73 / 128
第三部.栄光と失墜
2.マナー違反
パーティー会場に入って来て、早々に声をかけられて迷惑そうな表情をする夫人や、遠巻きでヒソヒソ囁く声。
使用人が冷ややかな表情をしたりと、彼等に向ける視線はかなり冷たかった。
「何ですの…声をかけているのに!」
苛立ちを感じながら再度声をかけようとするアミールだったが、声をかけても無視をされたり。
他の話で盛り上がって聞こえない振りをしていた。
そこに、彼等とは遅れて会場入りを果たした貴族がいた。
「ごきげんよう」
「まぁ、リシュベール侯爵夫人」
「お声をかけていただき光栄ですわ」
エレンフレッドにエスコートされ美しく聞かざるビアンカに夫人達は挨拶を交わした。
「まぁ、なんて煌びやかな髪飾りですの?」
「ありがとうございます。先日、夫が記念日にと」
「まぁ、相変わらず仲睦まじいですわね。今では社交界で最も仲睦まじいご夫婦ですわ」
「本当に」
ビアンカと楽しく会話をするも、アミールは完全に無視をされている状態だった。
「お待ちなさい!私を無視しないでください」
「なっ!」
マナー違反をしたことにも気づかず、怒鳴り散らすジェネットを信じられないと見つめる夫人達、他にも冷たい視線を向ける貴族は多かった。
「ごきげんよう、ビアンカ様」
アミールが挨拶をするも、完全に無視をしながら背を向ける。
「ごきげんよう、ノーチェス伯爵夫人」
「ごきげんよう」
友人が近くをお降りかかっていたので挨拶を交わすが、この態度にジェネットは怒りを覚える。
「私を無視するなんてどういうつもりですの!」
去ろうとするビアンカの手を掴もうとするも。
バシッ!
「なっ…何を!」
側にいた貴族夫人が扇を投げつける。
「ジェネット!」
「何をされます!」
直ぐにアミールが駆け寄り、シュナイダーが睨みつけるも。
「失礼しましたわ。蠅がいたと」
「ええ、さっきから煩い蠅が、ビアンカ様の手に止まろうとしていましたの。ごめんあそばせ」
まるで悪びれることもなく謝罪するが、意味のない謝罪だった。
「娘を愚弄する気か!」
「愚弄しているのはどちらですの?社交界のルールを破ったのは何方ですの?」
カーネルが睨み、怒鳴ろうとするも。
ビアンカがルール違反をしたことを告げた。
「わが国だけでなく、どの国も共通して、格下の人間が格上の人間に声をかけるなんて許されませんわ」
「リシュベール侯爵家は高位貴族。対して伯爵程度の貴方達が簡単に声をかけることは許されません」
「それに、この度、ビアンカ様は王妃様の側付きを命じられました。その意味を御存じですの?」
通常、王宮に仕える侍女は次女、三女が多い。
ただし、王妃の側仕えとなれば別だった。
特に王妃専属の侍女は伯爵夫人、侯爵夫人も存在する。
先代女王陛下の側仕えが、元女侯爵だった前例もあるのだから。
しかし、常識を知らない者は告げる。
「まぁ、なんて惨めなのかしら」
高位貴族でありながら誰かに仕えなくてはならない者を愚かだと思っている常識知らずがここにいた。
あなたにおすすめの小説
噂の悪女が妻になりました
はくまいキャベツ
恋愛
ミラ・イヴァンチスカ。
国王の右腕と言われている宰相を父に持つ彼女は見目麗しく気品溢れる容姿とは裏腹に、父の権力を良い事に贅沢を好み、自分と同等かそれ以上の人間としか付き合わないプライドの塊の様な女だという。
その名前は国中に知れ渡っており、田舎の貧乏貴族ローガン・ウィリアムズの耳にも届いていた。そんな彼に一通の手紙が届く。その手紙にはあの噂の悪女、ミラ・イヴァンチスカとの婚姻を勧める内容が書かれていた。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
政略結婚した旦那様に「貴女を愛することはない」と言われたけど、猫がいるから全然平気
ハルイロ
恋愛
皇帝陛下の命令で、唐突に決まった私の結婚。しかし、それは、幸せとは程遠いものだった。
夫には顧みられず、使用人からも邪険に扱われた私は、与えられた粗末な家に引きこもって泣き暮らしていた。そんな時、出会ったのは、1匹の猫。その猫との出会いが私の運命を変えた。
猫達とより良い暮らしを送るために、夫なんて邪魔なだけ。それに気付いた私は、さっさと婚家を脱出。それから数年、私は、猫と好きなことをして幸せに過ごしていた。
それなのに、なぜか態度を急変させた夫が、私にグイグイ迫ってきた。
「イヤイヤ、私には猫がいればいいので、旦那様は今まで通り不要なんです!」
勘違いで妻を遠ざけていた夫と猫をこよなく愛する妻のちょっとずれた愛溢れるお話
私と幼馴染と十年間の婚約者
川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。
それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。
アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。
婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?
小石だと思っていた妻が、実は宝石だった。〜ある伯爵夫の自滅
みこと。
恋愛
アーノルド・ロッキムは裕福な伯爵家の当主だ。我が世の春を楽しみ、憂いなく遊び暮らしていたところ、引退中の親から子爵家の娘を嫁にと勧められる。
美人だと伝え聞く子爵の娘を娶ってみれば、田舎臭い冴えない女。
アーノルドは妻を離れに押し込み、顧みることなく、大切な約束も無視してしまった。
この縁談に秘められた、真の意味にも気づかずに──。
※全7話で完結。「小説家になろう」様でも掲載しています。
居候と婚約者が手を組んでいた!
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!
って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!
父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。
アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。
最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。