義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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107準備

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結婚式を終えた後に新居に移り、生活も慣れ始めた頃。


「新婚旅行?」

「ええ、挙式も無事に終わったしどうかと思って」

「母上、いきなり来て早々に何です」

「言わないと国内で済ませるでしょう?」


新生活が忙しくてそこまで気が回らなかったのは事実だ。
騎士団の団長と言う職務は多忙であるが365日働いているわけではない。

ちゃんと休みを取れるのだけど…


でもいいのかな?


「既に大公殿下が準備しているわ、旅行先は隣国よ」

「母上…」

「アリア、一度他国に行ってみたいと言っていたでしょう」

「ですが…」

確かにお茶をしながらポロリと零してしまったことはある。


「既に船の手配もしてあるわ。キャンセル料は莫大よ・・・それ以前に義父である大公殿下が悲しむわね?」

「うっ…」

今回の婚約と挙式に関してもお世話になり、これ以上無い程良くしてもらっているのに。


「高齢者の思いを汲み取ってさしあげなさい」

「はい」


こうして流される形で私は新婚旅行に行くことになったのだけど。


「でも、新婚旅行って普通国内じゃないのかしら?」

「大公殿下の配慮ではありませんか?奥様はその…」


ジョナが何か言いにくそうにしていた。

「どうしたの?」

「私が代わりに…奥様はあの男と真面な新婚生活を送っていませんでしたから、せめてと思われたのでしょう」

「エレナ…」

前々から思っていたのだけど、エレナって本当のあの人の事が嫌いだな。


「つきましては奥様、ここから重要なお勉強です」

「え?」


「え?ではありません。奥様は男女の機微に底辺疎いので、予行練習が必要です」

「エレナ!」

ジョナが真っ赤になって怒っていた。


「新婚旅行までお体を美しく手入れしなくてはなりませんわ」

「手入れ?どうして…」

「お耳を」


どうしたのかと思いながら耳打ちされた言葉に私は絶句した。


「えっ…えええ!」

「あまり声を上げてはなりません」

「ごめんなさい…でっ、でも」


「間違いありませんわ。私の勘が当たればですが」


急な新婚旅行に驚きはしたがそんな意図があるなんて。

「心配はございませんわ」

「うっ…うん」

「時に奥様、あの男とは白いままではありませんわね?」

「一度だけ…でも上手くいかなかった」


夫婦としての契りを交わしたのは一度だけ。


でもちゃんとできなかった。
苦い記憶を残したまま、あの人は私に触れる事はなかった。

それどころか、私以外の人を寝所に入れて睦あっていた。


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