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第一章婚約破棄と国外追放
11.ドナドナ
しおりを挟むテントが張られている場所に向かい、エリーゼは生きた心地がしない。
もうすぐ公開処刑が始まるのだろうか。
それとも、もっとひどい目にあわされる可能性も見えて来た。
簡単に敵国に娘を売り渡す両親に元婚約者は、自分達の立ち上が悪く成れば狂言を放つだろう。
(私に責任を押し付けられる可能性は高いわね)
王家の華とも謳われる絶世の美女ともてはやされる、ユーフェミアは他国からも縁談が舞い込むほどだった。
見目麗しく器量も良く、魔力も高い。
対してエリーゼは強い魔力を持つわけでもなく錬金術を得意としている。
魔法は天性の素質。
持って生まれた才能がほとんどで、努力しても才能の穴を埋めることができなかった。
精霊の恩恵を受けて当然の国は魔法に頼らずに生きていく術を知らない。
特に王侯貴族などは魔力を持っていて当たり前と偏った考えを持っていたので、エリーゼが努力しても所詮は才能がない者の悪あがきとされていた。
王太子妃候補となってからも変わることなく、公務を代理で行う姿は都合のいい女でしかなく。
貴族達から礼を尽くされることなく下目に見られていた。
反対に、常に輝くユーフェミアこそが王太子妃に相応しいと囁かれていた。
他国からも女神の恩恵を受けた美貌を持つユーフェミアを妃に欲している王族に貴族も後を絶たなかった。
(ユーフェミアの為ならな簡単に私を殺すでしょうね)
今回の事で帝国側の怒り買っても、エリーゼが我儘を言ったと言い切るだろう。
万一火の粉が被れば、その責任をエリーゼ一人に負わせて終わりだと思っているかもしれない。
平和条約を結ぶための約束を破った以上、どんな沙汰が下るか。
(ああ…短かった私の人生)
カイルがテントの前に立ち止まり、他の騎士達が集まって来る。
彼等はエリーゼを見る表情は、眉をしかめていた。
(絶対、ここで殺されるわ!!)
歓迎されていないと感じたエリーゼは、この場で殺されてもおかしくない。
剣で胸をつかれるのか。
それとも、火炙りの刑にされるのか。
どちらにしても地獄行きは確実だと思ったエリーゼは、逃げる選択肢はなかった。
「さぁ、リゼ様」
「はっ…はい」
椅子に座らされ、何処までも優しい表情で見つめられる。
(なんでこんなに優し気な目をしているの?)
他の騎士はともなくカイルの目は何処までも優しくて、今から罪人を殺すとは思えない。
(もしや、死ぬ前に慈悲?)
騎士道を貫く帝国側の騎士団は常に紳士であるべきだと教えられてると聞くので、このやり取りも騎士道としてあり方なのかと的外れな考えをしていた。
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