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103幸せな結婚
しおりを挟むハイアット辺境伯爵家の皆さんはなんというか、豪華な人達だった。
「ああ、本当に良かった」
「これで安心できるな」
美しい顔立ちの方々が多く異国の血が流れておられる事で銀髪に翡翠の瞳が特徴的だ。
美し過ぎる!
「女性に興味がなく同性愛者の噂もあったから心配していたのよ。人間の女性と結婚してくれて安心したわ」
「これで私は結婚しなくて済んだな」
こう言ってはなんだけど、すごくざっくりした家族だという印象が強い。
「思えば権力に群がる女がハイエナに思えたのは十歳の頃だ」
「まったく気品の欠片もない」
二人が宮廷貴族に対して良く思っていないのが解る。
「昔から権力と金に溺れた女を見て来たからな」
「その所為でエレンディスの拒絶反応は酷かったものね」
そうなんだ。
全然知らなかった。
待てよ?
じゃあ私との結婚がすんなり受け入れられたのは…
「領地持ちの貴族令嬢。しかも百姓貴族とはまさに理想的だわ」
「ええ、しかも噂の姫君だとは」
噂って何?
私は何か粗相をしてしまったのかしら。
「二人共その辺にしてください」
「ええ、これから密なお付き合いをしたいわ。まぁその前にハイエナを排除しなくては」
「そうですね。寄生虫を本格的に排除するのでその後に」
笑顔なのに背中が怖い。
美しい笑顔なのにまるで氷のようだと感じた。
でも、ハイエナなんていたかしら?
害虫駆除って言っているけど、そんなに害虫が多い領地に住んでいるのかしら?
「アリア、それは物の例えだ」
「例え…ですか」
「そうだ。まぁ質の悪い害虫は早々に駆除しないと大変な事になるからね」
確かに害虫を放置すると作物を荒らされては大変な事になるものね。
でも、私はこの時まるで気づかなかった。
二人が言うハイエナや害虫が何を指している知らずにいたのだから。
「エレンディス、早々に排除の準備をするわ」
「はい、母上」
「寄生虫を排除する準備をね?」
そんな会話をされているのは知らずに私は今日の良き日を迎えていた。
その後正式に私はアリア・ハイアットとなった。
初婚ではないから色々面倒な手続きは不要だったので結婚準備期間に一年を置く事はなかった。
「社交界で噂を流されると心配していたのですが…」
「そこは王家の力だろう」
成程。
王家から離れても権力は健在だと言う事か。
「全てが整った…これから誓いをしようか」
「ひゃあ!」
抱きかかえられ私は固まった。
「だっ…団長さん」
「これから私を団長さんと呼ぶとペナルティーだ」
「え!」
頬にキスをされる。
「そうだな」
耳打ちされた言葉に絶句する。
「そ…それは」
「待った無しだ」
私は男と言う人種を理解していなかった。
どんなに優しくて紳士的な人でもそれは一部でしかない。
そう、例に漏れずエレンディス様も時々狼になるのだと身を持って知らされた。
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