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始まりの章
第2話 勧誘
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第2話 勧誘
生徒会長の「久遠 楓(くおん かえで)」に呼び出された俺こと「天 閃光(あまつ ひかる)」 は、学校を出て会長に言われるがまま車に乗り込んだ
「どこに連れていく気だ?俺やる事あるんだけど」
「大丈夫。その用事も一瞬で済みますよ」
「家帰って親父の飯も作りたいんだけど」
「それも大丈夫。一緒に来れば分かります」
用件を伝えてくれない会長に俺は呆れて何も言えなかった。ここは従うしかない。心の中で俺はそう悟った。一歩間違えたら軽い誘拐である
「いや…デカすぎだろ…」
止まった車から降りた俺は、目の前に広がるバカでかい屋敷に仰天していた
「早く来てください。そこで立ち止まってる時間はないですよ」
「客人ってもう少し丁重に扱うもんじゃねえの…?」
そんなやり取りをしていると、屋敷の大きなドアまで着いた。どうやらこれが正面玄関のようだ
ガチャ…ギィィ…
「お帰りなさいませ。お嬢様」
「「お帰りなさいませ!!お嬢様!!」」
合わせて20人くらいは居るだろうか。玄関を開けた瞬間メイドと執事が一斉に出迎えている。アニメでしか見たことない光景だ
「なんじゃこりゃ…あんたすげえお金持ちのお嬢様じゃん…」
「あら?言ってなかったですか?私の父は久遠カンパニーって会社の社長なんです」
「つまりあんた…社長令嬢ってことか…」
久遠カンパニー。この世界じゃその名前を知らない人は居ないくらいの大手企業である
電化製品、楽器などのものづくりだけでなく、スポーツジム、ゲームセンター、温泉やパチンコパチスロ制作なども展開しており、この会社の社長がWDMCを作ったとも言われている、言わば「カンパニーチャンピオン」とも呼ばれるほど世界にその名を轟かせている
そりゃあこんな立派な豪邸が建つはずだ。東京ドーム(全体面積46,755㎡)半分くらいだろうか
「何をしてるんですか?迷いますよ。着いてきてください」
広すぎる敷地と部屋の数などを見ていると会長に着いてこいと言われてしまった。かくれんぼとかドラマの撮影とかもできそうだ
「あんたよく迷わないな。こんなに広いと普通迷うだろ」
「最初はよく迷いました。でも慣れたものです」
スタスタと歩いていく会長に着いていくと、俺の後ろから着いてくるメイドが俺に話しかけてきた
「ああは言っておりますが、お嬢様は先日私の部屋とご自分の部屋を間違われたのですよ」
「へっへぇ…」
ピタッ
急に会長が足を止めた。何かあったのだろうか
「マリス…何を後ろで余計な事を言っているのですか…?」
会長がこちらを向いてプルプル震えている。なるほど…自分の間違いをバラされたから恥ずかしいのと、このマリスというメイドがその事をバラしたので怒っているのか
「仕方ないじゃない…そもそも部屋の番号ぐらい割り振っておきなさいよ…!」
「あんた。意外と可愛い一面あるんだな」
「うるさいですね…さっさと着いてこないと、今度はあなたが迷子になりますよ」
「へいへい…」
なるほど。ただのクールな生徒会長も、家では1人の女の子というわけだ。いわゆるギャップというやつなのだろう
「こちらです」
会長に着いていくと、俺はある部屋に案内された。書斎というやつなのだろうか。他の部屋とは雰囲気が違う
コンコンコン
「はい」
中から男の声がする。ドアをノックした会長がその男に話しかける
「失礼しますお父様。天 閃光くんを連れてまいりました」
ガチャ
ドアが開くと同時に、出迎える形で中の男は現れた。高身長に綺麗な黒のスーツ。ネクタイもブランド物のようで、声も渋く低い女性ウケしそうな声だ。これがイケおじというやつだろう。どうやらこの男が会長の父親で、久遠カンパニーの現社長「久遠 公仁(くおん きみひと)」その人らしい
「楓か。お帰りなさい。噂の彼も一緒だね。中へどうぞ」
「失礼します」
俺は中に入った瞬間、中に居たもう1人の人物に驚いた
「おっ親父!?」
「閃光…?閃光か?なんでこんなところに」
それはこっちのセリフである。なぜ親父がこんな豪勢な屋敷にいるのか俺には理解できなかった。しかも高そうな紅茶とケーキまでご馳走になっているではないか
「何やってんだよ親父…」
「いや~僕も言われるがまま来たもんだから何がなんだか。とりあえず今度いつ来れるか分からないから紅茶とケーキ頂いてたんだ」
我が親ながらいい性格しているものである
「良いんだよ。彼を呼んだのは私だ。君のお父様とは古い友人でね。もちろん格闘家だった頃も知っているよ」
どうやら会長の父親は俺の親父の知り合いのようだ。初耳だ
「親父覚えてんの?」
「きみ君でしょ?よく覚えてるよ。いや~懐かしいなぁ」
たまにこの男が本当に記憶喪失なのか疑わしい。だが親父にないのはあくまで格闘家だった頃の記憶なので別に友人の事を覚えているのは不思議ではない
「で、今回はどうしたの?僕達親子を呼ぶなんて」
「そうだ。俺もあなたの娘さんに用件も何もないまま連れてこられたんです」
「娘が手荒な真似をして済まない。だが娘は私の指示に従ったまでなんだ。勘弁してあげて欲しい。罰ならなんでも受けるよ」
「いや、そこまで怒ってないんで大丈夫です」
「ありがとう」
「で、俺達をここに呼んだ理由は?」
ふーっとため息をつき、会長のお父さんが口を開く
その時言われた言葉は、その場に居た人達が耳を疑った
「単刀直入に言う。閃光くん。WDMCに出たくはないかい?」
生徒会長の「久遠 楓(くおん かえで)」に呼び出された俺こと「天 閃光(あまつ ひかる)」 は、学校を出て会長に言われるがまま車に乗り込んだ
「どこに連れていく気だ?俺やる事あるんだけど」
「大丈夫。その用事も一瞬で済みますよ」
「家帰って親父の飯も作りたいんだけど」
「それも大丈夫。一緒に来れば分かります」
用件を伝えてくれない会長に俺は呆れて何も言えなかった。ここは従うしかない。心の中で俺はそう悟った。一歩間違えたら軽い誘拐である
「いや…デカすぎだろ…」
止まった車から降りた俺は、目の前に広がるバカでかい屋敷に仰天していた
「早く来てください。そこで立ち止まってる時間はないですよ」
「客人ってもう少し丁重に扱うもんじゃねえの…?」
そんなやり取りをしていると、屋敷の大きなドアまで着いた。どうやらこれが正面玄関のようだ
ガチャ…ギィィ…
「お帰りなさいませ。お嬢様」
「「お帰りなさいませ!!お嬢様!!」」
合わせて20人くらいは居るだろうか。玄関を開けた瞬間メイドと執事が一斉に出迎えている。アニメでしか見たことない光景だ
「なんじゃこりゃ…あんたすげえお金持ちのお嬢様じゃん…」
「あら?言ってなかったですか?私の父は久遠カンパニーって会社の社長なんです」
「つまりあんた…社長令嬢ってことか…」
久遠カンパニー。この世界じゃその名前を知らない人は居ないくらいの大手企業である
電化製品、楽器などのものづくりだけでなく、スポーツジム、ゲームセンター、温泉やパチンコパチスロ制作なども展開しており、この会社の社長がWDMCを作ったとも言われている、言わば「カンパニーチャンピオン」とも呼ばれるほど世界にその名を轟かせている
そりゃあこんな立派な豪邸が建つはずだ。東京ドーム(全体面積46,755㎡)半分くらいだろうか
「何をしてるんですか?迷いますよ。着いてきてください」
広すぎる敷地と部屋の数などを見ていると会長に着いてこいと言われてしまった。かくれんぼとかドラマの撮影とかもできそうだ
「あんたよく迷わないな。こんなに広いと普通迷うだろ」
「最初はよく迷いました。でも慣れたものです」
スタスタと歩いていく会長に着いていくと、俺の後ろから着いてくるメイドが俺に話しかけてきた
「ああは言っておりますが、お嬢様は先日私の部屋とご自分の部屋を間違われたのですよ」
「へっへぇ…」
ピタッ
急に会長が足を止めた。何かあったのだろうか
「マリス…何を後ろで余計な事を言っているのですか…?」
会長がこちらを向いてプルプル震えている。なるほど…自分の間違いをバラされたから恥ずかしいのと、このマリスというメイドがその事をバラしたので怒っているのか
「仕方ないじゃない…そもそも部屋の番号ぐらい割り振っておきなさいよ…!」
「あんた。意外と可愛い一面あるんだな」
「うるさいですね…さっさと着いてこないと、今度はあなたが迷子になりますよ」
「へいへい…」
なるほど。ただのクールな生徒会長も、家では1人の女の子というわけだ。いわゆるギャップというやつなのだろう
「こちらです」
会長に着いていくと、俺はある部屋に案内された。書斎というやつなのだろうか。他の部屋とは雰囲気が違う
コンコンコン
「はい」
中から男の声がする。ドアをノックした会長がその男に話しかける
「失礼しますお父様。天 閃光くんを連れてまいりました」
ガチャ
ドアが開くと同時に、出迎える形で中の男は現れた。高身長に綺麗な黒のスーツ。ネクタイもブランド物のようで、声も渋く低い女性ウケしそうな声だ。これがイケおじというやつだろう。どうやらこの男が会長の父親で、久遠カンパニーの現社長「久遠 公仁(くおん きみひと)」その人らしい
「楓か。お帰りなさい。噂の彼も一緒だね。中へどうぞ」
「失礼します」
俺は中に入った瞬間、中に居たもう1人の人物に驚いた
「おっ親父!?」
「閃光…?閃光か?なんでこんなところに」
それはこっちのセリフである。なぜ親父がこんな豪勢な屋敷にいるのか俺には理解できなかった。しかも高そうな紅茶とケーキまでご馳走になっているではないか
「何やってんだよ親父…」
「いや~僕も言われるがまま来たもんだから何がなんだか。とりあえず今度いつ来れるか分からないから紅茶とケーキ頂いてたんだ」
我が親ながらいい性格しているものである
「良いんだよ。彼を呼んだのは私だ。君のお父様とは古い友人でね。もちろん格闘家だった頃も知っているよ」
どうやら会長の父親は俺の親父の知り合いのようだ。初耳だ
「親父覚えてんの?」
「きみ君でしょ?よく覚えてるよ。いや~懐かしいなぁ」
たまにこの男が本当に記憶喪失なのか疑わしい。だが親父にないのはあくまで格闘家だった頃の記憶なので別に友人の事を覚えているのは不思議ではない
「で、今回はどうしたの?僕達親子を呼ぶなんて」
「そうだ。俺もあなたの娘さんに用件も何もないまま連れてこられたんです」
「娘が手荒な真似をして済まない。だが娘は私の指示に従ったまでなんだ。勘弁してあげて欲しい。罰ならなんでも受けるよ」
「いや、そこまで怒ってないんで大丈夫です」
「ありがとう」
「で、俺達をここに呼んだ理由は?」
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