地獄の沙汰も慈愛次第!婚約者は姉を溺愛したので私は真実の愛を貫きます!

ユウ

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序章目覚めた記憶と本当の愛

11亀裂





去ろうとするディアナをファティマが呼び止める。


「そんな態度はどうかと思うわよ」

「お姉様?」


「婚約者であるオルフェ様にそんな態度では関係が悪くなるわ」


「「は?」」


セフィーナとウィンリィは素頓狂な声を上げた。
どの口が言うのかと思ったが、ファティマは更に続けた。


「最近の貴女は少し態度が悪いわ。大切な婚約者に対してそんな態度…私が貴女の婚約者と」

「私は何も…」

「優しい貴女らしくないわ。いつもだったらニコニコしていたのに…」


悲しいという感情は浮かばなかった。
怒りの感情も感じないことに驚きすら感じていた。


「優しい私じゃないといけないの?」

「ディアナ?何を…」


「私はお姉様の為にオルフェ様と一緒にいるのを控えているのに…何故責めるの?」

「そんな私は責めているわけじゃ…」



ずっとファティマの願いを聞き入れてきた。
聞き入れないといけない状況でもあったから黙っていた。


「お姉様を思って私はずっと我慢してきたわ。なのに笑っていないとダメ?私は学校でも社交界でも噂を流されているのよ?」

「噂なんて言わせておけばいいのよ!そんなの当てにならない…」


「でも私は傷ついているのよ」


我慢しろとずっと言われてきた。
だからずっと耐えてきた。


「ずっと我慢して耐えてきたわ。家でもお姉様に気を使い無理をして、社交界でも、学校でもお姉様のご機嫌取りをしないとダメなの?」


「ディアナ!君はなんてことを!」


「私はお姉様の為に我慢してきたわ。これ以上何を頑張ればいいの…教えて」


泣いているファティマを抱きしめながらオルフェは睨む。


「君はいつからそんな冷酷な女になったんだ!」

「冷酷…」

「そうだ!傷ついている姉に対して…君はおかしいぞ!」


まるでお芝居を見ているかのようだった。
周りに人が集まってきている中、他人事のように思うディアナは心の中が冷めていくのを感じる。


「家族を大事に…そのために私はいつまで我慢を強いられるの?私は家族じゃないの?」

「どうして…どうしてそんな酷いことを言うの!わぁぁぁん」


泣きじゃくるファティマはそのままオルフェに抱き着き泣きじゃくる。
オルフェに至ってはお姫様を守る騎士のつもりだろう。


悪役はディアナとなっている。


「優しくないディアナは価値がない!優しいだけの君はそれすら失ったのか!」

「私の価値…」

「そうだ!家族に優しいだけが君の価値だ!それ以外に何の価値がある!」



まるで、今のディアナは何の価値もないと言っているようだった。


「こんなことをするならば婚約破棄をするぞ!」


大勢の前で告げられてしまった言葉。


言葉に出してしまったら取り返しがつかない。

そんなことさえ気づかないオルフェは自分の行動に間違いはないと言う姿勢を崩そうとしなかった。


「もう我慢ならん」

「ええ!こいつら…」


堪忍袋の緒が切れそうになったセフィーナとウィンリィだったが…


「そこまででだ」


低い声が響き渡った。





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