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序章目覚めた記憶と本当の愛
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ウィステリア地の祖先は魔法が使えた。
始まりの魔法使いと呼ばれたのが大魔法使いだった。
優れた科学者でもあり、魔法学の研究の末に魔術を編み出した。
魔法は自然の力であるのに対して、魔術は数式を読み解く方式であった。
魔法から魔術に、そして錬金術師が生み出された。
ただし、錬金術は魔力が無い者が多く、ないものを生み出す魔法や魔術と圧倒的な差がある。
ある物を利用して新たな物を作り出す。
他国では近年、錬金術が期待されていたのだった。
ただし、錬金術を学べるのは数少なく、特別科でも少なかった。
だが、この度、特別枠を設けられることとなった。
「えっ?私が錬金術科に?」
「先日の全校実力試験と自由研究の結果で決まりました」
魔力なんてほとんど無いに等しい。
精霊を見たこともないディアナが姿を見られるのは森の小人ぐらいだ。
使役している従魔も決して高位とは言えない種族だ。
なのに何故?
「君は学園生活でも模範的存在だ。真面目で優秀でもある」
「ですが、私よりも優秀な方がいらっしゃいます」
「ああ、君の成績は校内で常に十位以内をキープだ。わざとではないかね?」
一年前からある理由で順位を当たり障りのないようにキープしていた。
「君の試験は落差が大きい…教養に関する授業はそこそこだ。しかし音楽や馬術の授業は差が大きい」
「あっ…」
試験はともかくとして実習の時はアイオロスの好意もあって全力だった。
狩りの授業は特に夢中になって実力を発揮していたのだ。
「君が兄君と姉君に遠慮していることは知っている」
「お待ちください。それは…」
「まぁ人には得手不得手がある。だが惜しいのだ」
学園長の言葉に息を飲む。
「私は君達のような才能ある生徒の可能性を溝に捨てたくない。何より君を推薦したのは生徒会並びに監督生の総意だ」
「君も知っている通り、我が校の女子生徒の問題点は知っているだろう」
学園長の傍でため息をつく教師が告げた言葉の意味はディアナも知っていた。
この王立学園ではどんなに魔力があろうとも途中で退学する女子生徒は少なくない。
学園には行儀見習いとして入学する生徒が大半で、上級生になっても向学心旺盛とは言えない。
特に淑女の教養は最低限に留めて、現在は学園内で切磋琢磨するということは皆無だったのだが、学園側は女子生徒ももっと勉強の精を出して可能性を伸ばして欲しいのだ。
なのだが、元は温室育ちのお嬢様には無理がある。
留年しない程度、家に恥をかかせない程度にしか努力せずに身なりの方に気をつけるばかりで、現在は家柄や自身の美貌ばかりを自慢して。学園内での差別は許されないのだが、優劣が存在する。
それがランクだった。
学園内で功績を残せば教師側からラピスを渡され、ランクを上げるごとにラピスは変化する。
学園の最高峰は生徒会であるがその下に監督生が存在する。
けれど毎年監督生がいるわけではない。
相応しくなければ生徒会が代理を務めるのだけど。
監督生は男子生徒が多く女子が少ないからこそ、学園側も女性生徒にももっと活躍の場があることを知って欲しい。
「これは神殿側のお考えでもある」
「それは…」
遠回しに余程の理由がない限り断ることはできなかったが、この話がオルフェとの亀裂を決定的にすることになるのだった。
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