寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!

ユウ

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9初仕事

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初夜も翌日。
私の体に変化が起きた。

言葉で表しにくいのだけど、細胞が生き返ったような感覚だ。
重かったからだが軽くなったような感じで、これも聖騎士と交わったからなのか、女神の加護を持つ方と交わったのかは解らない。


ただ…


「エリーゼ」

「申し訳ありません!」

昨夜の事情の後、私は意識を失い朝になって目を覚ましたのだが。
申し訳なさそうな表情のアルバシア様は捨て犬のような目で私を見る。

「私は…その」

「いえ、謝罪するのは私の方で」



初夜を迎えた夫婦が寝所の上で正座して向かい合い謝罪をし合うなんて色気がなさすぎる。



「何度も言おうとしたのだが」

「君が言おうとしたことはこれだったのか」

「はい」

後の祭りになってしまったけど。


「本当に申し訳ない。私は君の話をちゃんと聞くべきだったな…今後気をつけよう」

「私も…」


察するにアルバシア様は人とのかかわりが少ない。
コミニュケーションの能力も低いのかもしれないと思った。

だから責める気になれないのだけど。


「だが、こんなことを言うのは最低だが」

「はい?」

「君の初めてが私で嬉しい」

「え…」

まるで乙女のように頬を赤らめる。
なまじ美しい顔立ちなので破壊力が半端ない。


「アルバシア様…」


「まだここが熱くて」

「ちょっ!」

私の手を取り頬に置く。
至近距離でキスをされそうになるのだが。


「失礼します」

「姫様、お支度を…」


最悪なタイミングで侍女が入って来た。


「きゃああ!申し訳けございません」

「しっ…失礼します!」


完全に誤解をして去って行く。


「ちょっと待って!」


まだ幼さが残る侍女はきっと私達のやり取りを見て勘違いをしたのだろう。
そして私に迫るアルバシア様に困り果てた。

甘い表情に蜂蜜のような声。
かつてこんな風な表情を向けられることのなく私の心は凍ってしまったと思ったのに。

まだこんな感情が残っていたのかと思い知った。






「昨夜は上手く行ったようで安心しましたわ」

「リーチェ」

「けれど思った以上に、あの方は姫様にお熱だったのですね」

「お熱って…」



その後、一時間後にリーチェが支度の用意をしてくれた。
未だに真っ赤になる侍女達はちらちら私を見ていた気がするけど気のせいだと言い聞かせた。


「証も綺麗に刻まれておりますわね」

「この証とは何なのです?」


「聖騎士の伴侶たる印です。その昔聖騎士と女性が番の儀式を行いましたの」


番って、竜とか聖獣の伴侶のあれかしら?


「一度契約した後に他の男と交わることがないようにと…後は花嫁様の身を守る為です」


かつて神獣の花嫁になった姫君は、時の権力者からの狙われる対象だった。
神と通じ合った事で神通力を得た姫を無理やり自分の物にして子を産ませるという乱暴な男は少なくない。


その為守る名目もあるらしい。


「特にアルテミスの加護を持つ者は決まって清廉潔白な傾向が強いのです。あの方も…まぁ、良く言えば一途、悪く言えば執着心が強いと」


既にフォローする気ないわね!

「まぁ生まれ持った加護が原因なのですが、あの方に限った事ではありません」

「聖騎士の皆様も同じと?」

「はい」


アルバシア様だけでなく氷、炎を解くとするお二人も色々大変なのだろう。
伴侶を持たずにいることもあるらしい。


「ですが加護が強いということは体にも負担が大きいのです。その所為で先代より毒薔薇の騎士様は短命です。伴侶を得ず助けがないばかりに」

「そんな…」

「アクエリアス様も氷の魔力故に体の負担は相当なのです」


聞けば聞くほど、聖騎士という肩書は相当重いのだと知る。
その日、その日を生きるのも大変なのだと思うと同時に悲しくなった。


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