ランプの令嬢は妹の婚約者に溺愛され過ぎている

ユウ

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第一部.婚約者は異国の王子様

10.妹の婚約

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フローレンスが学園で首席を獲得したことは両親にも伝えられたが、彼等の対応は厳しモノだった。


「たかが学園で一位になったからなんだ?」

「その程度当然でしょう?今まで怠けていたのですね」


その一言で片づけられてしまった。
これまでどんなに周りから評価されようとも両親からすればできて当たり前だと言われる始末。



「それよりも学園でジェネットに意地悪を言ったそうね?」

「シュナイダー殿から聞いたぞ。なんて酷い姉なんだ…美しい妹に嫉妬しなんて醜いんだ。これではお前なんかの夫になるシュナイダー殿が哀れだ…どうせお前は形だけ妻とは言え、あの方の沽券に関わる!」


学園での出来事を告げ口したのだと知るも、真実と異なることを告げられてしまったことに失望する。

(私を陥れる為に…)

学園内では妹のジェネットに嫉妬して嫌がらせをしていると誰かが吹聴しているとクロエに聞かされたことがあるが、その噂を流したのは誰かなんて解っていた。

あえて犯人を捜す気もなかったが、日に日にシュナイダーへの情はなくなっていた。

しかし両親が決めた婚約者をこちらから白紙に戻すのは難しく。
愛の無い婚約で、結婚後も仮面夫婦になるのは理解していながらも自分は当主としての役目を全うする覚悟だった。

そこにシュナイダーへの愛はない。
あるとしたら家族からも不遇な扱いを受けている中、親切にしてくれたリシュベール家に対する恩があるからだった。


「そうよ?どうぜ愛人を作られてしまうとは言え、社交界の笑いものになっては我が伯爵家の恥です…後に公爵夫人となるジェネットに傷をつける気なの?」

「えっ…」

「クラエス公爵家から縁談の申し込みが来た。国王陛下からも是非にとな…ジェネットは一介の貴族に嫁ぐ器ではない。本来ならば王太子妃になっても可笑しくないが…相手は公爵様のご子息でもあるならば」

「公爵夫人となれば、これ以上の富と名声はありませんわ」


二人の笑みは娘を公爵家に嫁がせ自分達も王族の親戚に仲間入りを果たすことを望んでいた。

娘の幸せは名門の貴族で資産家に嫁がせることだとばかり思っている。


(呆れて何も言えないわ…)


何処まで自惚れているのだろうか。
伯爵家の令嬢に過ぎないジェネットが王太子の婚約者になれるわけがない。

家格が違い過ぎるのだから。
それに後の王妃になる為には幼少期からお妃教育を受けなくてはならず、真面な淑女教育も受けていないジェネットに務まるはずがない。


温室の中で大切に育てられたジェネットが他の貴族令嬢に他国の貴賓と対等に渡り歩くなんて不可能だった。


(けれどクラエス領地は特殊だから安心ね)


東南地方を統べるクラエス領地。
そこはかつてプロキサン国の一部だった場所であり、砂漠も多い場所だった。

元は後進国とも言われていたシプロキサン国の王族はマナーも遅れていたことで、先進国からは野蛮で田舎者だと馬鹿にされていた。


「ご子息が蛮族の…しかも庶子の血を引いているのが不満だが」

「それさえ目を瞑れば最高の条件だわ」


(どこまでも酷い人達…)


貴族の令嬢や子息だって愛人の子供は多くいる。
なのに血筋で人を判断し、相手をちゃんと見ようともしない両親は何様なのだと思った。


「貴女には当主としての器などないにも関わらずお義母様の情けで後継ぎなれるのです」

「今後は、これまでのような傍若無人な振る舞いは許されん。ジェネットは公爵夫人となるのだからな!」


遠回しにお前はジェネットの格下になるのだから身の程を弁えろと言っていたのだが…


「嫌よ!絶対に嫌!」


ジェネットの泣き叫ぶような声が聞こえた。


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