義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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66エレンディスの恋①

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ずっと私はアリアが好きだった。
幼い頃に抱いた淡い恋心は何時しか激しいものとなった。


それでも忍ぶ恋に変えたのは彼女の幸福を望み、見守るような恋に変えたからだ。
私は辺境伯爵家の次男であり、いずれは独立する。


騎士として王家に仕え、国を守りたい。
同時にアリアを守りたいと思った。


貴族社会に嫌気をさした幼少期、権力に執着する人間が大嫌いだった。
そんな私を優しく癒してくれたのはフリーシア伯爵家の皆さんで、彼等と過ごした時間は本当に幸福だった。


フリーシア家は裕福ではない。
その理由は領地代行が上手くいっていないわけではない。
浪費が酷いわけではなく領民の暮らしを第一に考え、騎士団に食料の寄付をしているからだ。

自分達の暮らしよりも他人を優先させている彼等に私は感銘を受けた。
今ではなくなりつつあるノブレス・オブリージュだった。


贅沢三昧して自分の事しか考えていない貴族しか見てこなかった私はいつかそんな風になりたい。
そして裕福でなくとも小さな幸せを見つけ笑っているアリアが好きだった。


私が士官学校に入ると同時期、アリアは領地内で新たな薬草の生産に成功した。
連絡を頻繁に取り合う事は出来なかったが彼女の功績を耳にして自分の事のようにうれしかった。


「エレンディス、随分嬉しそうだな」

「いや…何でもない」

士官学校ではそろそろヒマワリの花が咲く。
薔薇や百合のように優美さも可憐さもないと言われ嫌われている花だが、私は太陽に向かって堂々とするこの花が好きだった。


「ヒマワリを見ていたんだ」

「お前、本当にが好きだな」

どんな環境でも笑顔でいる彼女が好きだ。
人の為にどんな苦労も厭わない彼女が好きだ。



「氷の騎士と呼ばれるお前がな…」

「愛想を振りまく必要はないだろ」

「あのなぁー…」

士官学校に入っても私の環境はあまり変わらなかった。
気の合う仲間はいたが、周りの視線が嫌になる。


辺境伯爵家の子息だからというだけで色眼鏡で見られ、何故騎士になるのかと言われることもあった。
生まれつき恵まれている。

実力で士官学校に入ったんじゃない。
どうせコネだとも言われて来た。


馬鹿な事を。
コネだけで騎士になれるかと言いたいが、何を言っても無駄だった。


だから実力で黙らせようと思った。
諦めてはダメだと自分に言い聞かせて血のにじむような努力をしたが…


士官学校を種席で卒業して王宮勤めとなっても環境は変わらなかったがアリアが行儀見習いにとして王都に来ることになった知らせを受け、交流を重ねたのだった。


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