ランプの令嬢は妹の婚約者に溺愛され過ぎている

ユウ

文字の大きさ
112 / 128
第四部.幸せになる条件

15.大迷惑な連中



時は遡ること、二時間前の出来事。
クラエス家の別邸で騒ぎを起こす続けた連中に頭を抱えた、フローレンスは部屋を出ようとした。


「お待ちください、フローレンス様」

「行けませんわ」


言うまでもなく、クロエとキャサリンが止めに入る。
侍女達も必死に止めるが、フローレンスは外に出ようとしていた。


「あんな連中にこれ以上関わってはなりません」

「今、夫が衛兵を呼んでおります。すぐに連行させますわ」

「ですが、これ以上の狼藉を黙っているわけには参りません」

万一、連行されても同じだと思った。
また、釈放されて押しかけて来るのではないか?

貴族街と言えど、完全に封鎖されているわけではない。
平民が貴族街に入ることはまずないが、元貴族であった彼等ならば入る事なんて簡単だ。

ただし、周りは冷めた目で見るだろうが。


「私は公爵夫人になるのよ…無礼者!!」


「今すぐ不敬罪にしてくれる。私は王族の親族だぞ!」



外で騒ぎ続けている彼等を見てげんなりする使用人達。
こんな騒ぎを続けられたらご近所でおかしな噂が流れるだろう。


流れたとしても、勝手に彼等が騒いでいるだけと片付ければいいのだが…


「無礼者…王都を追放された出来損ないの癖に」

「なっ!」


キャサリンの目の前でエリックを貶すジェネット。
あまつさえ許しがたい暴言を吐き続ける。


「貴様は、去年、身の程を弁えずにジェネットに懸想した騎士か…出来損ないの分際でまだ騎士をしていたのか?騎士団は余程人手不足なのか…こんな屑を」


「本当に、身分卑しく、才能もないのにまだ騎士をするなんて愚かです事」


嘲笑い見下す彼等は知らなかった。
第二騎士団の団服を身に纏い、隊長まで上り詰め出世しているエルリックに対して侮辱は許されないのに。

「はぁー…相変わらずの頭の悪さは健在か」

「何だと?」

「訂正しておきますが、私が貴女に懸想したことは一度もありません。私は王宮に仕える騎士として令嬢に敬意を持ちこそしても女性としての情を抱いたことはございません」

「何を言っているの?」

「騎士として令嬢に接するのは当然…ですが、貴女に敬意を持ったのはフローレンス様の妹だったからです。フローレンス様の身内の方に粗末な態度はできません…」


ここに来てまでフローレンスの言葉で出て来たことに苛立つ。

隣にいるシュナイダーもフローレンスを慕うことが許せないのか、乱暴な言葉を放つ。

「貴様は、フローレンスに懸想していたのか」

「お言葉ですか、私達騎士団の者はフローレンス様を敬愛こそしても、そのような恐れ多い感情を抱いたことはございません。貴方は随分と頭が緩いようだ」

「貴様ぁぁぁ!」

シュナイダーは馬鹿にされ、逆上する。

しかし相手は訓練を受けた騎士。

訓練をまともに受けていないシュナイダーが叶うはずもない。


「失礼」

「ぎゃあああ!」

軽くかわし腕を捻り、地面に頭を抑え込まれてしまう。


「これ以上騒ぐならば、武力行使です。私が今お守りすべき方はフローレンス様です。あの方の侮辱は許しません」

暴言を言われても冷静に対応するエルリックは無駄なが無かった。
真面に取り合うだけ無駄だと思ったのだが、このままボコボコに殴ってやりたい気分でいっぱいだった。


「エルリック様、お待ちください」


シュナイダーの頭を押さえつけている最中、フローレンスが姿を見せた。


「行けません!お嬢様!」

「お下がりください!」

側にいる侍女も止めるが聞かず前に出て行き、彼等と対峙した。


感想 271

あなたにおすすめの小説

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】この地獄のような楽園に祝福を

おもち。
恋愛
いらないわたしは、決して物語に出てくるようなお姫様にはなれない。 だって知っているから。わたしは生まれるべき存在ではなかったのだと…… 「必ず迎えに来るよ」 そんなわたしに、唯一親切にしてくれた彼が紡いだ……たった一つの幸せな嘘。 でもその幸せな夢さえあれば、どんな辛い事にも耐えられると思ってた。 ねぇ、フィル……わたし貴方に会いたい。 フィル、貴方と共に生きたいの。 ※子どもに手を上げる大人が出てきます。読まれる際はご注意下さい、無理な方はブラウザバックでお願いします。 ※この作品は作者独自の設定が出てきますので何卒ご了承ください。 ※本編+おまけ数話。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

私と幼馴染と十年間の婚約者

川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。 それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。 アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。 婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

虐げられた伯爵令嬢は獅子公爵様に愛される

高福あさひ
恋愛
リリム王国辺境伯エインズワース伯爵家の長女、ユーニス・エインズワース。伯爵令嬢であるはずなのに、生活は使用人以下で、まともに育てられたことはない。それでも心優しく強かに育った彼女は、ある日、隣国との国境である森で二人の怪我をした男性を見つけて……?※不定期更新です。2024/5/14、18話が抜けていたため追加しました。 【2024/9/25 追記】 次回34話以降は10/30より、他サイト様と同時の更新予定です。

【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです

唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。 すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。 「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて―― 一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。 今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。