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序章目覚めた記憶と本当の愛
9友達
学園長室を出て教室に戻ろうとした途中。
「ディアナ!」
髪を乱しながら肩で息をする女子生徒二人が駆け寄ってきた。
「セフィーナ、ウィンリィ」
同じクラスの友人だった。
騎士科のセフィーナ・ファイブスター。
辺境伯爵令嬢であり、騎士を志し、騎士科の期待の星とも言われている。
長身で茶髪に碧眼の男装の麗人と呼ばれている。
対する可憐な容姿で小柄な令嬢、ウィンリィ・シルクロード。
音楽科に籍を置く人魚姫と呼ばれるほどの魅惑の歌声で数多の聴衆を虜にする。
美しい海よりも深い青い瞳は天使のようだとも言われている。
二人とも一般科ではあるが、他の生徒よりも抜きんでた才能がある。
その一方で天才肌ゆえに、他の令嬢とは少し距離を置いているのだが、一年生の頃から同じクラスであるディアナとは親しい間柄にある。
学園内の心無い噂は二人も知っていたが部外者ゆえに強く言えなかったが、ここ最近はその噂がひどいのでディアナを心配していた矢先、学園長に呼ばれて気が気でなかった。
「悪い話ではなかったのね?」
「うん…」
「馬鹿を言うな。ディアナは模範優等生だ。そんなわけ…」
「あら?愛剣を片手に今すぐあの最低男を串刺しにするとか言ってなかったかしら?」
「そっちこそ地獄の子守歌で永遠の地獄を味わせると言っていなかったか?」
「うっ!」
二人は何かあった時の為に戦闘態勢並みの準備をしていた。
互いに魔力があるので最悪死闘も辞さない覚悟でいたのだから。
「あの…悪い話ではないの。いえ…場合によっては良くないのか」
「はっきりしないな」
「何で呼ばれたの?」
ある意味では喜ばしいのだろうが、大好きな友人と離れるのであれば悲しいことだ。
「えっと転科の推薦が」
「「え?」」
「えっと…錬金術科の枠があるので私に推薦されたと」
言いにくそうにするディアナに二人は言葉を失う。
「あのね…二人とも」
錬金術科は魔法科の生徒でもとりわけ優秀な生徒でなくては入ることはできない。
その理由は授業のカリキュラムが一般科よりも多く、言語や数式がかなり難しいとされている。
特に文学は古語を学ぶ為に神話の時代の文明や考古学と貴族の子息、令嬢が容易に学べるものではない。
専攻科目の錬金術に関しては研究所に長時間引きこもって研究に没頭する。
また試験も厳しく、毎日のように試験があり、少しでも平均点を落とせばクラスは落ちる。
しかも特別科から一般科に落ちるとペナルティーが与えられる。
そんな狭き門に入ることになったディアナに…
「すごいじゃないか!」
「やっぱりやればできる子だって思っていたわ!」
二人は自分の事のように喜び手を上げた。
クラスが変わるのは寂しいが、友人が評価されるのは嬉しいのだから。
「二人とも…」
「私達もすぐにランクを上げて特別科に行く!待っていろ」
「私は今度のコンクールで金賞を取ってすぐに特別科よ!」
ただ応援するだけではなく自分達も必ず行くとディアナの背中を押すのだった。
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