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序章目覚めた記憶と本当の愛
3味方
何も言わずに帰ってしまった家族に絶望したディアナは途方に暮れていた。
「どうしよう…」
歩いて帰るわけにはいかない。
かといって家族に置いて行かれたなんて言えるはずもない。
「お嬢様」
「ルーカス?」
困り果てていると声をかけられ、振り向くと護衛騎士のルーカスが静かに現れた。
「お嬢様ぁぁぁ!」
「ティア?」
涙目で髪を乱して現れたのは乳母のティアだった。
「二人ともどうして…」
「心配になり、こっそり裏口に待機しておりました!」
「いや…それまずいよ」
「いいんです!」
涙目で訴えるルクティアに困り果てる一方で、さっきまでの辛い気持ちが和らいだのだ。
「でも、二人ともお母様に怒られるわ」
「今更ですのでご心配なく!私は出世に興味ありません!」
胸を張って言うことではない。
通常、貴族の邸に務める侍女は皆出世欲が強く、女主人のご機嫌取りをすることが多いのだがルクティアには出世欲はまったくなかった。
「ティアが怒られるのは嫌だな…」
「お嬢様ぁぁぁ!ティアは良いのです!」
ぽつりと零したディアナの言葉にルクティアは感極まって抱き着く。
「お嬢様、お体が冷えますので」
「それ以上薄着になったらどうするの?護衛騎士が風邪を引いたら問題でしょ?」
上着をかけようとするルーカスに断りを入れる。
「私は鍛えております」
「そうです!お嬢様がお体を冷やす方が…何でしたら私が抱きしめて温めます」
「それこそ止めて…」
「そんな!お嬢様は私の海よりも深い愛を…」
まだ招待客がいる。
そんな中では少し遠慮したいと思いながらディアナはルクティアの手を握った。
「帰りましょう」
「はいお嬢様!」
「はい」
僅かな温もりに守られるようにして、ディアナは用意された質素な場所に乗りルクティアに抱きしめられながら馬車の中で時間を過ごした。
隣でディアナをぎゅっと抱きしめるルクティア。
少々暑苦しいと感じながら顔を上げると眉を吊り上げているのを見て怒っていると分かった。
「ティア、何を怒っているの」
「これが怒らないでいられますか?貴方も黙ってないでなんとかおっしゃい!」
馬を引くルーカスにも文句を言うルクティア。
「私は…」
「お嬢様に対して酷すぎます!特にオルフェ様の態度は許せません!」
子供のように怒るルクティア。
対する無表情のルーカスはまるで正反対だったが二人とも同じぐらい怒りを抱いていた。
「お嬢様、私は例え世界中を敵に回してもお嬢様をお守りします」
「え?」
「私は貴女様の騎士でございます」
多くは語らなかった。
それでも不器用なルーカスの精一杯の気持ちだった。
「私はこの世のすべてがお嬢様を敵としても、お嬢様の味方です!」
負けじと対抗するかのようにルクティアも告げる。
冷たい風が頬をかすめる中、小さな温もりとなり冷えたディアナの心を温めるかのようだった。
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