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30悪女の義姉~侍女side②
しおりを挟むお茶会ではアリア・カスティージョの敵しかいなかった。
噂によれば使用人はトンずらして、義両親と夫も早々に王都から逃げたとか。
残ったのは片手で数えきれるだけの使用人と、借金と社交界での醜聞。
既にカスティージョ家の事は彼女に任せると手続きをしていると聞かされたけど。
敵ながら少し哀れに思ったわ。
同情はしないけど、でも彼女は弁解もせずに詫びるばかりだった。
被害者である伯爵夫人にワインをかけられ、罵倒を浴びせられても目を逸らすことなく頭を下げ詫びていた。
その目に覚悟を感じられた。
どうして?
悪女なんじゃないの?
あの最低な親子と同じでしょ?
それとも演技をしているのかとも思った。
「奥様!どうしてあの女を侯爵家で…」
「少し興味がわいたのよ」
「興味?」
お茶会での事件からしばらくして、奥様は慰謝料の代わりに侯爵家で労働を求めた。
「彼女が黒か白か…見極める必要があるわ」
「そんなの…」
「あの時彼女の目を見ていた?そして手を」
奥様のおっしゃることは解っている。
社交界にも出ていなかった貴族の奥様だなんておかしい。
「彼女の手は貴族の手じゃない。労働の手よ…しかもお茶会に一人で参加なんて」
「それは…」
「謝罪なんて意味がないわ。それを理解した上で私の招待に応じたのよ。ならば邸で見極めるわ。後は任せるわ…」
「承知しました」
それは侯爵家に仕える使用人が嫌がらせをしようとも止めないという意味だった。
流石に身体的暴力はしないだろうが精神的嫌がらせをしても良いという事。
だったら遠慮しないわ」
「かしこまりました」
だから初日から一番狭くて酷い部屋を用意した。
食事だって乾燥したパンとシチューと果物だけにして様子を見たけど。
「あの方はどんな食生活をしていたのでしょう」
「一番最悪の食事を噛みしめていましたわ。それに着替えの時に見たのですが…体に傷が」
「もしやカスティージョ家で苛められていたのでは?」
「下着もかなり古くて…靴だって」
私に仕える若い侍女達に監視させるも真面目に働いている。
その働きぶりは見事な物だった。
「最近は厨房で残り物を貰って泣きながら食べてました」
「見ると哀れです。彼女は百姓貴族と聞きますし」
百姓貴族。
貴族でありながらも貴族として思われず酷い扱いを受ける。
私も百姓貴族出身だった。
「黒か白か…明らかだわ」
一週間の働きぶりを見ても同情こそしても、悪意を抱けない。
しかも給金はすべてカスティージョ家に仕送りをしていると聞くわ。
「きっと、従順だからという理由で嫁がされたんです。酷すぎます」
「可哀想です!」
「私なんて古着の服を渡したんです。嫌がらせに…そしたら喜ばれて」
もう居たたまれないわ。
私は監視を辞めるように告げて彼女を白と判断した。
そんな折だった。
一か月後、枯れていた薔薇園の薔薇が咲き始めたのは。
ロベルペール家の象徴の薔薇園が生まれ変わったように綺麗になっていた。
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