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57影武者
紹介された女性。
フェイ・ステッド嬢。
ライルハルト殿下の従妹に当たり、影武者として過ごしている事を聞かされていた。
顔立ちも似ているし、女性にしては身長が高い。
これだけ似ていればある程度誤魔化せるという事か…いや帝国の変装術か。
「騙してしまって誠に申し訳ありません」
「いえ…貴女もお勤めしょうし」
「お心が広くて助かります」
成程二度目に以降に会ったのは彼女か。
確かに合点がいくが、でも女性ならばあの噂は?
「ご心配なく。私は彼女に襲われたあの日以外は触れさせていません。流石に皆さまの前で晒し物になるとは思いませんでしたが」
「失礼しました」
あれだな。
私達が密会を目撃した時だ。
「あの時は服を脱がされ危なかったのですが部下が背後から吹き矢で…」
「これ以上は結構です」
これが帝国の常識なのか。
未知だな。
「公の場では私が替え玉になるのですが、どうしても女では誤魔化せない場所などや、ハニートラップを仕掛けて罠を仕掛ける時には部下を使います」
「その…」
「私は王族でありながらも妾腹の子です。それ故に立場が良くありませんので問題ありません」
「申し訳ありません」
なんともさっぱりした性格の女性だ。
私が聞きにくい事も先に察して答えてくださるとは。
「もう関係はないとは言えど、無礼を」
「いいえ、出会いからシオン様は最後まで私を気遣ってくださいました。感謝しております」
感謝されるような事をした覚えはない。
「それで今後の事ですが」
「はい?」
「王宮はこれから荒れるでしょう。言わなくても解ると思いますが…あの女は私が用意した策に溺れました」
もう何とも言えないだろう。
既に社交界だけではなく、下町で利用した密会の宿でサンドラ嬢が複数の男性と不貞行為している事は出回っているし、町で横柄な行動をして民に迷惑をかけていた事もあり、平民からも冷たい視線を受けるだろう。
「明日にでも会議で取り上げられるでしょう…皇太子殿下と恋人だと狂言を放った罪、公の場で私を未遂ですが襲った罪、複数の男性との行為」
あげればきりがないな。
そのすべてを公表すれば彼女だけの問題では済まない。
「この件で我が帝国を陥れようとしたと訴える予定です」
「はい」
「つきましてシオン様には毅然としていただきたいのです」
「…と申しますと?」
全ては計画された事らしい。
その計画に私は乗っかる事になったのだった。
そしたら今度は手のひらを返して来た人物がいた。
「シオン!どういう事なの!」
ヴィッツ伯爵夫人だった。
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