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序章目覚めた記憶と本当の愛
14誤解の連鎖
社交界では噂のみが独り歩きしていたが、あくまで噂でしかなかった。
疑いを持つ者も、下世話な噂だと思う者もいる中で第一王子が断言してしまえば真実になる。
「真実の愛を貫いた二人だ。祝福しよう」
「殿下がそうおっしゃるなら…」
隣でシリルが無表情のまま告げる。
表情は変わらないが不快だという表情が見て取れる。
「お待ちください!私は…」
「誤解です!私達は!」
状況の空気はかなりまずかった。
これまで噂なんてと放置してきたつけが来たのだから。
特にファティマはオルフェとそのような関係になったつもりはないのだから。
かといってこの場で誤解なんて言っても「はい、そうですか」と信じる人間は一人もいないだろう。
「弟との婚約解消は申し訳なく思っている」
「いいえ、ハイネ様は他に愛する人を見つけられたのです」
困惑しながらもファティマは捨てられたことを強調しながらそれでもハイネを責めないということを強く出し健気な元婚約者を演じるのだが…
「ん?何の話だ?婚約解消は父の意向だ。それに弟には恋人も婚約者もない」
「えっ?」
「何をおっしゃっておられるんですか!」
アルフレッドの言葉にファティマは息を飲み、言葉がでなかった。
オルフェはありえないと詰るうとしたが、シリルが前に出て睨みつける。
「殿下に対してなんと無礼な!第一王家との婚約の決定権は国王陛下にある。ハイネ様は王命にしたがっただけに過ぎない!」
「聖女様も普段は姉の宮殿で過ごしているし。ハイネが勉強を見る程度だよ。私も同席している」
「そんなはず…」
「ならば!」
これでもかと食い下がるようだったが、もう一人が慌ただしい足取りで現れた。
「ディアナ!」
「ハイネ様?」
普段制服を美しく着こなしていると有名なハイネが今日は制服が乱れている。
髪も乱れて、ここに来るまで走ってきたことが分かる。
「何だ!この騒ぎは…まさか集団で虐めを受けたのか!」
「えっ…」
多くの生徒に囲まれ、男子生徒の制服を肩にかけられ疲れた表情をするディアナは集団で虐めを受けたと思われても仕方ない光景だった。
「しかも腕に傷が…」
「これは…」
ファティマに強く掴まれた時に爪が食い込んだのだ。
決して故意ではなく不可抗力なのだが、ハイネはファティマの爪から血が流れているのを見て察した。
「お前がしたのか」
「ハイネ様!何を…」
「婚約解消に関しては申し訳なく思っているが、妹に八つ当たりするとは!」
「違います!」
ファティマは否定するが、現状を見れば弁解の余地もなかった。
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