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35旅先~エセルバートside
しおりを挟むメリッサの失踪に伴いカスティージョ家は没落寸前の状況下でこれまで仕えて来た使用人は手のひらを返したように邸を去った。
しかも邸の資金は母上が持ち逃げして残ったのは負債を抱えた状況と闇商会の圧力。
これまで借金をしていた事で外にでも催促をされ、なんとか資金を調達したかったが、社交界や王立学園で問題を起こしたメリッサは恨みを買っていた。
その所為か僕にも火の粉が飛んだ。
真面な商会は面会も手貰えず、王都を離れることにした。
邸にまで嫌がらせが及んだし、地方に出向き資金援助をしてくれる商会を探すのも手だと思った。
しかしこのタイミングで邸を空ける事に家令が文句を言った。
「この状況でアリア様をお一人にするなど。せめてアリア様も…」
「馬鹿を言うな。邸に主もいない妻もないとなれば夜逃げしたと思われるだろう」
「何を言っているか解っておられるのですか?アリア様にすべての責任を…」
「アリアは社交界に出ていないから大丈夫だ」
この時ばかり母上の判断に感謝した。
もし社交界に出ていたら借金取りや他の貴族の嫌がらせをアリアも受けるだろうけど。
その心配はない。
少しの間留守にするだけだ。
地方に二人で旅をする程の資金もないのだから。
「お待ちください!」
「後は頼んだ」
家令に任せて僕は王都を出て行った。
けれど、王都を離れて地方を転々とするも、その道は険しく世間の風たりは強かった。
王都ので噂が広がり、メリッサがこれまでどれだけ酷い事をして来たのか思い知らされ。
挙句の果てには。
「可哀想だよな。カスティージョの若奥様」
「ああ、何でも旦那は失踪して邸に残されたとか」
「社交界にも出ていないなら、他の貴族から嫌がらせを受けるだろうに」
「守ってくれる人はいないなんて…旦那は本当に酷いわね」
船でカスティージョの事を聞き耳を塞ぎたくなった。
「聞けばずっと邸に閉じ込められ、使用人のように使われていたそうよ」
「家によっては嫁いでしばらくはお姑様に仕えるけど…二年もだなんて」
「自分の意のままに使える嫁が欲しかったんじゃない?夫も凡愚だしね」
言いたい放題だった。
だが、ここで名乗りを上げる事も出来なかった僕は耐えるしかない。
なんて惨めなのか。
隠れるように王都を出て、そしてこんな酷い事を言われながら何も言えないなんて。
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