義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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84豪快なご老公




正直、大公様にお出しして良い飲み物ではない。
なのに大変気に入られている。


「何だか力が見る見る湧いて…」

「旦那様!」

傍に控えている従者が声を上げる。


「むっ…呪印が」

「消えて行きます」


腕に刻まれていた痣が消えてしまった。


「大公殿下、これは一体」

「アリア嬢、そなたの先祖は魔導士か?」

「そんな話は聞いたことがありませんが」


我が国では貴族の中でも王族のごくごく一部の人間だけが強い魔力を持つと聞いたことがあるけど、大昔の話じゃないのかしら?


「アリア嬢は北の領地に出身だと聞く」

「はい」

「祖母君はローズ様か」

「えっ…」

どうして祖母の愛称を知っているのかしら。
ごくごく親しい人しか祖母の愛称を知っている人は少ない。


「やはりそうか、かつて国一番の美姫と謡われた女傑」

「え…」

お祖母様が?

「アリア嬢が知らなうのは無理もない。社交界に出ることなくフリーシア家に嫁いだ後に滅多に王都には顔を出さなかった。宮廷医局長の椅子を蹴ってな」

「祖母が…知りませんでした」

祖母の過去は殆ど聞いたことがなかった。
聞こうとも思わなかったのは言いたがらないし、祖父との出会いに関しても言いたがらないかった事もある。


「私は過去に二度彼女に救われた」

「二度?」

「一度目は成人する前にだ。そして二度目は十年前だ」


お祖母様は前伯爵夫人ではあるけど決して身分は高くない。
王族の直系の方に直接お目通りが叶うとは思えないし、十年前とはどういうことか。


「旦那様、まずは王家の事情についてお話しした方がよろしいかと」


「ああ、そうだったな」


王家の事情?


「本来ならば極秘なのだが、アリア嬢は口が堅いとイオンティーヌからも聞いている」

「侯爵夫人がですか?」

「ああ、イオンティーヌとは古い付き合いがある。以前から娘のように思っている令嬢の自慢話を手紙で語られていた」


侯爵夫人…
いくら何でも相手は大公様だというのになんて恐れ多い事を。


「旦那様」

「解っている。事の発端はかつて我が国に魔力を授かった王子から始まる」


話しは少し脱線したが、大公様から語られる王家の事情。
それは私達が知る事もない重大な事だった。

そして長らく王宮の外で暮らさざる得なかった大公様の苦悩の日々だった。


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