Grim Reaper〜首狩りの死神〜

シャン

文字の大きさ
3 / 8
始まりの章

第2話 勧誘

しおりを挟む
第2話 勧誘

生徒会長の「久遠 楓(くおん かえで)」に呼び出された俺こと「天 閃光(あまつ ひかる)」 は、学校を出て会長に言われるがまま車に乗り込んだ

「どこに連れていく気だ?俺やる事あるんだけど」
「大丈夫。その用事も一瞬で済みますよ」
「家帰って親父の飯も作りたいんだけど」
「それも大丈夫。一緒に来れば分かります」
用件を伝えてくれない会長に俺は呆れて何も言えなかった。ここは従うしかない。心の中で俺はそう悟った。一歩間違えたら軽い誘拐である

「いや…デカすぎだろ…」
止まった車から降りた俺は、目の前に広がるバカでかい屋敷に仰天していた
「早く来てください。そこで立ち止まってる時間はないですよ」
「客人ってもう少し丁重に扱うもんじゃねえの…?」
そんなやり取りをしていると、屋敷の大きなドアまで着いた。どうやらこれが正面玄関のようだ
ガチャ…ギィィ…
「お帰りなさいませ。お嬢様」
「「お帰りなさいませ!!お嬢様!!」」
合わせて20人くらいは居るだろうか。玄関を開けた瞬間メイドと執事が一斉に出迎えている。アニメでしか見たことない光景だ
「なんじゃこりゃ…あんたすげえお金持ちのお嬢様じゃん…」
「あら?言ってなかったですか?私の父は久遠カンパニーって会社の社長なんです」
「つまりあんた…社長令嬢ってことか…」
久遠カンパニー。この世界じゃその名前を知らない人は居ないくらいの大手企業である
電化製品、楽器などのものづくりだけでなく、スポーツジム、ゲームセンター、温泉やパチンコパチスロ制作なども展開しており、この会社の社長がWDMCを作ったとも言われている、言わば「カンパニーチャンピオン」とも呼ばれるほど世界にその名を轟かせている
そりゃあこんな立派な豪邸が建つはずだ。東京ドーム(全体面積46,755㎡)半分くらいだろうか
「何をしてるんですか?迷いますよ。着いてきてください」
広すぎる敷地と部屋の数などを見ていると会長に着いてこいと言われてしまった。かくれんぼとかドラマの撮影とかもできそうだ
「あんたよく迷わないな。こんなに広いと普通迷うだろ」
「最初はよく迷いました。でも慣れたものです」
スタスタと歩いていく会長に着いていくと、俺の後ろから着いてくるメイドが俺に話しかけてきた
「ああは言っておりますが、お嬢様は先日私の部屋とご自分の部屋を間違われたのですよ」
「へっへぇ…」
ピタッ
急に会長が足を止めた。何かあったのだろうか
「マリス…何を後ろで余計な事を言っているのですか…?」
会長がこちらを向いてプルプル震えている。なるほど…自分の間違いをバラされたから恥ずかしいのと、このマリスというメイドがその事をバラしたので怒っているのか
「仕方ないじゃない…そもそも部屋の番号ぐらい割り振っておきなさいよ…!」
「あんた。意外と可愛い一面あるんだな」
「うるさいですね…さっさと着いてこないと、今度はあなたが迷子になりますよ」
「へいへい…」
なるほど。ただのクールな生徒会長も、家では1人の女の子というわけだ。いわゆるギャップというやつなのだろう

「こちらです」
会長に着いていくと、俺はある部屋に案内された。書斎というやつなのだろうか。他の部屋とは雰囲気が違う
コンコンコン
「はい」
中から男の声がする。ドアをノックした会長がその男に話しかける
「失礼しますお父様。天 閃光くんを連れてまいりました」
ガチャ
ドアが開くと同時に、出迎える形で中の男は現れた。高身長に綺麗な黒のスーツ。ネクタイもブランド物のようで、声も渋く低い女性ウケしそうな声だ。これがイケおじというやつだろう。どうやらこの男が会長の父親で、久遠カンパニーの現社長「久遠 公仁(くおん きみひと)」その人らしい
「楓か。お帰りなさい。噂の彼も一緒だね。中へどうぞ」
「失礼します」
俺は中に入った瞬間、中に居たもう1人の人物に驚いた
「おっ親父!?」
「閃光…?閃光か?なんでこんなところに」
それはこっちのセリフである。なぜ親父がこんな豪勢な屋敷にいるのか俺には理解できなかった。しかも高そうな紅茶とケーキまでご馳走になっているではないか
「何やってんだよ親父…」
「いや~僕も言われるがまま来たもんだから何がなんだか。とりあえず今度いつ来れるか分からないから紅茶とケーキ頂いてたんだ」
我が親ながらいい性格しているものである
「良いんだよ。彼を呼んだのは私だ。君のお父様とは古い友人でね。もちろん格闘家だった頃も知っているよ」
どうやら会長の父親は俺の親父の知り合いのようだ。初耳だ
「親父覚えてんの?」
「きみ君でしょ?よく覚えてるよ。いや~懐かしいなぁ」
たまにこの男が本当に記憶喪失なのか疑わしい。だが親父にないのはあくまで格闘家だった頃の記憶なので別に友人の事を覚えているのは不思議ではない
「で、今回はどうしたの?僕達親子を呼ぶなんて」
「そうだ。俺もあなたの娘さんに用件も何もないまま連れてこられたんです」
「娘が手荒な真似をして済まない。だが娘は私の指示に従ったまでなんだ。勘弁してあげて欲しい。罰ならなんでも受けるよ」
「いや、そこまで怒ってないんで大丈夫です」
「ありがとう」
「で、俺達をここに呼んだ理由は?」
ふーっとため息をつき、会長のお父さんが口を開く
その時言われた言葉は、その場に居た人達が耳を疑った

「単刀直入に言う。閃光くん。WDMCに出たくはないかい?」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...