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37変わった妻~エセルバートside
しおりを挟む結局何の収穫もなかった。
商談はできなかったし旅費と借金が増えただっただけだった。
精神的にも疲れ果て、友人と縁を切られてしまったが、今は邸に帰りたかった。
三か月も過ぎてしまっているが、噂は聞かない。
カスティージョ家が没落したとも。
だからこそ安心していた。
所詮は子供の色恋で起きた事。
ロベスペール家は見逃してくれたのかもしれないと思っていた。
「お客様到着しましたよ」
「ああ…」
馬車が邸前に到着したのだが…
「おい、僕はカスティージョ家に」
「はい、こちらがカスティージョ家ですよ」
僕は目の前の邸を見て驚く。
邸を出る前は壁も古くなり建物自体も老朽化が進んでいた。
庭だってここまで広くなかったし離れが出来ている。
これは一体。
「ただいま…」
「エセルバート様!」
「今帰った」
僕が邸に帰ると出迎えたのは家令のジョイルだけだった。
他の使用人はエレナとジョナと厨房係に庭師ぐらいしか残っていないはずだったが。
忙しなく働きまわる見慣れない使用人がいた。
「彼等は?」
「私の息子に孫達です。奥様の配慮で」
「母上が帰って来たのか?」
まさかずっと領地にいると思っていたのだが。
「ジョイル様、そちらの方は?」
「ああ、こちらは…」
僕の事を知らないようだ。
まだ新入りなのか、この邸の主を知らないのは問題だ…
「新し従者の見習いですか?」
「は?」
「いくら田舎から来たと言えど身なりが酷いですわ。ちょっと貴方、カスティージョ家で働く以上はもう少し身なりを気をつけなさい。奥様に無礼よ」
「なっ!」
「そうよ。奥様に恥をかかせるの許さないわ」
なんて失礼なんだ。
「お前達…」
「ジョイル様、奥様はもうすぐお帰りですのでお茶の準備を」
「後お花も…奥様のお好きな百合の花を」
何を言っているんだ母上の好きな花は。
「アリア奥様にはやっぱり純白の百合ですわね」
「あら?マーガレットも素敵よ」
アリアだって!
「何故アリアが…」
「奥様を呼び捨てにするんじゃありません!」
「痛っ!」
頭を叩かれ睨まれた。
「主を呼び捨てにするとは何事です」
「こんな礼儀知らずを何故見習いにしたのかしら。服装も酷いしセンスもないなんて」
なんて無礼なんだ!
僕はこの邸の主だぞ?
それ以前に何でアリアが奥様と呼ばれているんだ?
僕が邸にいた時よりも邸内の空気が明るいと感じたと同時に違和感を感じた。
そんな中、アリアが侍女を連れて帰って来た。
三か月前と別人で美しくなっていた。
僕が帰って来ていた事に驚きながらも笑顔で迎えてくれた事に安堵した。
やっぱりマックスの言っている事は間違いだ。
「長らく留守にしていてすまなかった」
「いいえ、大丈夫です」
僕達は何も変わらないと思ったのだが…
何故か傍にいる侍女の二人が僕を睨んでいた。
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