ランプの令嬢は妹の婚約者に溺愛され過ぎている

ユウ

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第四部.幸せになる条件

12.女の試練



結婚式を一週間に控えたフローレンスとアリシエは王都内にあるクラエス家の別邸に留まっていた。


王族の結婚式ともなると準備は大掛かりであるので、王宮に留まる方が効率が良かったのだが、貴族派等や、クラエス家に媚びを売ろうとする輩との接触を避ける為でもある。


結婚式を終えるまでの間はクラエス家と、菩提樹宮に行き帰りと。
これまでフローレンスを支持してくれた貴族に商人達と親しい人を招いたお茶会等に顔を出す程度だった。



「お初にお目にかかります。本日より、アスガルト令嬢の護衛をせていただきます。エルリック・ハーベストと申します」

「もしや、キャサリン様の婚約者でいらした…」

「はい、覚えていただき光栄です」


在学中に何度か目にしたことがある。
途中で、地方に飛ばされたと聞いていたが、王都に戻り、しかも第二騎士団を任されているとは知らなかった。


「まぁ、すごい出世ですわ。ですがエルリック様は騎士として大変優秀でいらしゃいましたし…当然かもしれませんわ」

「地方に飛ばされたのは良い経験になりました。恐れながら私も貴女様が殿下の婚約者と伺った時は驚きました」

「では、お互い様ですわね。ご結婚なされたのでしょうか?」

「ええ」

嬉しそうに微笑むエルリックを見てフローレンスも嬉しくなる。

「キャサリン様はとっても優秀な令嬢ですもの」

「少々気が強いのが困りものです」

「でも、そんな所もお好きなのでしょう?」

「まぁ…」

恥ずかしそうにする表情を見る当たり、二人の結婚生活は良好だと思った。


「婚儀までは私‥いいえ、私達夫婦がお守りします」

「私達?」

どういうことだろうかと、首をかしげているとノックの音が聞こえた。


「失礼いたします」

「キャサリン様!」

「ご機嫌麗しゅうございます。フローレンス様」

現れたのは侍女の装いをしたキャサリンだった。


「お元気そうで…」

「ええ、元気にしておりますわ」

二人は握手を交わし、再会を喜び合った。
何度か同じ授業を受けた仲であるが、特別親しい訳でもなかったが互いに気になる存在だった。


「結婚式が終わるまでの間は私共にお任せを…最高の晴れ舞台にいたしますわ」

「ありがとうございます」

キャサリンは在学中も他国の異文化を熱心に学び、特に芸術の才が優れていた。

「美容師に関しては王都一番ですので、お任せください」

「ありがとうございます」

「ですので、本日からエステです」

「え…」


穏やかな空気が一変する。

「エステ…」

「ええ、今日から念入りに磨きますわ」

「でも、クラエス家でも十分…」

ここに来てまでもエステなんて正直拷問だった。


「なりません、もっと磨きます。アスガルト侯爵夫人から念入りに磨くように仰せつかりましたので」

(そんなぁぁぁ!!)

エステだけどうしても勘弁してほしかったが、キャサリンの目を見たら断ることも叶わない。


「さぁ、スペシャルデラックスコースで参りますわ」

「えっ…ちょっと!」

「勿論、特注で作ったコルセットで体のラインも整えますので」


(嫌ぁぁぁ!!)


こうして結婚式までの一週間、フローレンスの戦いが始まったのだった。




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