聖女でなくなったので婚約破棄されましたが、幸せになります。

ユウ

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第一章

12誘導

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男尊女卑が激しい世の中ではあるが、国によっては女性の尊厳を大事にしている国は多い。

正教皇国等は、女性を下目に見たり見下す行為は許されない行為を考えている。
例え思っていても口にすることはなずないのだが。


「オルヴィス殿下があんなことを」

「被災地に手紙を出したり、戦死した騎士の遺族に手紙を書いて励まされてるような方だと聞いていたのに」


「陰ではそんなことを」

「なんて酷い事を」


公の場で聖女を侮辱して尊厳を汚すような言葉を言い放つ行為は王太子のすべきことではない。
挙句に隣国への侯爵家を侮辱する行為は許されないのだ。


「陛下、これは我が国に対する宣戦布告ですかな?」

「そんなはずはない!」

「ではオルヴィス殿下個人の言葉ですか」

「そっ…それは」


これまでオルヴィスは失態を犯してもフォローしてくれる者がいた。
後始末は婚約者だったジュリエットがしていたが、ここまで言われてフォローをする気はない。


「そう言えばオルヴィス様は以前からジュリエット様に対して粗末な扱いでしたわね」

「ええ、舞踏会でも端っこに」

「公務でも、婚約者とは言えど…」



婚約者と宣言しながらおジュリエットに対して冷遇しているのは明らかだった。
この場で庇うどころか、立場を悪くするような事を言っていたのを思い出す。


「それは…」

「殿下は悪くありませんわ」

「ジュリエット!」


周りの非難にジュリエットが言葉を放つ。
オルヴィスはニヤリと笑うも、その笑顔は一瞬で消える。


「殿下は聖女の私と無理矢理婚約をせざる得なかったのです。私が聖女の間だけの婚約でしたし。真の聖女を既に決めていらしたのですから」

「何だと!本当かオルヴィス」

「えっ…その」

「もしやそのお相手は!」


ジュリエットの言葉に他の貴族は勝手に解釈をする。
言わなくても察するだろう。


「ルーアン様ではなくて?」

「「は?」」


一人の夫人が静観しているルーアンを見て告げるとイライザとミーシャが素っ頓狂な声を上げた。


「何を言っているの」

「そうよ…何でルーアンが」


聖女としてつかず離れずの距離を保っているルーアンがありえないと思ったが。


「ルーアン様は程よい距離を保ちながら公務の完璧ですし」


舞踏会でも程よい距離感、無理に目立とうとする素振りもない。
視察に関しても最低限であるが、他の王族とも良い関係を築いているのを知る者は多かった。



「それはようございましたのぉ?ルーアン殿が真の聖女と」

「あっ…ああ!勿論だ」

「故に、オルヴィス様はあのような暴言を吐かれたのですね?ルーアン殿を大聖女に迎えたいがために」

「そうだ」


上手く誘導され後に引けなくなったオルヴィスは肯定した。


そしてその隙を見逃さなかったアルフレッドは。


「では彼女をハクセンス王国に迎え入れても問題ありませんね」

「うっ…うむ。まぁ、聖女ではないしな」

しろどもどろになる国王も止む無く許可をする事になった。


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