寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!

ユウ

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そもそも、女神の声を聞くだけなら祖国ではそこまで珍しい事はなかったが、他国ではありえないことだった。


「通常、神々と会話できる人間は限られている…が、あの国はその意味を理解していない」


「アグナレス王国ですか」


またしてもあの国か。
声が聞けるだけ等役に立たないと馬鹿にされたことは何度もある。


聖女であるアラクネ様は女神と会話をして信託を何度も賜ったのだろう。
私の場合は信託というものはない。

祈りを捧げ、こちらから語り掛ければアクアレーナ様は答えてくださるのだから。

けれど嫁いでから対話を否定的に見られていた。


「他所の国を悪く言いたくないが、信託すら賜れない女性を聖女とするのはどうなんだ」


「え?」

「私も使者として出向いたときにお顔を見ましたが。本当に女神の加護があるか怪しいですわ」

「これ、止めぬか」


他所の国を悪く言わないように咎める教皇様だったけど、本気に怒っているようには見えなかった。


「多少の浄化能力、小さな加護はあるようだが…女神の代弁者には程遠い娘よ」


「そう…なのですか」

「ああ、加護とは日々の振る舞いで決まるのだ。日々精進し、人々の為に祈れば力は強まる」

その言い方では逆もあると言っているようなものだ。


「エリーゼよ。そなたはイフリートを封じる程の強い力を一時的に得た…水の女神が陰から力を貸した故に」

「そうだったのですか」

「でなければ呪い返しを受けていたはずだ」


胸の奥が温かくなる。
言葉では突き放すような事を言われたけど、あの方は私を見捨てることはなかった。



「だが、女神の加護だけではイフリートを封じることはできない」

「別の力が働いたと?」

「そうなる。そなたには女神の加護以上に守りの力がそなわっているようだ」


これまで結界魔法はほとんど発動されていなかった。
なのにこの国に来てから発動されたというのはどういうことなのか。


「そなたには巫女以上の力が備わっているのは確かだ。故にその力を世の為人の為に使って欲しい」


私なんかでも民の役に立てるならこんなにも嬉しい事はない。

返事は決まっていた。


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