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第一章婚約破棄と国外追放
5.モフモフ登場
しおりを挟む大きな体につぶらな瞳。
ふわふわのモフモフがエリーゼを見つめじゃれつく。
「えっ…ちょっ!」
「ワンワン!」
襲われるどころか懐かれていた。
「ジャーマンシェパード?」
白狼にしては色が異なっている。
狼にしてはとても顔つきが優し気で前世で見た警察犬のジャーマンシェパードに似ていた。
「ご主人僕だよ!!」
「へ?」
「覚えてない?アルフだよ…ご主人と一緒に走り回っただろ!」
エリーゼにじゃれつき舌を出してぺろぺろ舐める。
「このリボン…貴方アルフ?」
「そうだよ、人間に捕まって死にかけていた僕だよ!大きくなったでしょ!」
「あの時の可愛いアルフ?でも…何で人間の言葉を」
色々驚くことは多かったが、人間の言葉を喋っているのに唖然とする。
「僕は元から精霊だからね!ご主人の役に立ちたくて覚えたんだよ」
(覚えたって…そんなのあり?)
いくら何でも覚えようと思って動物が人間の言葉を習得できるものなのだろうか?
「でも、ご主人は僕達の言葉が解るから必要ないよね」
「えっ…言葉を?」
ある程度の意思疎通はできるけど言葉を話すことなんてできただろうか?
「だって主はモフモフ姫巫女だもん!」
「モフモフ姫巫女?」
何だその微妙な役職は。
確かにモフモフは大好きで前世では警察犬訓練士の所長だった。
動物、特に犬をこよなく愛していたが…
「ご主人、ごめんね?さっきの子達が驚かせて」
「さっきの動物は…」
「うん、僕の配下なんだけど。僕が興奮するあまりびっくりしたんだよ…それで悪い人間を見て」
大体察することができた。
野生の動物であれ、魔獣であれ、強いモノに従うのは共通していた。
特に人になれていない動物や魔獣は人間に対する警戒心が強かったので、御者を悪い人間と判断したのだろう。
「食べたりはしないと思うから大丈夫だと思うけど」
「なら放置で良いわ」
食べはしなくても脳内で地獄の鬼ごっこを想像した。
(フッ…ざまぁ)
魔の森で迷子になって恐怖を味わえばいいと思った。
これで任務遂行は無理だろうし、無事に王都にたどり着くことは不可能だろう。
「とりあえず先に進むわよ」
「僕の背に乗って!」
アルフが頭を下げ、乗るように告げる。
流石に魔の森を歩いて行くのは難しいので背に乗らせてもらった。
アルフに乗せてもらいながら森の出口を探すと光が差し込む。
「出口だわ」
「うん、ここから合流しよう」
(ん?)
合流と言われて首をかしげるも、とりあえず森から抜けることができればいいと思っていた。
その先でさらなる受難が待ち受けていることも知らずに。
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