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第二章
32.大公夫婦
あの日以来、顔を合わせることがなかった。
でも、何とも思わなかった。
過去の私は惨めな気分になっていたのに、平気だった。
「ごきげんよう」
「えっ…」
私を見てエイミールは驚きながら頬を染めるも隣にいるシャロンは私を睨みながら攻撃的な言葉をかけられた。
「マナー違反よ。格下の身分が馴れ馴れしくエイミールに話しかけるなんて」
「おいシャロン…そんな言い方は」
「あら?何を言っているのシャロン」
「はぁ?なんて無礼なの!」
二人は私にまるで気づいてないようだった。
少しお化粧をしてドレスアップをしただけなのに。
「私を呼び捨てに…」
「アリア!来ていたんだね」
シャロンの言葉を遮るように現れた男性に私は挨拶を交わす。
「いや、美しい装いだ」
「ちょっと、私の言葉を遮るなんて!」
「何だね君は?先ほどからアリアに対して無礼だな」
シャロンに気づき眉を顰める。
「君は何処の令嬢だ。セレンティア公爵家のご令嬢に随分と攻撃的だな。私に対しても随分と無礼だな」
「は?セレンティア公爵家?」
「何だ田舎者か…随分と世間知らずだな。彼女が身につけている髪飾りはセレンティア家の家紋ではないか…子供でも知っているが」
「なっ…アドリア―ナだったの?」
「公爵令嬢を呼びしてにするとはなんて無礼ですの?」
そこに現れた夫人は高齢でありながらも威厳が見えた。
「夫を大公と知っての狼藉ですの?」
「は?大公?」
まさかシャロンは知らなかったのかしら?
今目の前にいるお二人はちゃんと家紋を身に着けているのに。
「お祖父様!お祖母様」
「ごきげんよう、ディーノ。貴方も参加していたのね」
「はい、お二人も参加されていたのですね」
「ええ、主催者側にどうしても頼まれましたのよ」
オスカル・シンパシー様とシャイニア・シンパシー様。
お二人は先代皇帝陛下の弟君に当たり、ディーノの祖父母に当たるのだ。
一時は皇帝陛下代行を務めていた。
現国王陛下の育ての親でもある。
「ディーノ様のお祖父様?」
「まさか…」
驚いた表情をするだけのシャロンと打って変わり、エイミールは真っ青な表情をしていた。
本当に気づかないなんてどうかしているわ。
「それにしても君にはやはり純白が似合うね。これまで装いも貞節を重んじていて良かったが」
「まぁ、兄君の病が治るように願掛けをされていたのでしょう?先代公爵家でもありましたもの…自身の装いを控えめにして神に祈りを捧げる。なんて健気なのでしょう」
そんなつもりは一切ないのだけどうなっているのかしら?
「それにしても、本日のパーティーに相応しくない方が参加していられますわ。何方かしら?ハント侯爵子息」
流し目で尋ねられる大公妃の言葉で周りの視線も厳しくなった。
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