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第一章
2襲撃
しおりを挟む魔物の中でも知能が低いオークはこんな風に襲ってくることはない。
そもそも何故このタイミングで襲ってきた?
魔物の出現率が低いルートを選んだ。
それに国境を超えるギリギリの最中で馬車を狙ってきたのは――。
「最初から狙いは私です」
「何ですって!」
「帝国側の迎えがないのも仕組まれた可能性があります」
そもそも国同士の同盟を破るような真似をするとは思えない。
となると体裁良く、私を始末しようと考えている人間がいると思う方が確実だ。
「明らかに狙いは私です!」
「イリス!出てはだめだ!」
「狙いは私です!」
ここに私が留まれば犠牲者は増える。
「ならば余計に…」
「だからです!もしこんなことが噂になればどうなります!」
「それは!」
辺境伯爵様なら私が言わんとすることが解るはずだ。
だけどいったい誰だ?
私は宮廷魔導士としては他者に蔑まれても疎まれる程の密な関係は作ってない。
誰?
私を暗殺しようとした人は。
「辺境伯爵様、おそらく結界です。結界で微妙に違う場所に誘導されたのでしょう」
「誘導?」
「はい、魔導士の中には人の感覚wを鈍らせることができる者がいます…帝国側の迎えは誘導された可能性があります」
私達はまんまとその術者の術中にはまったのではないか?
「団長!ダメです…攻撃魔法が使えません」
「呪縛魔法か!」
呪縛魔法を使える人間は多くいない。
それにこの魔法には覚えがある。
強い光魔法。
光魔法を使えるのは一人しか思い当たる人はいない。
でもそんなはずはない。
――そう、私の知る限りサンディ以外にいない。
だけど、この数のオークを操るのは難しい。
しかも私を標的にするなんて芸当はサンディには無理だ。
彼女は戦場に出ることはまずない。
だから魔物を使役し、尚且つ標的を絞って私を狙うなんて暗殺を生業にしている者じゃないと無理だ。
「とにかく逃げてください!この結界の外に出ないと…」
「イリス殿!」
オークが迫る中、他の魔物が現れる。
「オーガだと!」
「クソっ!こんな時に」
負傷している騎士達が多く、このままでは逃げ切れない。
ならば…
「辺境伯爵様、今から貴方達を結界で覆います」
「何を…」
「長くは持ちません。ですがその結界の中にいれば短時間は無事です。そしてその中にいれば傷は回復しますから」
「イリス殿!」
私が魔導士として持つ能力は二つ。
結界魔法と治癒魔法。
この二つを使って彼らを逃す。
「さようなら」
「まっ…」
言葉を聞かずに私は持てる力を使い結界に入れて、少しの距離だけ彼らを飛ばした。
彼らを逃がし、私は杖を強く握る。
「さてと、最悪な状況になったわ」
前方はオーク。
背後はオーガと絶対絶命にピンチだった。
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