義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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2義妹の恋

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メリッサ様は分家筋の遠縁。
子爵家に嫁ぐことが決まっていたが学園で知り合った侯爵家の令息と恋に落ちたらしい。


しかし貴族の結婚は基本国王陛下の許可がなくてはならない。



「私は彼と生きていくわ。既に婚約破棄は卒業パーティーで告げて宣言したの」

「待て、卒業パーティーでそんなことを言ったのか」

「ええ、大勢の前で愛を誓ったの」


眩暈がした。
本気で言っているのか。


王都でも流行っているロマンス小説で大勢の前で真実の愛を誓う内容はある。


でも、あくまで小説だ。
現実でそんなことをして許されるわけがない。


しかも相手は義父の妹。
叔母様の家に泥を塗る行為をして大丈夫だろうか?


「そんな真似を…」

「もう決めたわ。私はあんな凡庸な男とは合わないわ」

「そうね!侯爵家の令息だなんて素敵だわ。大体子爵如き家柄に私のメリッサは合わないわ」


どうしてそうなるのか。
確かにメリッサ様は美しい容姿をしているが、愛の為に理を重んじないで許されるのか。

少なくとも私の実家では貴族同士の婚約は契約だった。
勝手な事情で解消をする等許されなかった。


百姓貴族は他の領地で不和はご法度だった。
互いに良い関係を築き、協力する事が最重要だったのにこんな不誠実な。


「ですが、婚約を勝手に…」

「酷いわ!そんな言い方を」


「アリア、嫉妬でそんな底意地の悪い事を言うんじゃないわ。本当に最低ね」


「申し訳ありません」

「母上!」


私は嫉妬心を抱いたわけじゃない。
ただちゃんと叔母様にも話を通さずこんな真似をして大丈夫なのかと心配しただけなのに。



「お相手はロベスペール家の次男よ」


「素晴らしいわ。大賛成よ…ミハイルの事は気にしなくても良いわ」


従弟であるミハイル様は騎士団に所属している。
聡明でお優しく騎士の鏡と呼ばれる程の優れたお方だが真面目過ぎる。


そして自由過ぎるメリッサ様に苦言を物申していらした。


「大体ミハイルは仕事ばかりで私の事に対しても」

「そうよ。あんな堅物ではね?出世の見込みもないし」


酷い…
なんて事を言うのかしら。


「二人共いい加減に…」

「いい加減にしないか!」

エセルバート様が怒鳴る前にお義父様がテーブルを叩き声を荒げる。


「お前達は自分達が何を言っているか解っているのか!」

「何を怒っていらっしゃるのお父様?どうして喜んでくださらないの?」

「そうよ。何を怒っていらっしゃるの」


私は絶句した。
お義父が怒っている理由を理解していなかった。

本当に大丈夫かのか。
侯爵家は身分違いの恋愛をどう思っているのか。

運命の恋に浮かれている二人に不安しか感じなかった。


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