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169生徒の怒り
未だに高熱を出して苦しんでいるジョイル。
「先生…なんて事を」
「お労しい」
ジョイルの顔を一目見たいと懇願され私は眠っているジョイルの部屋に案内したが、生徒さん達は涙を流していた。
「酷い…酷すぎる」
「こんな…あの男!先生はどれだけあの男に尽くしたか」
聞けば、ジョイルはエセルバートが生まれた後に世話を任された。
その同時期に執事研修学校を定年退職する年齢だったが、校長の願いにより残って欲しいと言われていたとか。
だけどジョイルは断ったそうだ。
「先々代と繋がりがあり、新しい時代のリーダーを育てたい。心ある貴族を育てたいと言われて…」
「かなぐり捨てて…なのに」
「あれ程尽くされていたのに。持病を抱えながらも…給料だって」
あのままカスティージョ家の専属とならなければもっと良い待遇を受けていたかもしれない。
私に婚約話が来た時にカスティージョ家は傾きかけていた。
お給料はかなり低い中でカスティージョ家に尽くして来た見返が余りにも酷すぎる。
「許せない…こんな腐った男の為に」
「先生ほどの方を」
「奥様、お願いします。私達を調査員に加えてください」
生徒さん達は涙を拭きながら私に訴えた。
「私の父は地方文官です」
「私の父は弁護士です。このような案件には強いはずです」
執事になるのは平民であろうが上流貴族出身が多い。
その中でも選ばれた存在で、彼等は皆銀バッチを持っている。
ジョイルは金バッチだが、高位貴族や王族、皇族の傍に仕えられる執事は銀バッチが必要になる。
この場にいる全員が高位貴族に仕えるだけの地位を持つ執事だ。
気持ちは嬉しいのだけど危険が伴う。
それなりの地位の彼等に傷をつけてしまう可能性がある。
「お気持ちは嬉しいのですが、この度の問題は我らにあります」
「ですが…どうかお願い申し上げます」
「私達にとって先生は育ての親です。親が傷つけられて黙っていられましょうか」
この言葉をあの男に聞かせたいわ。
十年以上育ててくれた世話係役を無慈悲なまでにこんな真似するなんて。
「アリア、ここは少し柔軟に考えるべきだ」
「ですが…」
エレンディス様が私の肩を優しく叩きながら落ち着かせてくれた。
「危険が伴うのは勿論だが、貴方達の仕える主にも迷惑がかかる。その覚悟はおありか?」
「既に許可はいただいております」
「万一んの時はお暇を頂く覚悟です」
これは私が何を言っても勝手に協力しそうだったのでお願いしたのだけど。
一週間後。
エセルバートが指名手配されることになるのだった。
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