地獄の沙汰も慈愛次第!婚約者は姉を溺愛したので私は真実の愛を貫きます!

ユウ

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序章目覚めた記憶と本当の愛

15非難の目




社交界では様々な噂がある。
真面目な第二王子が理不尽な婚約解消をしたとか、聖女と恋愛関係になる婚約者を切り捨てた酷い王子だとか。


だが、噂とは不確かなものだった。
少なくともまともな思考を持つ者なら分かるはずだ。


ずる賢く無責任な男ならば、わざわざこんな場所に出向くことはないはずだ。
ディアナを助けに来るために周りに責められるかもしれないのに、あえてこの場にきて悪いのはすべて自分だと言うハイネは打算というものは見えない。


むしろその逆で愚直な程に真っすぐだった。


「この場において宣言する!この度の婚約に関して至らないのはこの俺だ!彼女を傷つけることは許さない!」

潔すぎるハイネに不貞行為や裏切り行為などできるはずがない。


「ハイネ様、私は貴方様が誠実な方と信じております」

「私もです!」


その場に駆け付けた騎士科の三年生だった。
他にもハイネを守ろうとする生徒がこの場に駆け付けた。


「ハイネ様。私のために心をお痛めになりませぬよう」


「ディアナ…」


ずっと心の中で違和感があった。
婚約解消という形を取った時点で、ハイネはファティマに対する罪悪感を持っていた。


「本来なら王家側が婚約破棄という形を取らなかったのは貴方様がご進言なさったのですね」

「婚約解消ならば、そこまでの痛手にならないだろう…婚約破棄になればシャンデラ伯爵令嬢の傷が浅く済む…だが、俺の思いなど届かなかったようだ」


「そんな!そんな言い方…」

「詭弁です!婚約解消でも社交界で噂は…」



ファティマとオルフェが反論するが、周りの視線は冷たかった。


「妹が噂で苦しんでいるときは無視だったくせに?」

「私、廊下で二人が噂のことを話しているのを聞いたけど」

「噂ぐらい我慢しろとか言ってなかった?」


噂などたいしたことじゃないとどの面が言うのか、周りは自分の事を棚に上げて言う二人に非難し、思い出したように一人の男子生徒が以前ディアナが家族に置き去りにされたことを話す。


「そういえば先日子爵家の舞踏会で、ディアナ嬢、置き去りにされてなかったか?」

「あっ…あれは!」


「ディアナ嬢だけ置いて行って他の家族は先に帰って困っていたのを見たぞ」

「私も見ましたわ。侍女と護衛騎士が迎えに来ていたけど…あれはないわね」


「前から思ったんだけど…シャンデラ家はディアナ様に酷すぎるわ」


完全にディアナが被害者の空気になった。
気まずい状況の中、それでもオルフェは唇を噛みしめながらディアナを見るも、


アルフレッドとシリルに庇われている状況で近づけなかった。


「騒ぎになってしまったね」

「はい殿下。ディアナ嬢、とりあえず傷の手当てをするので生徒会室に」

「はっ…はい」


手を伸ばそうとしても届かない。
あるのは非難の視線だけだったのだから。



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