地獄の沙汰も慈愛次第!婚約者は姉を溺愛したので私は真実の愛を貫きます!

ユウ

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序章目覚めた記憶と本当の愛

13優しい手




王立学園は学園長の意向の下、生徒の自主性を重んじていたことにより、
生徒内であらゆる組織に分かれていた。


生徒の監督をするのが監督生とされているが、あくまで一学年の代表だった。
だが生徒会はすべての生徒の代表であり、生徒を直接裁く権限を与えられており、前任から推薦を受け生徒会に入るのは名誉なことだ。



過去に平民だったり下級貴族だったりと身分は関係ない。
公平な判断をするために前任の推薦と生徒会の顧問、学園長と総合的に判断される。


前任から選ばれるだけでも名誉なことで、生徒会に入り卒業した生徒は皆卒業後は出世を約束されているという噂が流れている。


「ディアナ・シャンデラ嬢。どうか受けてもらえないだろうか」


「アルフレッド殿下…」

「君は身分差別もなく、色眼鏡で人を判断しないだろう。生徒会にはそんな人が必要なんだ」


遠回しに噂に振り回されくだらない真似をする生徒は生徒会に相応しくない。


「殿下がここまでおっしゃってくれているのだ!喜ばんか!」

「ひぃ!」


氷のような目で怒鳴られビクつくディアナ。


「シリル。怖がらせてどうするんだ」

「申し訳ありません。ですが、殿下にお言葉を頂いて返答をせぬのは…」

「彼女はとても奥ゆかしい女性だ…流石月詠の姫だ」


ディアナは耳を疑った。


(月詠の姫って何?)


社交界では太陽姫と月陰の姫だなんて言われているが、月詠の姫なんて初めて言われた。


「聡明な月は何度欠けても満ちる…弟から聞いているよ」

「弟…」


アルフレッドが弟と言えば一人しかいなかった。



「ああ、君の事は以前からよく聞いていてね。控えめで謙虚で可愛らしいお月様のような姫だとね」


アルフレッドは終始笑顔だったが、完全に蚊帳の外だった。
オルフェも絶句して口をパクパクさせているが、アルフレッドは無視をして極上の優しい目をディアナに向ける。


「弟の事で君が迷惑して申し訳ない」

「そのような…」


「君は被害者だ。なのに一度だって泣き言も言わなかったようだね」



社交界でも学園でも耐え続けていたが、他人に何か言うことはなかった。
婚約者に捨てられた惨めな令嬢と言われて反論しても意味がない。


「君の勇気をずっと見て来た。本来ならすぐに助けたかったが…」


「本来なら婚約者が守るべきです。ですが…」


氷のように底冷えする瞳はファティマだけでなくオルフェにまで注がれていた。


「だが、真実の愛を謳う母君のご息女だ。流石と言うべきか」

「自分への愛だけです。真実の愛ではなく身勝手な愛です」


「君にしては上手いことを言うね」



当事者が望まない形で間違った噂は真実になってしまった。



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