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④
聖女の力なんて欲しくなかった。
私は王室に行くなんて望んでいないのに周りは私を幸運だという。
お父様は王族に私を売るつもりだ。
私はあの人を愛しているのよ!
祈ったのだって無事に帰還してくれることを願必死で祈ったのに。
「この度、そなたが聖女として迎えられたことを心から感謝する」
「まさか息子の代で聖女が現れるとは」
「ああ、これで我が国も安泰だ。あんな王女なんかよりもな」
「もったいないお言葉です」
心にもない言葉を言う。
もう私は人形として生きていくしかないのだから。
「エルバートはどうした」
「それが…」
「まったく何時までも恋愛ごっこをしているんだ!馬鹿な」
「幼少期に決めた婚約です。あの子もまだ子供ですからね」
この二人は王太子妃を軽んじている。
まがりなりにも王女で、この国を守る為に強引な形で嫁がせていたのに。
「夫があんなのだからつけがあるのだわ。王族の結婚に愛なんて必要ないというのに」
「女遊びも満足にできない甲斐性無しが…故にそなたに頼みたい」
「はい」
「息子は王太子妃以外の妻を迎えておらぬ。女遊びも知らぬ甲斐性無しじゃ…そなたが少し手ほどきをしてほしいのだ」
この狸親父。
結婚前の令嬢になんて破廉恥な事を言うの!
「そなたほどの器量よしの令嬢なら婚約者以外も遊んでいるだろう?」
「まぁ陛下ったら…」
どんだけ最低なのか。
腐った夫婦に笑う気力もなかった。
「努力いたします」
必死で笑いながらも私は絶対に嫌だと思った。
だからこそ今夜、寝所を共にすることを避けねばと思った。
「そなたが聖女か」
「お初にお目にかかります」
夜になり顔を合わせることになった私は、心底嫌だと顔に出ている。
自分だけが被害者だと言わんばかりの表情にいら立つ。
同時に形だけの王太子妃にも怒りが芽生えた。
あの女がちゃんと役目をはたしていれば私がこんな地獄を味わうことがなかったのに!
その日からだった。
私の心に悪魔が囁きだしたのは。
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