聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ユウ

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152拳を一発

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私は周りを見た。

「ギャウ」


ロールを筆頭にいいよ、と言ってくれているようだった。


だから私は。


「そうですか。貴女のお気持ちはよーくわかりました」


「そうかい?」

「ええ」


私はこれ以上無いほど清々しい笑顔を浮かべていただろう。
なんせこれまで私は誰かに虐げられても暴力をふるうことをよしとしていなかった。


だけど今はいいわよね?
だって相手は女神だし、ちょっと殴っても問題ないのではないか?

竜王の姫の力を使って。
魔力を最大限に溜めて、女神を見る。


「何だ?」

気づいていないがおかしいと気づいた。


「女神、私は一度貴女にお礼をしたいと思っておりました。ですからお受け取りくださいな」


ええ、この場で私の拳を受けてもらうわ。


「はっ?何を…わぁぁぁ!なんだ」


モコモコと土から顔を出す土竜達は女神の足を掴む。


「本当に好き放題、言いたい放題言ってくれましたね」

「えっ…何で拳を突き上げているんだ!しかも拳に魔力が」

「お姉様の苦しみを笑って高みの見物をして、尚且つ異世界に無理やり召喚されたマリア様を侮辱し苦しめ、笑うなど論外…今すぐに私の拳を受けていただきます」

「待て…今の君は覚醒しているんじゃ」

「ええ、力が漲ります。きっと天の神様の導きです」


本来ならば女神に暴行など許されない。

でも目の前の女神は女神じゃない。
女神の皮を被った化け物だわ!


「大きく振りかぶってぇぇぇ!!」


「わぁぁぁ!」


私は魔力を最大限に高めて自称女神を殴った。



星となった女神はそのまま遥か彼方まで飛ばされた。



「飛んだわ」

「ああ、もう二度と会いたくない」


「フッ、いい気味だ」


フレディーと殿下は笑顔だった。


しかし問題はそう簡単ではないだろう。
女神を殴ったなど、重罪になり私は離縁をされた後に死刑になるかと思えば。



「よくやりましたわ」

「へ?」

シュリ様に肩をポンと叩かれる。


「貴女が殴らなかったら私が殴ってましたわ」

「サーシャ、私は貴女が誇らしいわ」

お母様にも褒められてしまった。


女神に思うところがあった人は多く、モニーク領地は独立も可能だ。
とういかほぼ竜の国とも呼ばれ、モニーク領に住まう竜にとって女神に従う理由はない。

彼らにとって従うべきは私らしい。


そして先代の竜王の姫が女神が馬鹿にしたことは万死に値するらしい。


なのにこのタイミングで正義の女神が私の前に現れるということは…


やはり罪人にされるのだろうか。


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