ランプの令嬢は妹の婚約者に溺愛され過ぎている

ユウ

文字の大きさ
48 / 128
第二部.薔薇の花嫁

14.幸福の地







クラエス領地は南国であり、隣国のシプロキサンと直接貿易をしていた。

その為、シプロキサンの人間の出入りが多く。
また、その逆も多かった。

国内で最も平和な領地なのは、豊かな自然に恵まれ。
特産物となっている作物が多いことも理由の一つったとも言える。


「こうして見ると、クラエス領地は本当に豊かよね」

「ああ、他の領地では貧富の差が激しいのに…町の方は随分と活気があったな」

「ええ、領民の方も気風が言いと言いましょうか」

貴族からは身分を弁えないと言う声もあるが、クロエからすれば観光に来た客を誰も拒まず受け入れようとする心は見習うべきだった。


「それに、ここのアイス…美味しかったですし」

「殿下に文句を言っていたのにか?」

「ムッ…そういう貴方だって、ケバブを放り込まれながらも美味しそうにほ奪っていたではありませんか」

「美味しかったんだ」


二人は一日で既にクラエス領地に心を奪われていた。
特に食事が気に入ったようだった。


「王都では手ベられない食事が多いですわ。特にシナモンの入ったこの紅茶…なんて美味しいのかしら」


「このジンジャーティーも素晴らしい」


二人はシプロキサン文明に関して偏見を持っていない。
その所為もあるのか、新しい物に関しても寛大に行けいれられるし、特にクロエは侯爵令嬢でありながら商会を任されているので新しいものが好きだった。


「シプロキサンの茶器も素晴らしいですわ。今度我が商会でも取り入れたいですわね」

「君の商会は服飾の専門だろう?」

「お客様をお招きする時にこの茶器を用意するのです。美しいものが嫌いな女性はおりませんわ」

「なるほどな」


未だにシプロキサン後進国と馬鹿にする貴族は多いが、そういう人間に限って物を知らないのだった。


「百聞は一見に如かずですわ」

「君はぐいぐい行くからな」

「これまでは遠慮してましたのよ?第二王子殿下の婚約者である身でしたし…でも、遠慮する必要はなくなりましたし」

「えっ?それは…」


クロエの言葉に戸惑うフローレンス。
セイロンは深いため息をつきながらお茶をもう一杯飲みながら告げた。


「フローレンス嬢、君には色々話さなくてはならないことがある」

「え?」

「君がいなくなってから王都は少々荒れだしてね…」


セイロンはできるだけ穏やかな表情で告げるも声が少し低く感じた。


「君の耳に入れるかどうか、迷ったんだが…知らないよりも知っている方がいい」

「フローレンス様の御心が不安定なら、私もお耳に入れるつもりはありませんでしたわ。でも、問題ないかと」

「そうだね。だから、話してもいいかな?」

セイロンは、フローレンスの事を気遣いながら再度尋ねる。

「聞くか、聞かないかは君次第だ」

「セイロン様…」


王都を離れて、穏やかな暮らしをしているフローレンスを二度と傷つけたくない。

その一方で、何も知らず箱庭の生活に甘んじることを良しとしないのがフローレンスだと思っていたセイロンは問うたのだった。


聞くか、聞かないかの有無を。


感想 271

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

噂の悪女が妻になりました

はくまいキャベツ
恋愛
ミラ・イヴァンチスカ。 国王の右腕と言われている宰相を父に持つ彼女は見目麗しく気品溢れる容姿とは裏腹に、父の権力を良い事に贅沢を好み、自分と同等かそれ以上の人間としか付き合わないプライドの塊の様な女だという。 その名前は国中に知れ渡っており、田舎の貧乏貴族ローガン・ウィリアムズの耳にも届いていた。そんな彼に一通の手紙が届く。その手紙にはあの噂の悪女、ミラ・イヴァンチスカとの婚姻を勧める内容が書かれていた。

小石だと思っていた妻が、実は宝石だった。〜ある伯爵夫の自滅

みこと。
恋愛
アーノルド・ロッキムは裕福な伯爵家の当主だ。我が世の春を楽しみ、憂いなく遊び暮らしていたところ、引退中の親から子爵家の娘を嫁にと勧められる。 美人だと伝え聞く子爵の娘を娶ってみれば、田舎臭い冴えない女。 アーノルドは妻を離れに押し込み、顧みることなく、大切な約束も無視してしまった。 この縁談に秘められた、真の意味にも気づかずに──。 ※全7話で完結。「小説家になろう」様でも掲載しています。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について

夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。 ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。 しかし、断罪劇は予想外の展開へ。

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

私と幼馴染と十年間の婚約者

川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。 それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。 アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。 婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?