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17最悪の状況
しおりを挟むメリッサ様達が駆け落ちをした翌日に侯爵家から抗議の手紙が続いた。
慰謝料の金額は相当な物で直ぐに支払えるものではなかった。
お金だけの問題ではなく侯爵家に泥を塗った事。
学園側も卒業パーティーを台無しにした事で学園側も対応に追われその不始末の責任を取らなくてはならなかった。
一番の痛手はカスティージョ家と懇意な付き合いをしていた商会が手を切り、これまでの借金を一括せ返済するように要求されたのだ。
「何でこんな…」
「母上、今はなんとか…」
「だったら貴方が…いいえ、アリア。今後はお前が女主人として対応なさい」
「え?」
私が対応を?
「私は隠居するわ。既に教えるべきことは教えました。いいわね…私は隠居するわ」
「そんな母上!」
「胃が痛い…立ってられないわ」
顔色の悪いお義母様はそのまま部屋にこもってしまった。
タイミングが悪い事に、た手続けの対応にお義父様が倒れてしまった。
「父上!」
「すまない…こんな大事な時に」
ずっと無理をしていたようでお医者様には療養が必要だと言われ別邸にて静養する事になり、お義母様も付き添う事になった。
「なんて事だ…」
「エルセバート様」
「侯爵家へのお詫びに…いや謝罪文を考えないと。商会に連絡を…どうしたらいいんだ!」
あれもこれもしないといけないと頭を抱えながら。
「とにかく僕は商会に話をつけてくる。君は留守を頼む」
「お待ちください。アリア様をお一人にされるおつもりですか…この状況で」
「今は仕方ないだろ!。アリア今日から君が女主人になるんだ。しっかりしてくれ」
どうしたらいいの。
この緊急事態に私はどうしたら…
いや待てよ。
こんな時だからこそ夫婦で協力しないとダメなのよね?
そうよね!
「解りました。お任せください」
「アリア様!状況を理解されてますか…エセルバート様、万一邸が囲まれたらどうなさるんですか」
「その為の侍女だろう!」
普段のエルセバート様らしからぬ声を上げるも、エレナも睨みつけるような目をしていた。
「何だその目は」
「厄介ごとは全てアリア様に押し付けられて逃げるのですか」
「誰に向かって言っている!」
「二人共辞めてください」
「侍女風情が!」
エレナは私を守る為に言ってくれているだけだ。
普段から私を守ってくれているから。
なのに…
「お止めください!」
「何を…」
私はエレナの前に立ち壁となった。
「このような時に喧嘩はお止めください」
「アリア様!口が切れていますわ」
私がでしゃばった事で周りの空気を悪くしてしまった。
「エレナ、直ぐに薬を」
「はっ…はい!」
結局その日、エルセバート様は商人達を引き止めるべく邸を出て帰って来ることはなかった。
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