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第四部.幸せになる条件
26.数年後
それから一年後、女性地位向上に努めていたフローレンスは看護学校を設立した。
知識と技術のある看護師を育成する場を作る為に奔走し、特に女性が活躍できる場を作ることに成功した。
辺境地では薬草農園を作り、百姓貴族の次男、三男をスカウトして働かせた。
爵位を継承できず、行く当てのない彼等にとってはありがたい話だったこともあり、大成功だった。
新たな医療として、病院ではなく看護師が自宅に通い看護を行うシステムを導入し、自宅でも手厚い看護を受けることも可能になった。
同じく協力者で病院院長を務めたクロエの働きは大きく、他国に外交手段として持ち込み、同盟国との絆を深めることも叶った。
その功績により爵位を得ることが叶ったクロエはスピード出世を果たし、若くして官僚になった数年後に最年少で女性初の宰相となることが叶った。
その後、クロエはセイロンと婚約し、結婚することになった。
セイロンは入り婿としてクロエを支えながら忙しない日々を送っていた。
フローレンスはと言うと。
「最前線で看護してくるわ!!」
「お止めください奥様!!」
「ダメだ!戦場に出るなと、何度も言っただろう…って!何で銃を構えているんだ!」
公爵夫人となり、看護師としても活躍するフローレンスは時折戦場に出て看護師として戦っていた。
銃弾が飛び通う中、戦争で傷ついた人を救う姿はまさしくランプを持った女性。
現在はランプの夫人と名を変えて呼ばれている。
「頼むから、銃弾の前に飛び出さないでくれ」
「大丈夫よ、私の敵は病だから!」
「色々と違うだろ!」
完全装備で防弾ジョッキを身に着け、戦場を走り回る姿は看護狂とも言われていた。
そして、フローレンスが戦場に行く時は必ず夫であるアリシエが白衣を見に纏い同行していた。
「まだやっているぞ、アリシエ先生」
「ああ、諦めればいいのに」
アリシエも数年前に医師免許を取り、医師として戦場に立つようになった。
彼曰く、フローレンスの暴走を止める為らしい。
オシドリ夫婦と呼ばれながらも二人は活躍していた。
「相変わらずですわね」
「クロエ!頼むからそんな体でうろつかないでくれ!」
現在は宰相をしながらもフローレンスの手助けをしてくれているクロエは頻繁にクラエス領地に足を運んでいたが、隣にいるセイロンは真っ青になって止める。
「ヒールの靴は履いてませんのに」
「足場が不安定ですからね…セイロン様も気が気ではないのでしょう」
ふっくらと膨れたお腹を見て微笑む。
「とうたま!」
「あああ!待て待て…危ないから走るんじゃない」
傍では娘に翻弄されるセイロンが走り回っている。
「微笑ましいですわね。すっかりパパではありませんか」
「ええ、あの人、官僚よりも保母さんの方が向いている気がしますわ」
「まぁ」
結婚後もクロエに振り回され、その後は娘に振り回される生活を送りながらも幸せそうなセイロン。
そしてフローレンスも。
「お母様見て!庭で白い蛇を捕まえました!」
「ルチア!素手で蛇を掴んだらダメだ!怪我をするだろうが!」
「お父様にも…はい」
「どわぁぁぁ!」
フローレンスとアリシエの間に生まれた第一子、ルチア。
悪戯好きで好奇心の塊で、お転婆だった。
賑やかで忙しない中でも、二人は幸せだった。
自分の手で幸せを掴み取り未来に向かって歩いていたのだから。
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