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40妻のあるべき姿
しおりを挟む「どうしてですか」
「解らないのか?」
まるで私の発言を責めるようだった。
私は留守を守る為に頑張って来て、ようやくカスティージョ家を守れるようになった。
なのに何故?
「今後は商談は行く必要なはい。そもそも女性が商売なんてみっともない。君は伯爵夫人としてすべきことをもっとすべきだ」
「ですが…」
「口越えたをするんじゃない!」
テーブルを叩かれ私は言葉を失った。
「一体どうされたんですか…何がありました」
こんな風に声を荒げるエセルバート様。
こんな風に理不尽な事を言う人じゃなかったのにどうしたの?
「どうかしたのは君の方だろう?君はそんな反抗的だったのか?」
「私は嫁として…」
「以前の君の方が良かった!こんな反抗的な!」
反抗的?
私はカスティージョ家の為に頑張って来たのに。
「そんなあんまりですわ!」
「侍女の癖に口を挟むな!君が妻として半人前だから侍女が調子に乗っているんだ!外に出る暇があるなら妻として役目を果したらどうなんだ!」
「エセルバート様…」
「とにかく明日から邸を出る事は許さない。ちゃんと妻としてくれ。夫を立てられない妻なんて恥さらしだ」
恥さらし…
私はそんなつもりじゃないのに。
「とにかく君はもっと勉強すべきだ。これからは…」
何を言っているのか解らない。
私は留守を任されたから頑張ったのに私は世間に出せない程のダメな妻なの?
温和で優しかったエセルバート様をおかしくさせる程の?
『アリア、お前はどうしてそうなのです』
『これじゃあカスティージョの嫁としてダメだわ』
『どうしてアリアは…』
お義理母様とメリッサ様に責められ続けた声が聞こえる。
「私は…私は…」
「アリア?」
「奥様!どうされました…」
「はっ…はぁ、はぁ…」
胸が苦しい。
息ができず立っていられない。
「うっ…」
「どうし…」
「アリア!」
胸を押さえその場に倒れそうになった時だ。
「団長さ…イオンティーヌ様…」
どうして侯爵夫人と団長さんがいるのか?
そんなことを考えながら視界がぼやけ私はその場に倒れこんでしまった。
そして次に目覚めた時は自分の部屋だった。
「奥様!」
「エレナ…」
涙ぐんでいるエレナと安堵した表情のジョナにジョイルが看病をしてくれていた。
けれど、あの後どうなったか聞けなかった。
部屋にはエセルバート様が訪ねてくることはなく、気になっている私を察してエレナが教えてくれた。
あの後医師の手配をしてくれたのが侯爵夫人で、私を運んでくれたのが団長さんだった。
エセルバート様の事は何も触れなかったので私も聞かなかった。
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