ランプの令嬢は妹の婚約者に溺愛され過ぎている

ユウ

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第三部.栄光と失墜

1.非常識な一家





フローレンスが王都を離れて三か月の月日が流れる頃。
学園で起きた事件をきっかけに、生徒に対する指導が厳しくなっていた。

以前から予定されていたカリキュラムも追加して、進級試験を厳しくするようになった。



学園での評価は、社交界ですぐに噂になる。


「聞きまして、先日の試験で子爵家の御令嬢がSクラスに進級なさったとか」

「ええ、普通科から飛び越えてSクラスだなんて」

「でも、その逆もしかりだとか…」



噂話が大好きな奥様は達は早速、試験の結果を話していた。

「私の娘も、この度の試験で、Sクラスに上がれましたのよ」

「まぁ、おめでとうございます」

「何を言ってますの?奥様のご子息は、普通科でありますが、実技試験はトップいらしたとか。卒業後は王立研究所で働くことが決まっていると聞きましてよ」

「ありがとうございます」

三人の奥様は、共に娘や息子が新しく導入されたカリキュラムで四苦八苦していたが、なんとか食らいついている。

身分的には高位貴族ではないので、優秀な成績を収めても将来は決まっていたのだが、新しく導入されたカリキュラムのおかげで、卒業後も安泰だった。

「そういえば奥様のご子息は先日、医師になる為の試験を受けられたのですね」

「ええ…息子はずっと医師になりたいと申していましたが…」

以前まで医師になれるのは身分が高い貴族が多かった。
試験に合格する確率も低いので、親としてはあまり賛成できなかったのだが…

「息子は以前から看護に関心を持っていらしたフローレンス様に勉強を見てもらっていましたの…私の身分では満足な教育ができませんでしたが」

「フローレンス様は、身分が低く、十分な英才教育を受けてない私の娘にも勉強を見てくださいましたわ」

「私の夫は戦場で負傷した時に看護してくださいましたの」

三人は共にフローレンスに恩が合ったのを語り合う。


「あの方は貴族令嬢としても、人としても素晴らしい方ですわ」

「ええ、我が国の女神様にいで、聖女様と呼ばれる程のお方ですものね」

「もう一度、お会いしたいですわ」

アスガルト伯爵家を追われ、王都から追い出され、売り飛ばされるように妹の婚約者に嫁がされた噂が流れ。

その噂は、今では社交界の醜聞スキャンダルになっている。


「姉の婚約者を奪うなんてなんて恥さらしなのかしらね?」

「シッ…その恥さらしがいらっしゃいましたわ」

「まぁ、なんて図太いのかしら」


一時期、社交場に出ることを禁じられ謹慎処分になったアスガルト伯爵一家とその婚約者。


今でも王宮の出入りは許されていないが、他のお邸の出入りは許されるようになっている。


とは言え、主催者は彼等を呼ぶ気はなかった。


「お気の毒ですわ、ムルソー伯爵夫人」

「ええ、できれば呼びたくないはずですもの」

「私達も顔を合わせないようにしましょう」


入口から堂々と入って来る一家に、招待客はそろって視線を合わせないようにした。


「あら、ごきげんよう」


しかし、そんなことを気づかづに声をかける非常識な一家だった。

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