【本編完結】婚約者には愛する人がいるのでツギハギ令嬢は身を引きます!

ユウ

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第一章

28.本心




私は飾りじゃない。
確かにいてもいなくても良い存在かもしれない。




『聖女を殺した貴女が一生かけて償うのです』

『それしか価値のないのだから』



ずっと言われて来た言葉が頭に残っている。
私はこの帝国の月を奪ってしまった罪人だからこそ、私なりに償いたかった。


「私は公爵令嬢としての責任があります。例え貴族令嬢失格と言われ加護が無くとも、派閥をこれ以上酷くならないように振舞うことが唯一の道…お兄様の病さえ治れば道はあります!」


社交界の陰口は日常茶飯事。
言われたから言い返していてはきりがない事も解っている。


だから私は言い返さない。
何より恐ろしいのは、貴族が本当に帝国を支配してしまう事。

公爵令嬢と言っても私はまだ結婚もしていないし爵位も持っていないからなんの力もないけど。
まだできることはあるのだから。


「公に立つだけが公爵令嬢の勤めではありません!私は日陰でもお兄様が公爵家を正式に継ぐ時までの準備をするつもりです…ツギハギ令嬢と言われようとも私は自分の意思で動いてます。侍女になることを選んだのも変わりたいから宮殿に来たんです」


逃げ道を完全に無くすために。


「アリア様…」

「一度死ぬぐらい追い込んで武者修行をするべく参ったのです」


「「は?」」


花嫁修業とは武者修行なるもの。
ハント侯爵家の花嫁修業はまだ甘いのだと思った。

ならば一層の事弱い自分を鍛えなおすべく私は死ぬ気で励もうと思った。


「ですから私をもっと罵倒してください!」

「どうしたらその発想になるのよ!このポンコツ姫!さっきまでの私の感動を返しなさいよ」

「ちょっとオディール!」


売り言葉に買い言葉で大それたことを言ってしまった。


「申し訳ありません!」

「だから謝るんじゃないわよ!むかつく女ね!」

「だから止めなさいと…」


私は土下座をして謝るも余計に怒られてしまった。


「何をしているんですか」

「レクシー…」

「新人を床に這いつくばらせるなんて、なんて非道な真似を!」


私を見てもう一人の先輩侍女が怒鳴り散らす。


「また癇癪を起したんですか?貴女って人は…何でもかんでも敵味方の区別をつけなくては気が済まないんですか?そんな野蛮な考えだから演奏にも影響が起きるのです」

「それは関係ないでしょ」

「ありますわ。ローゼン宮の薔薇を美しく育てるには美しい心で演奏をしなくてはなりませんのに」

アステリア帝国の聖花は美しい音楽を聞かせることでより輝きを増すと言われている。
そんなこともあり皇居では宮廷音楽団があり、特に腕の良い物はオーケストラ団に入るのだ。


女官は勿論侍女も音楽の嗜みを持つ。
美しい心を持つ者は美しい音色を奏でらえると言われており、女性としてもステータスなのだ。

「先日も練習でミスをしたとか」

「それは…」

「貴女はもう少し他者を愛する事から始めなさい」


その結果私達は――。


「何で私まで」

「それは私の台詞よ。罰として夜の見回りなんて」


騒ぎを起こした事で罰を受け夜の見回りを命じられた。
ちゃんと衛兵が見回りをしているので問題ないのだけどローゼン宮殿の中は古く夜の絵画は雰囲気がある。


「いやぁぁ!光ったわよ」

「何か動いて…」


二人が驚き下に動いている何かを見つけた私をそれに気づく。


「ヤモリですわ」

「ひっ…いやぁぁぁ!」

「ちょっとオディール!」


床をカサカサ動いているヤモリを素手で掴んで見せると、オディールは逃げて行った。


「アリア、貴女平気なの?」

「はい、領地ではマングースと蛇もいましたし。花を育てていると虫も多いので」


公爵領地にいる頃は野原を走り回っていたから。
ちなみにシシィー様は爬虫類が大好きだったから私も一緒になって蛇の観察をしていた。


「オディールはお化けと爬虫類に女好きな男が嫌いなんです」

「そうでしたか。また嫌われることをしてしまいしたね」


仲良くなりたいのに難しいわ。
オディール様はこの宮殿に来て初めて話しかけてくださった方なのに。


「あの…オディールの事を嫌いだとは思いませんの?」

「何故です?初日から私に声をかけてくださり。お仕事も簡単なのにしてくださいました。先ほども叱咤激励も親切でしてくださったのですよね?」

「アリア…貴女はある意味大物になりますわ。皇女殿下の寵愛を受けた理由が解りました」

ため息を付きながら天井を見上げるカノン様はその後私に呼びしてにして欲しいと言われた。



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