寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!

ユウ

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蚊帳の外である私は今日の宴の詳細は聞かされていなかった。
クラリス聖教皇国の使者となる御三方がいらっしゃるということは彼らが下賜される妃の護衛をすることになるのか。


他人事のように思っていた。
そんな中、貴族達が道を開けだした。


「おいでなすったか。馬鹿殿が」

「マクシミリアン」

「んんだよ。不敬だっていいたいのか」

「違う。馬鹿殿という表現が間違いだというのだ。あのような馬鹿王子は馬鹿殿に無礼であろう」

アクエリオン様、さりげなくきついですね。
知的な雰囲気を持つ方だけど言葉は結構キツイ方なのかしら?


「馬鹿なのは同感だ。王太子妃である貴女を粗末に扱う意味を理解していないだろう」

「アルバシア様…」


どうしよう。
彼らはアグナレス王国の内情を詳しくご存じないのね。


まぁ、他国には言いにくいわ。
だって、正妃になるはずの王太子妃が今では追いやられ側妃が正妃になるのが決定しているのだから。


「娼婦が…」

「マクシミリアン様…そのような」

「アンタも何で何も言わねぇんだよ。アンタは政略結婚であろうとも王太子妃だ。聖女なら弁えるべきじゃねぇのか…つーか、国王もまるで解ってねぇな」

「これでは秩序が崩壊だな」


「今は亡き国であろうとも政略結婚の為に嫁いだ姫君を侮辱することが後にどういうことになるか解っているのか・・とはいえ妃を下賜する側として不安があるな」


「ああ、あのケチ王、金を出し渋り、領土も差し出したくない…なのに国の防衛のために騎士を派遣しろだぁ?どこまで強欲で勝手なんだよ」



恐らくだけど、御三方は知らないのね。
下賜される妃が私かもしれないということを。

いいえ、確実に私ではないかしら。
エルバート殿下には側妃となるのはアラクネ様だけ。

だからといって国王陛下の側妃を下賜させることはしないだろうし。


「姫さん、何でアンタはここにいるんだよ。本当ならあそこにいるんじゃねぇのか」

「それは…」


「確かにな。それに下賜される妃は何所にいるんだ。見当たらない」

「はぁー…どうなっているんだ」


言えないわ。
皆様は王太子妃である私は既に廃妃されているも同然で王宮では何の価値もない妃だということを。


きっとこの場で私が下賜されることを皆の前で宣言されるのではないかしら。


「姫、いかがなされたのです」

顔を俯かせる私にアルバシア様は心配そうにしてくださる。
距離を保っているけど優しさが感じられる。

先ほど握手を拒まれたのにも理由があるのではないかと思う。


そんな中国王陛下と王妃陛下が皆の前に現れる。


「皆、今日は良く集まってくれた。本日は長らく続いた戦争が終結したことの祝いと大事な報告がある」


前に出て戦争の事を労う国王陛下。


「皆も知っておるが、魔王軍との戦争が終結し。我が国の聖女も戦争に貢献したことは知っていよう。故にこの度を持って聖女アラクネを正式な正妃とすることをここに宣言する!」


国王陛下の言葉に声を上げる貴族達。


「聖女様万歳!」

「おめでとうございます!王太子妃!」


拍手の音と祝いの言葉が仕切りなしに聞こえる。


「おい姫さん…アンタ知ってたのか」

「聞かされたのは初めてですが廃妃されるのはなんとなく」

「廃妃だと?こんなの吊し上げではないか」

「何所までも腐った王なのか」


私を心配してくださるお優しい騎士様達。
王宮では貴族だけでなく侍女も騎士も私を邪魔者扱いをしていた。

むしろこの光景を見せつけるようだった。
私をチラチラ見て嘲笑う表情が伺える。


でも、辛くない。
悔しいとも思っていない。


だってなんとなく解っていたのだから。

国王陛下の言葉を右から左へ流している中、宰相が書状を読み始めた。


「次にクラリス聖教皇国への献上品代わりとして妃を一人下賜することとする」

「下賜するのはエリーゼ姫です」


既に妃とは呼ばれていない。
そこまで私はこの国にとってよそ者だったのか。


そう思うと涙も引っ込んでしまった。




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