためもうそれらを見る事も出来なくなってしまった
だが俺は格闘家だった親父を誇りに思っている。今でも変わらない憧れの象徴だ
親父のようになりたい。親父のような強い格闘家になりたい。17歳の今でもその夢は変わらない
「くーっ!!!やっぱり強ぇなぁ王者御国(みくに)!!」
「週間WDMC」を教室で読みながら俺はテンションが上がっていた
「まーた読んでんの?今週号。これでもう10週目だよ」
そんな呆れ顔で俺に話しかけている女の子は、幼馴染の染谷 恋(そめや れん)だ
「格闘技ねぇ…私も嫌いじゃないけど、あんた程熱心にはなれないわ」
「何を言う!お前も1回見てみろよ御国の試合を!あの現WDMC王者の御国蒼牙(みくに そうが)の試合を!絶対ハマるって!」
「その誘いも20回目…ずっと聞かされてるから耳タコよ…」
「そんな事より、なんの用だよ。俺今から用事あるんだけど」
「用事って…あんたまた行くの!?格闘技のジム巡り…もうやめなって…あんた今色んなとこで道場破りってあだ名つけられてんだから…」
「昨日はプロレスだったから…今日はカポエラかな。目標はまだまだ遠いが、絶対達成してみせる!!」
「その情熱をもうちょっと勉強に生かせんかねあんたは…」
そう。俺の目標は…「この高校3年間で様々な格闘技を身につけ、卒業前にWDMCの選手入試に受かること」だ
親父はキックボクシングを主軸とした選手だったから、俺も親父のように色んな格闘技を身につけ、全ての格闘技が使える我流の選手になりたいと思っている
「たまには一緒に帰ろうと思ってたのに、本当アンタって昔っから格闘バカよね」
「そんなに褒めるなよ」
「いや褒めてないわよ…」
そんなやり取りをしながらも、恋と一緒に教室を出る
廊下に出た瞬間辺りは静寂に包まれ、みんな端の方で立ったまま動かない
「まさか…」
恋が口を開いた瞬間、向こうからまっすぐこちらの方に向かってくる1人の生徒の姿があった
ぱっちりとした目、長いまつ毛、サラサラの髪、スラッとした長い脚とそれを支えている引き締まったスタイル。一目瞭然な顔とスタイルの良さだ。女性の憧れとも言えるだろう
そんな完璧な彼女の名前は久遠 楓(くおん かえで)。俺たちと同じ高校2年生である
「楓様…今日も麗しい…」
「でも楓様がどうしてこんなところに…」
生徒達が驚いているのも無理はない。彼女はうちの学校の生徒会長であり所属は特待生が集まるSクラス、そしてこの学校の理事長の孫なのだ
「あんたシャキッと立ちなさいよ!!楓様に目ぇ付けられるわよ!!」
小さな声で恋が俺に注意をする
「へいへい…」
渋々返事をした俺の声が聞こえたのか、久遠 楓は俺の前で立ち止まった
「じーっ…」
久遠は俺を見つけ続けている
「あの…生徒会長がなんか用っすか?」
「あなた。名前は?」
「2年Cクラス。天 閃光」
何故か久遠は俺の名前を聞いてきた。俺は普通に自分の名前を答えたが、久遠はそのまま俺に話しかける
「貴方が噂の道場破りさんね。探してたのよ。これから時間あるかしら?」
「悪いが俺は予定が」
「一緒に来て欲しいの。貴方にとっても良い話よ」
「え…ええええええええ!?」
周りは動揺を隠せないようで、恋を始め廊下で立ち止まってた生徒達みんなが驚きの声をあげた
これから一体何を言われるのか、何が起こるかなんて、俺には想像つかなかった
日本。東京
昔は男のファンが多かった格闘技も、今では女性ファンも多くなり老若男女問わず絶大な人気を誇っている
選手も性別や年齢、身長体重を問わず各ジャンル増加の傾向にあるようで、将来の夢にも「格闘家」と答えるものも少なくはない
「格闘技での強さが世界の強さを表す」と言われるくらいになったのが今の世の中だ
中でも注目されているのが「WDMC」
「World Different Martial arts Championship」
直訳すると「世界異種格闘技選手権」だ
世界中から来た格闘家が己の腕を信じリングの上で別の格闘技の選手と戦うと言ったもので、例えるならば「プロレスvs空手」「ボクシングvsムエタイ」などと言った感じ
「男女混合戦」や同じジャンルの格闘技でやる場合の「別階級試合」などもあるため観客を飽きさせない工夫もある
この「WDMC」を皮切りに、今世界中が格闘技に熱中しているわけだ
そんな俺こと「天 閃光(あまつ ひかる)」もこのWDMCのファンである
親父が格闘家だったためその影響か、親父の試合も練習も間近で見ていたからハマるのも早かった
だが親父が試合中に相手のハイキック(上段蹴り)をモロに喰らい、それがきっかけで自分が格闘家であったことをすっかり忘れてしまった。記憶喪失になってしまったのだ。そのためもうそれらを見る事も出来なくなってしまった
だが俺は格闘家だった親父を誇りに思っている。今でも変わらない憧れの象徴だ
親父のようになりたい。親父のような強い格闘家になりたい。17歳の今でもその夢は変わらない
「くーっ!!!やっぱり強ぇなぁ王者御国(みくに)!!」
「週間WDMC」を教室で読みながら俺はテンションが上がっていた
「まーた読んでんの?今週号。これでもう10週目だよ」
そんな呆れ顔で俺に話しかけている女の子は、幼馴染の染谷 恋(そめや れん)だ
「格闘技ねぇ…私も嫌いじゃないけど、あんた程熱心にはなれないわ」
「何を言う!お前も1回見てみろよ御国の試合を!あの現WDMC王者の御国蒼牙(みくに そうが)の試合を!絶対ハマるって!」
「その誘いも20回目…ずっと聞かされてるから耳タコよ…」
「そんな事より、なんの用だよ。俺今から用事あるんだけど」
「用事って…あんたまた行くの!?格闘技のジム巡り…もうやめなって…あんた今色んなとこで道場破りってあだ名つけられてんだから…」
「昨日はプロレスだったから…今日はカポエラかな。目標はまだまだ遠いが、絶対達成してみせる!!」
「その情熱をもうちょっと勉強に生かせんかねあんたは…」
そう。俺の目標は…「この高校3年間で様々な格闘技を身につけ、卒業前にWDMCの選手入試に受かること」だ
親父はキックボクシングを主軸とした選手だったから、俺も親父のように色んな格闘技を身につけ、全ての格闘技が使える我流の選手になりたいと思っている
「たまには一緒に帰ろうと思ってたのに、本当アンタって昔っから格闘バカよね」
「そんなに褒めるなよ」
「いや褒めてないわよ…」
そんなやり取りをしながらも、恋と一緒に教室を出る
廊下に出た瞬間辺りは静寂に包まれ、みんな端の方で立ったまま動かない
「まさか…」
恋が口を開いた瞬間、向こうからまっすぐこちらの方に向かってくる1人の生徒の姿があった
ぱっちりとした目、長いまつ毛、サラサラの髪、スラッとした長い脚とそれを支えている引き締まったスタイル。一目瞭然な顔とスタイルの良さだ。女性の憧れとも言えるだろう
そんな完璧な彼女の名前は久遠 楓(くおん かえで)。俺たちと同じ高校2年生である
「楓様…今日も麗しい…」
「でも楓様がどうしてこんなところに…」
生徒達が驚いているのも無理はない。彼女はうちの学校の生徒会長であり所属は特待生が集まるSクラス、そしてこの学校の理事長の孫なのだ
「あんたシャキッと立ちなさいよ!!楓様に目ぇ付けられるわよ!!」
小さな声で恋が俺に注意をする
「へいへい…」
渋々返事をした俺の声が聞こえたのか、久遠 楓は俺の前で立ち止まった
「じーっ…」
久遠は俺を見つけ続けている
「あの…生徒会長がなんか用っすか?」
「あなた。名前は?」
「2年Cクラス。天 閃光」
何故か久遠は俺の名前を聞いてきた。俺は普通に自分の名前を答えたが、久遠はそのまま俺に話しかける
「貴方が噂の道場破りさんね。探してたのよ。これから時間あるかしら?」
「悪いが俺は予定が」
「一緒に来て欲しいの。貴方にとっても良い話よ」
「え…ええええええええ!?」
周りは動揺を隠せないようで、恋を始め廊下で立ち止まってた生徒達みんなが驚きの声をあげた
これから一体何を言われるのか、何が起こるかなんて、俺には想像つかなかった
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