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第四部.幸せになる条件
15.大迷惑な連中
時は遡ること、二時間前の出来事。
クラエス家の別邸で騒ぎを起こす続けた連中に頭を抱えた、フローレンスは部屋を出ようとした。
「お待ちください、フローレンス様」
「行けませんわ」
言うまでもなく、クロエとキャサリンが止めに入る。
侍女達も必死に止めるが、フローレンスは外に出ようとしていた。
「あんな連中にこれ以上関わってはなりません」
「今、夫が衛兵を呼んでおります。すぐに連行させますわ」
「ですが、これ以上の狼藉を黙っているわけには参りません」
万一、連行されても同じだと思った。
また、釈放されて押しかけて来るのではないか?
貴族街と言えど、完全に封鎖されているわけではない。
平民が貴族街に入ることはまずないが、元貴族であった彼等ならば入る事なんて簡単だ。
ただし、周りは冷めた目で見るだろうが。
「私は公爵夫人になるのよ…無礼者!!」
「今すぐ不敬罪にしてくれる。私は王族の親族だぞ!」
外で騒ぎ続けている彼等を見てげんなりする使用人達。
こんな騒ぎを続けられたらご近所でおかしな噂が流れるだろう。
流れたとしても、勝手に彼等が騒いでいるだけと片付ければいいのだが…
「無礼者…王都を追放された出来損ないの癖に」
「なっ!」
キャサリンの目の前でエリックを貶すジェネット。
あまつさえ許しがたい暴言を吐き続ける。
「貴様は、去年、身の程を弁えずにジェネットに懸想した騎士か…出来損ないの分際でまだ騎士をしていたのか?騎士団は余程人手不足なのか…こんな屑を」
「本当に、身分卑しく、才能もないのにまだ騎士をするなんて愚かです事」
嘲笑い見下す彼等は知らなかった。
第二騎士団の団服を身に纏い、隊長まで上り詰め出世しているエルリックに対して侮辱は許されないのに。
「はぁー…相変わらずの頭の悪さは健在か」
「何だと?」
「訂正しておきますが、私が貴女に懸想したことは一度もありません。私は王宮に仕える騎士として令嬢に敬意を持ちこそしても女性としての情を抱いたことはございません」
「何を言っているの?」
「騎士として令嬢に接するのは当然…ですが、貴女に敬意を持ったのはフローレンス様の妹だったからです。フローレンス様の身内の方に粗末な態度はできません…」
ここに来てまでフローレンスの言葉で出て来たことに苛立つ。
隣にいるシュナイダーもフローレンスを慕うことが許せないのか、乱暴な言葉を放つ。
「貴様は、フローレンスに懸想していたのか」
「お言葉ですか、私達騎士団の者はフローレンス様を敬愛こそしても、そのような恐れ多い感情を抱いたことはございません。貴方は随分と頭が緩いようだ」
「貴様ぁぁぁ!」
シュナイダーは馬鹿にされ、逆上する。
しかし相手は訓練を受けた騎士。
訓練をまともに受けていないシュナイダーが叶うはずもない。
「失礼」
「ぎゃあああ!」
軽くかわし腕を捻り、地面に頭を抑え込まれてしまう。
「これ以上騒ぐならば、武力行使です。私が今お守りすべき方はフローレンス様です。あの方の侮辱は許しません」
暴言を言われても冷静に対応するエルリックは無駄なが無かった。
真面に取り合うだけ無駄だと思ったのだが、このままボコボコに殴ってやりたい気分でいっぱいだった。
「エルリック様、お待ちください」
シュナイダーの頭を押さえつけている最中、フローレンスが姿を見せた。
「行けません!お嬢様!」
「お下がりください!」
側にいる侍女も止めるが聞かず前に出て行き、彼等と対峙した。
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