婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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152決着~ディアッカside③

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昔の女に背を押されるなんてとんだヘタレだ。
だがおかげで覚悟ができた。


だから試した。
ニナはまだ俺に未練があるかどうか。


貴族の連中を汚いと思ったが俺も変わらないな。


「変態!最低!」

「ああ、最低だ。だがこの際手段を選んでられねぇ」

「ちょっと近づかない!」

王宮内のある一室にニナを連れ込む。

「何ですのここは」

「先代が愛人と密会した部屋だ」

「は?」

王宮内には歴代の国王が愛人と逢引きする為に作った数多の部屋がある。
まぁ王妃にバレないように遊ぶ部屋がかなりある。

しかも防音設備だ。

「何をする気!」

「別にまだしねぇよ」

「まだ?」

「ああ、とりあえず今日は何もしねぇよ」


そうだ。
今日はまだ手を出さないが邪魔をされることを考えてこの部屋を選んだ。


「何ぜ迫って来るんです」

「今からお前を抱きしめるから」


「なっ!」


真っ赤になる当たり、ニナはまだ俺が好きだ。


「ニナ…俺はお前が好きだ」

「今さらだわ。私なんて眼中になく死のうとした癖に。貴方なんて大嫌い」

「ああ、俺は勝手な男だ」

ニナが怒るのは当然なんだ。
今更虫が良すぎるのは理解している。

だが俺はベルモットに背を押され、もう一度取り戻すと決めた。


「嫌い…大嫌い。私の気持ちを無視して勝手に死のうとするディアッカなんて大嫌い」

「ああ、解っている。俺はお前を巻き込みたくなかった」


一歩、一歩と距離を縮める。
後ずさるニナの手を引き抱きしめながら今度は俺の思いを伝える。


「お前をこれ以上血なまぐさい場所に置きたくなかった…だから拒絶した」

「そんなの!」

「勝手だ。それで今度はお前を手放したくないなんて勝手すぎるだろう。だけどもう諦めたくない」


俺は何でも器用にこなしているように見えるが、この手にあるのは少ない。
何時も大事なものはこの手から零れて行く。

だから多くを望むのは止めた。


僅かでも良い。
零れないようにしたかったが、それは逃げだった。


「許さないから…今度同じことをしたら」

「ああ」

「私だけを見るって約束して。何が何でも最後には私の元に戻って来ると!でないと許しませんから!」


「努力する」


できるなんてことは言わない。
言葉だけの約束を言っても信じないだろうし俺も嘘はつきたくなかった。


ただ死に急ぐのは止めた。
ニナの元に何が何でも帰れるようにと。


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