婚約破棄されたので田舎の一軒家でカフェを開くことにしました。楽しく自由にしていたら居心地が良いとS級冒険者達が毎日通い詰めるようになりました

緋月らむね

文字の大きさ
28 / 36

第28話 先に試したコーヒー作り

「こんにちは~納品にきました~」

 三人が帰ったとてもいいタイミングで納品の馬車が着いた。

「シサ、悪いんだけど、納品を受け取ってきてくれないかしら?」

「わかりました! 私は掃除も終わったので大丈夫ですよ!」

「ありがとう。私はせっかくだから、さっき収穫したコーヒーの実から種を取り出して、コーヒーを作れる状態まで自分でしようかと思ってるの」

 つまりここからコーヒー豆にまでしようと思っているのだ。

「……すごい量だし、確かコーヒーを淹れる事ができるようになるまでに何工程もあるんでしたよね?」

 シサがカゴの中を見た。

「そうね、でもやれるだけやってみようかなって思って。デイカーの魔道具ができるまでまだ時間もかかるだろうし、このまま置いておいても腐っちゃうから」

「わかりました。私も納品が済んだら手伝いますね!」

「ありがとう」

 私は収穫したコーヒーの実から種を取り出していった。

 そして、納品を受け取り終わったシサも一緒になってコーヒーの実から種を取り出して、二人で数時間かけて全てのコーヒーの実から種を取り出すことができた。

「……全部取り出せるなんて、私達よく頑張ったわね」

「……そうですね。……疲れましたね」

 私とシサは一心不乱に頑張った。

「……この次は乾燥させるんだけど……」

「日に当てるんですよね?」

「そうよ。外の洗濯物干し場のスペースを使って、種を入れたカゴを紐で括り付けて干せばいいんじゃないかって思ってるの」

「それはいいですね!」

「それで、日が沈む前には家の中に入れて」

「それを毎日繰り返すってことですよね?」

「そう、乾燥するまでね。もちろん雨の日は干さないわ」

「わかりました。乾燥するまで日にちもかかりそうだから、その間に魔道具ができているかもしれませんね」

「それはそれでいいわ。今日はもう干せないけど、確認の為に外に行って一度やってみましょう」

「はーい」

 私とシサはコーヒーの種が入ったカゴと納品で使って取っておいた紐を持って、外の洗濯物干し場に行った。

 外はまだ明るかったが、そろそろ日が沈み出す頃だ。

 私はカゴの取っ手に紐を結びつけ、カゴをシサに持ってもらい、紐を洗濯物を干す棒に括り付けてみた。

「これでもいいけど、毎回括り付けるのは大変だから、紐で輪っかを作って、棒に通した方がいいわね」

「そうですね、それが良さそうですね」

 やってみたらうまく干せそうだった。明日から早速干していこうと思う。

 グゥ~

「……すみません」

 シサのお腹の音がした。

「……そういえば、お昼も食べてなくてお腹空いたわね」

「一生懸命になってすっかり忘れてましたね」

 もう夕食に近い時間だったので、そのまま夕食を作った。そして私達は慣れないことをやって疲れていたので、その後すぐに寝てしまった。


 
 コーヒーの種を干し出して、一週間が経った。

 今日は定休日だった。

 まだデイカーから魔道具ができたという知らせは来ていなかった。

 このままコーヒー豆作りを続けていく。

 今日もいつものように日が出たら干し出して、日が沈む前に取り込んでいた。

 取り込む時は乾燥具合を確認しているのだが、もう最初の頃の生っぽい感じがなくなっていた。

「そろそろ良さそうだわ」

 乾燥は今日で終わりにして、今度は焙煎が必要なのだけど……。

 焙煎って確か、乾煎りのことよね……。

 ……フライパンでそのまま炒めたら焙煎になるんじゃないかしら。

 乾燥したコーヒーの種を試しにフライパンで炒めてみることにした。

 私がコーヒーの種を炒めているのを見て、シサが驚いた。

「エルティアお嬢様!フライパンで炒めるんですね!面白いです」

「ええ、でもうまく炒められないわね。焦げちゃったり、ムラもできてるわ」

 しばらく炒めていると一応私が知っているコーヒー豆のように濃い茶色になってきたので、火を止めた。

「なんとか私が知っているコーヒー豆っていう状態になったわ」

「エルティアお嬢様は元々コーヒーのことを知っているんですもんね」

「ええ、そうよ。このあとこれを粉砕すればやっとコーヒーが淹れられるようになるわ」

「長い道のりでしたね」

「だけど、この最後の粉砕が難関なのよ。粉砕はクードの話していた機械でするんだけど、その機械のこともまだデイカーから音沙汰がないから、今日は袋に入れてワインのボトルで叩いて砕こうと思ってるわ」

 機械はつまりコーヒーミルのことだ。

 ないので料理で使うワインのボトルで代用する。

「えっ!ボトルで叩いて砕くんですか?」

「そうよ」

「……難しそうですね」

 シサに心配されたので、全部砕かずに、半分くらいにしておいた。

 しばらく砕いていくと細かくなってきた感じがしたので袋の中を覗いてみた。

「細かくなったから、これでいいわ。これ以上は難しいし」

 細かくはなっていたが、綺麗にはできず、やっぱり瓶では限界があった。

「いい匂いがするわ」

 袋の中はコーヒーのいい香りがした。シサにも香りを嗅いでもらう。

「わぁ~本当ですね。いい香り~」

 香りはいいが、うまくできないので半分にしておいてよかった。
 
 やっとこれでコーヒーを入れてみることができるが、ハンドドリッパーがないので、漏斗で代用するしかない。

 漏斗に布を敷いて、その上に粉砕したコーヒー豆を入れて、漏斗に合う大きさのカップにセットした。

 粉砕したコーヒー豆は何杯かコーヒーを淹れることができそうな量だった。

 お湯を沸かし、さっきコーヒー豆を入れた漏斗にお湯を注いでみた。

「さっきみたいないい香りがしますね」

「そうね」

 香りは前世でよく嗅いだことのあるコーヒーの香りだった。

 少し注いで、カップをみると少し薄いようだが、私のよく知るコーヒー色の液体が入っていた。

「コーヒーが出来たわ」

「本当ですか! ボトルで砕くって言ってたから難しいんじゃないかって思っていましたが、それはよかったです!」

 カップ一杯分のお湯を注いでコーヒーを作った。

 出来たコーヒーを私とシサで分けて、飲んでみた。

「……薄いし酸味があるわね」

「うわっ!! なんですか?これっ! 変な味!!」

 シサが顔をしかめた。

「コーヒーは元々苦いものなんだけど、ちょっとこれは薄くて酸味が強くて美味しくないわ」

 やっぱりコーヒーミルがない状態では難しいようだ。

 勿体無いが残った粉砕したコーヒー豆は処分するしかない。

 残しておいた豆はデイカーがコーヒーミルのような機械を持ってくるまでそのままとっておくことにした。
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

公爵令嬢やめて15年、噂の森でスローライフしてたら最強になりました!〜レベルカンストなので冒険に出る準備、なんて思ったけどハプニングだらけ〜

咲月ねむと
ファンタジー
息苦しい貴族社会から逃げ出して15年。 元公爵令嬢の私、リーナは「魔物の森」の奥で、相棒のもふもふフェンリルと気ままなスローライフを満喫していた。 そんなある日、ひょんなことから自分のレベルがカンストしていることに気づいてしまう。 ​「せっかくだし、冒険に出てみようかしら?」 ​軽い気持ちで始めた“冒険の準備”は、しかし、初日からハプニングの連続! 金策のために採った薬草は、国宝級の秘薬で鑑定士が気絶。 街でチンピラに絡まれれば、無自覚な威圧で撃退し、 初仕事では天災級の魔法でギルドの備品を物理的に破壊! 気づけばいきなり最高ランクの「Sランク冒険者」に認定され、 ボロボロの城壁を「日曜大工のノリ」で修理したら、神々しすぎる城塞が爆誕してしまった。 ​本人はいたって平和に、堅実に、お金を稼ぎたいだけなのに、規格外の生活魔法は今日も今日とて大暴走! ついには帝国の精鋭部隊に追われる亡国の王子様まで保護してしまい、私の「冒険の準備」は、いつの間にか世界の運命を左右する壮大な旅へと変わってしまって……!? ​これは、最強の力を持ってしまったおっとり元令嬢が、その力に全く気づかないまま、周囲に勘違いと畏怖と伝説を振りまいていく、勘違いスローライフ・コメディ! 本人はいつでも、至って真面目にお掃除とお料理をしたいだけなんです。信じてください!

外れ伯爵家の三女、領地で無双する

森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
十三歳の少女アイリス・アルベールは、人生を決める「祝福の儀」で“ゴミスキル”と蔑まれる《アイテムボックス》を授かってしまう。戦えず、稼げず、価値もない――そう断じた家族は、彼女を役立たずとして家から追放する。さらに、優秀なスキルであれば貴族に売り渡すつもりだったという冷酷な真実まで明かされ、アイリスはすべてを失う。 だが絶望の中、彼女は気付く。この世界が、自分がかつてやり込んだVRMMORPG『メデア』そのものであることに。 そして思い出す―― 《アイテムボックス》には、ある“致命的なバグ”が存在することを。 市場で偶然を装いながらアイテムを出し入れし、タイミングをずらすことで発生する“複製バグ”。それは、あらゆる物資を無限に増やす禁断の裏技だった。 食料も、装備も、資金も――すべてが無限。 最底辺から一転、誰にも真似できないチートを手にしたアイリスは、冒険者として歩み始める。だがその力はやがて、経済を歪め、権力者の目に留まり、そして世界の“仕様そのもの”に干渉していくことになる。 これは―― ゴミと呼ばれた少女が、“世界の裏側”を掌握する物語。

置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを 

青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ 学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。 お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。 お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。 レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。 でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。 お相手は隣国の王女アレキサンドラ。 アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。 バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。 バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。 せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました

「お前の看病は必要ない」と追放された令嬢——3日後、王子の熱が40度を超えても、誰も下げ方を知らなかった

歩人
ファンタジー
「お前の看病などいらない。薬師がいれば十分だ」 王太子カールにそう告げられ、侯爵令嬢リーゼは静かに宮廷を去った。 誰も知らなかった。夜ごとの見回り、薬の飲み合わせの管理、感染症の予防措置——宮廷の健康を守っていたのは薬師ではなくリーゼだったことを。 前世で救急看護師だった記憶を持つ彼女は、辺境の診療所で第二の人生を始める。 一方、リーゼが去った宮廷では原因不明の発熱が蔓延し、王太子自身も倒れる。 迎えに来た使者にリーゼは告げる——「お薬は出せます。でも、看護は致しません」

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

銀髪幼女のスローライフ旅 ~お料理バンバン魔法バンバン~

滝川 海老郎
ファンタジー
銀髪で生まれた主人公レナは辺境の村で育った。そこで出会ったのがボーパル・バニーのレクスだった。 レクスは村でなかなか受け入れられず、レナは二人で村を出ることに。 レナの料理が好きなレクス。二人はご飯を食べながら進んでいく。 近くの町について冒険者を始めたレナに、フィオが加わった。 レナとフィオは色々あってレッサー・ワイバーン退治に参加、見事討伐する。 カレーもどきを振舞って、仲間内では有名になっていく。 でも、目標はのんびり生活できるスローライフを目指すこと。旅をして安住の地を探すのだ。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。