義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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96聖女の君~エレンディスside

昼夜問わず灯が消えることなく、真夜中も灯が消えることなく患者を献身的に看護する姿に多くの患者は希望を見出した。


後に彼等はこう呼んだ。


――ランプの天使。


私達が見守る中アリアは寝ないで看護する日々。
患者の家族もそんな彼女にどれだけ励まされたか解らず、せめて彼女を手伝いたいと名乗りを上げて来た女性が増えだした。


薬を投了して一週間。
末期症状だった高齢の患者は顔色が良くない危機を脱した。

まだ油断はできないが、真っ青な顔色から血色のある肌に変わった。
次に幼い子供が例の薬で失明したのだが、陰程度ならば判別できるまで回復していた。


完璧とは言えないが、良い方向に進んでいた。


「ありがとうございます…ありがとうございます!」

「大変なのはこれからです」


そう、経過状況を見ながら今後のリハビリは厳しい物になる。
失明をした患者の治療も厳しくなるだろうし。


「何処に行っても門前払いで諦めろと」

「それは…」

この言葉に多くの医師達の表情が曇る。
彼等だって好きで治療を拒否したわけじゃない。


「他の医師は…」


「一つだけ誤解をなさらないでください」

「え?」

患者の家族の言葉を諫めるようにアリアは告げた。


「治療を拒んだのは、最善の方法だからです」

「最善…って」

「医師には専門分野があります。西洋医学…メスを使った医療が得意な医師。彼等は西洋医学では救えない。むしろ寿命を縮めると思ったはずです。本当に何もせずに門前払いされましたか?」


「診るだけで…」

「恐らくこれ以上悪化させてしまう。だけど下手に希望を持たせるのは惨い事だと思ったはずです」


「でも!」

確かに患者の家族の言い分は解るが、医者だって神じゃない。
むしろ神ですらどうにかできるなんて考えを捨てなくてはならないのかもしれない。


「医療に関わる者は誤解されます。中には心無い医師もおりましょう」


「そうじゃな…我ら医師は助けられる命とそうでないものがある。救えなかったら罪びととされる」

老先生は悔しそうに言う。
私もこれまで誠意を持って治療をしてきたにも関わらず、救えなかった事で罵倒を浴びせられ、相手が貴族だった為に足を切られた者もいる。


理不尽な仕打ちを受けた医師も多くいるのだ。


「今回もそうです。その医師の方は救いのに救えない悔しさを感じているはずです」


「知りませんでした」

家族を失いたくない。
そんな思いで耳を貸す余裕がないのも無理はない。



「大変な思いをして他人の思いを汲み取れなど無理を申しました。ですが医師は人を救う為に心血を注いでいる事を忘れないでください…医療は国の為にあるのでありません」


「はい…はい!」

涙ながら謝る姿に胸が痛む。
その一方で背後で泣いている医師を見て私は…


「聖女様だ」


これは落ちたなと思った。

その後、アリアは医師達にも尊敬の念を抱かれ聖女様と呼ばれるようになったのだった。

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