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43侯爵夫人の思い~イオンティーヌside③
しおりを挟むカスティージョ家の長女メリッサ嬢は社交界でも有名だった。
本人は社交界の華だと触れ回っているが毒花の間違いだわ。
カスティージョ家の財産を食いつぶしかねないというのに、伯爵閣下も止めなかった。
気の毒だけど妻に頭が上がらないようだった。
言っても無駄でしょうしね。
でもやりたい放題する娘のしわ寄せを受けているのはアリアだ。
カスティージョ家は火の車で、使用人以下の扱いを受けている。
しかも社交界での舞踏会で彼女は私がプレゼントしたイヤリングを身に着けている。
「もう我慢できません!」
「落ち着くのです。エレンディス」
「ですが…」
言いたいことは解っている。
あの女、どれだけ恥知らずなのか。
だけど今の段階でメリッサ嬢に近づけさせるのは厄介だわ。
三日後王都を離れて遠征に向かう前に変な噂を立てられては大変だと思い止めたけど。
でも…
その二週間後。
メリッサ嬢が駆け落ちをした。
同時にロベスペール家に恨みを買ってしまい、伯爵夫妻は領地に逃げ、夫のエセルバート様は王都から逃げ出してしまったと聞く。
邸に一人置き去りにされ、借金を背負ったカスティージョの責任は全てアリアに押し付けたのだ。
「何て事…こんな!」
「奥様、あまり興奮されるとお体に…」
「全ては私の所為だわ。例えどんな手を使っても…」
こんな最低な男だったなんて。
性根の真っすぐな男性だと思っていたのに。
そんな折、アリアから手紙が届いた。
もしや離縁を考えているのかとも思ったがその反対だった。
「ああ、アリア…なんて意地らしい」
手紙には最悪な状況であるが嫁としてカスティージョ家を守る為に堪えると書いている。
心配をかけて申し訳ないとの謝罪文と心配しないで欲しいとのことだ。
「なんて事なの。私が間違っていたわ」
アリアはこの程度くじける程アリアは弱くない。
困難に立ち向かい何かを掴むほどの強さを持っていた。
「アリアは強いわ」
手紙を抱きしめ私は見守る事にしたけど。
事態が収まったタイミングでセルバート様は戻って来た事を少し文句を言おうと思った私は邸に訪れた。
しかしそこで見たのは…
エセルバート様の理不尽とも言える命令。
アリアを邸から出ないように命じ、八つ当たりに近いしい事を告げ責める言葉と否定する言葉。
これはあの二人よりも質が悪い。
優しい振りをして自分の言う事を聞かせようとしている人間ほど質の悪い物はない。
私は耐え切れなくなり、広間に押し入ると胸を押さえるアリアを見て我慢できなくなった。
護衛に付き添いっていたエレンディスは迷うことなくアリアを抱き上げながらエセルバート様を睨みつけけど止めなかった。
もうこれ以上は黙ってられないわ。
許せない!
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