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第三章栄華が終わる時
6.家族からの叱責
しおりを挟む考え方によっては温情だと考える者もいるが、典型的な貴族の考えでは貧乏な暮らしになり、平民となるぐらいならば死んだ方がマシだと思う者もいる。
「こんなの死んだほうが!」
「ならば、好きにするがいい。ただし死刑となった場合は火あぶりだ」
「そんな!」
死んだ方がマシとは言ったが、死にたくない。
どうにかして欲しいと訴えるも、父親はモーギュストを蔑んだ目で見る。
力なく倒れそうになる母親は何も言う気にもなれず、長男ジュードが支えていた。
「許せジュード、ここまで愚かとは」
「父上だけの責任ではありません」
「こうなった以上は…」
既にモーギュストなど眼中になく、長男のことを気に病んでいた父親は居た堪れない気分だった。
長男のジュードは結婚して一年にも満たなかった。
こうなってしまった以上は妻と離縁をしなくてはならない。
「既に手紙を出しています。妻の実家にも迷惑をかけるわけには行きません」
ジュードの妻は子爵家の令嬢で元は平民であったが、聡明で美しい女性だった。
ジュードよりも年上であることから行き遅れだと馬鹿にされていたが、貴族以上の教養を持ち、慈善活動を活発に行う女性だった。
ギルビット家との婚約は当時、周りから冷たい目で見られた。
財政が困難である為成り上がりの貴族と結婚したと罵倒され、モーギュストも元平民の娘だとここぞとばかり馬鹿にしていたのだ。
同時に、妻にへりくだる兄も情けないと。
しかし、周りが知らないだけだった。
「すまぬ…本当に」
「もういいのです。名ばかりの貴族よりも、ちゃんとした貴族の方がアニーも幸せになれます。本来ならば公爵家や他国の王族からの縁談も来ていたというのに…こんな私を選んでくれて」
「は?」
周りは政略結婚だと思っていたが、実際は違う。
「何を言うか、アントニアはお前を心から慈しんでいたではないか。それゆえに支度金と言って、どれだけの支援を受けたか」
「アントニアの支援がなければ私は病で死んでいたかもしれないのですよ」
「母上…」
アントニアとジュードは恋愛結婚だった。
周りには政略結婚だと言っていたが、二人は互いに愛し合っていた。
そして、アントニアの働きかけで、病を患っていた母は腕の良い医師を紹介もらい、病を感知することができたのだ。
「アントニアとアーデルハイド嬢…二人はギルビット家の聖女のような存在だったと言うのに」
「私達は恩人をあだで返し、許されないことをしました。これからどんな試練が待っているか」
「だとしても、我らは罪を償わなくては」
それが自分達にできる唯一の事だった。
「そんな…嫌だ!」
「モーギュスト、貴様はまだ言うか!お前の所為で兄の人生を潰したのだぞ!」
「なのに、その態度はなんなのです。貴方は人の心を無くしたのですか…ああ、あんな悪女に騙されてしまうなんて」
ハンカチを握りしめながら涙目で訴える母はモーギュストを批難した。
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